2023年5月

  • 2023年05月09日

    東京駅で華やかな大阪の日本画を

    先日お送りした特別番組「まだ間に合う! ゴールデンウィーク」でもお話しした、
    東京ステーションギャラリーで開催中の「大阪の日本画」。

    IMG_0815.jpg 近代大阪の日本画が勢揃いする初めての展覧会。
    これは、美術史を書き換えるかもしれない、画期的な催しなんです!

    明治以降の日本画というと、東京や京都が知られてきたのですが、
    今回の展覧会は、タイトル通り、
    大阪で独自に育まれた、華やかな日本画が一堂に集結しています。

    IMG_0789.jpg 北野恒富「護花鈴」 大正前期 大阪中之島美術館 ※5/14まで展示

    IMG_0797.jpg 山口草平「人形の楽屋」 大正後期~昭和初期 大阪中之島美術館 ※5/14まで展示

    大阪にはパトロンが多く、展覧会に出展する必要がなかったため、
    画壇からすると、知られざる名品が多いのだそう。

    その代わりに、パトロンと楽しむ教養、
    そして、求めに応じてその場で絵を描く速写力が求められたと聞き、
    文化の違いに驚きました。

    大阪では、美術史と異なる評価軸の中で、豊かな美術が作られていたんですね。


    お稽古で絵を習う女性も多く、女流画家が多いのも特徴です。
    今回は、出展されている画家66人の内、13名が女性なんですって。


    IMG_0785.jpg 生田花朝「四天王寺聖霊会図」 1927年 大阪城天守閣 ※5/14まで展示


    IMG_0801.jpg 木谷千種「浄瑠璃船」 1926年 大阪中之島美術館 ※5/14まで展示


    お話を伺うと、準備してきた学芸員の方々の熱量がものすごく、
    より多くの作品を見てもらおうと、展示替えもたっぷりで、
    前期と後期で7割の作品が変わるそう。

    このブログでご紹介している写真も、すべて展示替えの対象です。

    IMG_0796.jpg 菅楯彦「舞楽青海波」 1917年 倉吉博物館 ※5/14まで展示


    展覧会オリジナルグッズも素敵で、担当学芸員の方も自腹で買ったとか。
    カラーページが204ページに及ぶ、分厚い図録も必携です。


    個人的には、吉川英治『三國志』の挿絵を描いた
    矢野橋村の大作が見られるのも嬉しくて!

    私は、挿絵でしか矢野橋村を知らなかったのですが、
    実は、大きい画面の絵が多く、
    日本的要素を含んだ文人画、新南画を提唱するなど、
    「大阪の日本画」を引っ張っていた一人だったそうです。


    IMG_0783.jpg 矢野橋村「湖山清暁」 1913年 個人蔵(愛媛県美術館寄託) ※5/14まで展示

    その他、三国志関連で言うと、竹林の七賢の絵がありました。

    IMG_0790.jpg 姫島竹外「竹林七賢」 1899年 泉屋博古館東京 ※5/14まで展示

    評価が定まっていない作品が多いため、先入観なく楽しむことができる「大阪の日本画」。

    大阪中之島美術館で行われた際も大盛況で、
    アンケートを見ると、好きな絵がバラけているそうです。

    ぜひあなたも、お気に入りの一枚を見つけてみてくださいね。

    「大阪の日本画」は、東京ステーションギャラリーで6月11日(日)まで開催中です!

  • 2023年05月06日

    GWおすすめお出かけスポット

    5月4日12時からお送りした特別番組
    「まだ間に合う!ゴールデンウィーク」をお聴きいただき、ありがとうございました。

    荘口彰久アナウンサーとお互いにご紹介したのは、

    ・ホテルW大阪

    ラストマン・イン・ザ・ダーク

    FUJI GATEWAY


    ・東京ステーションギャラリー「大阪の日本画」

    IMG_0809.jpg ・新国立美術館「ルーヴル美術館展 愛を描く」

    PSX_20230309_160802.jpg東京ミステリーサーカス

    DSC_3377~2.JPG そして、トラベルライターで編集者の星裕水さんに教えていただいたのは、

    HAKONATURE BASE

    銚子電鉄

    SEASIDE CINEMA 2023 でした!

    気になるものがあった方、radikoタイムフリーで、4月11日までお聴きいただけますので、
    ぜひチェックしてみてください。

    https://radiko.jp/#!/ts/LFR/20230504120000



    また、昨日5月5日 こどもの日に配信したオンラインイベント
    「こどもたちにつなごう! 豊かな未来」。

    こちらのURLから、YouTube Liveでご覧いただけます。
    https://www.youtube.com/watch?v=w4VaUL1Cog8

    第70回 産経児童出版文化賞 大賞受賞作
    あまんきみこさん『新装版 車のいろは空のいろ ゆめでもいい』を生で朗読しましたので、
    ぜひ聴いてみてください。


    また、ニッポン放送賞を受賞した、
    村上しい子さん『なりたいわたし』の朗読番組も放送されました。

    「久間田琳加 よみきかせのせかい」
    https://radiko.jp/#!/ts/LFR/20230505120000

    お子さまと一緒にお楽しみいただけたら幸いです。



    また、5月4日に放送された「井出智 命の声~HPV・子宮頸がんを伝えたい~」

    Podcastでもお聴きいただけます

    井出さんが、伝えたいと願い、力を振り絞ってくださった声、ぜひお聴きください。

    子宮頸がんの予防のために、予防接種と検診の大切さをお話しされています。

    男性にもワクチンがあること、
    HPVウイルスは男性のがんにも関係があると言われていることを、
    私もこの番組で初めて知りました。

    忙しい方も多いと思いますが、健康が第一、ぜひ検診を受けてください。

    井出智さんのご冥福をお祈り申し上げます。

  • 2023年05月02日

    GWおすすめ展覧会! マティスの冒険

    GWのお出かけにおすすめの展覧会のご紹介、第三弾!

    東京都美術館で8月20日まで開催中の「マティス展」です。

    IMG_0969.jpg 約20年ぶりとなる、待望の回顧展。

    学生時代に展覧会で見た、MOMA所蔵の「金魚」の強烈な目に魅了されてから、
    私は、マティスの描く金魚が大好きです。


    マティスの絵は、蒐集家がいたアメリカとロシア、
    MOMAとエルミタージュ美術館が多く所蔵しているそうなのですが、
    今回は、ポンピドゥーセンターが持つマティスの作品たち。

    ポンピドゥーセンターの作品は、マティスの手元にあったものが多く、
    画業の転換点になるような作品が多いそうです。

    周りの方が「初めて見る作品が多かった!」と話していたように、
    モローの下で絵画を学んだ頃から晩年まで、
    見知ったマティスのタッチから「こんなものまで!」と驚くような作品まで、
    マティスの色、形、線をめぐる、生涯をかけた冒険に同行する気分が味わえる展覧会です。

    IMG_0976.jpg 金魚鉢のある室内 1914年  ポンピドゥー・センター/国立近代美術館

    IMG_0972.jpg 展示風景

    IMG_0978.jpg 展示風景

    IMG_0996.jpg 座るバラ色の裸婦 1935-1936年  ポンピドゥー・センター/国立近代美術館

    IMG_0981.jpg 展示風景

    彫刻作品や、金魚をモチーフにした作品、実験的な絵画など、
    巨匠の歩みをたどることができます。

    IMG_1004.jpg 赤の大きな室内 1948年  ポンピドゥー・センター/国立近代美術館

    79才のマティスがアトリエを描いた「赤の大きな室内」は、
    最後のカンヴァスに描いた作品となりました。

    マティスはその後、絵筆を取れなくなってしまうのですが、
    ハサミを使って鮮やかな色彩の切り紙絵を生み出し、
    ヴァンス・ロザリオ礼拝堂を手掛けます。

    IMG_1013.jpg 展示風景

    IMG_1021.jpg 展示風景

    IMG_1023.jpg 展示風景


    マティスが追い求めた表現の世界を、ぜひお楽しみください。



    マティス展

    会期:2023年4月27日(木)~8月20日(日)
    休館日 毎週月曜日、7月18日(火)
    ※ただし、5月1日(月)、7月17日(月・祝)、8月14日(月)は開室

    開館時間 9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
    ※金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
    ※日時指定予約制

    会場:東京都美術館




    そして、ゴールデンウィークの真ん中、5月4日12時から
    特別番組「まだ間に合う!ゴールデンウィーク」をお送りします。

    荘口彰久さんと一緒に、ゴールデンウィークのオススメスポットをお互いにご紹介。
    また、旅のプロ、トラベルライターで編集者の星裕水さんをお招きして、最新情報も伺います!

    メールでご感想を送ってくださった方向けにプレゼントもありますので、
    sh@1242.com
    まで、ぜひお寄せください。



    さらに、5月5日 こどもの日 13時から、
    「こどもたちにつなごう! 豊かな未来」というオンラインイベントに参加します。

    こちらのURLから、YouTube Liveでご覧いただけます。
    https://www.youtube.com/watch?v=w4VaUL1Cog8

    ぜひご覧ください。

  • 2023年05月01日

    GWおすすめ! 知の巨星・太田南畝の世界

    GWのお出かけにおすすめの展覧会紹介、第二弾です。


    前回ご紹介した「開館25周年記念展 京都 細見美術館の名品
     ー琳派、若冲、ときめきの日本美術ー」に続いてご紹介するのは、

    たばこと塩の博物館で開催中の
    「没後200年 江戸の知の巨星 大田南畝の世界」


    IMG_1101.jpg 大田南畝という江戸時代の知識人、ご存知でしょうか。

    蜀山人という名前の方が、馴染み深いかもしれません。


    後世、一休さんと同じように、とんちやユーモアの人として、
    本や紙芝居にもなった蜀山人。

    IMG_1100.jpg 彼は、狂歌の名手であり、小説を書くなど、江戸の出版文化の中心人物でありながら、
    幕臣としても有能で、仕事に関する文書も多く残しています。


    私が思わず笑ってしまったのが、「宝合(たからあわせ)」にまつわる逸話。

    IMG_1044.jpg 家に伝わる宝を見せ合う集まり「宝合」。
    実は、家にある日用品を、お宝だと言って見せ合う遊びなんだそうです。

    南畝が持参したのは、家にあった海苔。

    浅草観音にちなんで、浅草海苔に、
    信心せよという歌を、賽銭を呼びかける狂歌に変え、書きつけたんだそうです。

    バカバカしい遊びですが、手が込んでいますよね。

    のちに、100人以上が集まる会も開かれたんだとか。

    江戸の文化の豊かさを感じさせるエピソードです。


    南畝は、四角で絵を構成する四角画が得意だったそうで、
    弟子が四角画をパロディにしたり、パロディで三角形画が出たり。

    IMG_1090.jpg
    IMG_1046.jpg

    ユーモアが光る南畝ですが、役に立つものもたくさん残しています。

    まずご紹介したいのが、受験体験記。

    IMG_1065.jpg
    南畝が40代のときに、寛政の改革の一環で、
    人材登用試験の学問吟味が始まります。

    下級武士だった南畝は、その能力を遺憾なく発揮し、
    優秀な成績を収めます。

    そこで、試験会場の様子や自分の解答などを記録した「科場窓稿」、
    今でいう受験体験記を書きました。

    IMG_1066.jpg ちなみにこのとき、遠山の金さんのお父さんも同じ試験を受け、
    その後、試験の虎の巻、参考書を書いているそうです。


    展示室で、私が一番驚いたのが、こちら。

    IMG_1081.jpg バイオリン!

    南畝は、古器物の図録『流観百図』を編んでいます。
    皆で協力して、珍しいものを集めたそうで、その中に、
    バイオリンも入っていたのですね。

    オランウータンやミイラなど、古今東西の珍しいものが綴られています。


    この他にも、本をまとめた叢書を作るなど「大田南畝の世界」では、
    南畝の膨大で豊かな仕事ぶりの一端を垣間見ることができます。

    IMG_1078.jpg たばこと塩の博物館らしく、当時のタバコ屋さんとのかかわりも。

    IMG_1059.jpg

    偉大な江戸時代の知の巨星、大田南畝の世界を覗き見ることができる
    「大田南畝の世界」は、たばこと塩の博物館で、6月25日(日)までです。




    そして、ゴールデンウィークの真ん中、5月4日12時から
    特別番組「まだ間に合う!ゴールデンウィーク」をお送りします。

    荘口彰久さんと一緒に、ゴールデンウィークのオススメスポットをお互いにご紹介。
    また、旅のプロ、トラベルライターで編集者の星裕水さんをお招きして、最新情報も伺います!

    メールでご感想を送ってくださった方向けにプレゼントもありますので、
    sh@1242.com
    まで、ぜひお寄せください。



    さらに、5月5日 こどもの日 13時から、
    「こどもたちにつなごう! 豊かな未来」というオンラインイベントに参加します。

    こちらのURLから、YouTube Liveでご覧いただけます。
    https://www.youtube.com/watch?v=w4VaUL1Cog8

    ぜひご覧ください。

  • 2023年05月01日

    GWにおすすめ! ときめきの日本美術

    ラジオパークにお越しいただき、ありがとうございました!
    皆さまのお顔を直接拝見でき、お話をできたこと、
    タイトルのやっと会えたね、の言葉の通り、コロナ禍の長さを感じつつも、
    とても嬉しい春の日になりました。

    「いつも聴いている」と仰ってくださるリスナーの皆さまのお言葉に、
    大きな元気と励ましを頂戴しました。

    引き続き、よろしくお願いいたします!


    さて、GWのお出かけにおすすめの展覧会をご紹介します。


    まず、日本橋高島屋で始まった
    「開館25周年記念展 京都 細見美術館の名品
     ー琳派、若冲、ときめきの日本美術ー」

    IMG_0903.jpg 日本橋高島屋S.C. 本館8階ホールで、
    5月15日(月)まで行われています。

    琳派のコレクションで知られる細見美術館ですが、
    所蔵する名品は多岐に渡っています。

    飛鳥時代の釈迦像、千利休の書状、葛飾北斎の肉筆画...!

    IMG_0908.jpg 金銅誕生釈迦仏立像 飛鳥時代 細見美術館蔵

    IMG_0966.jpg 千利休 消息<釜の文> 桃山時代 細見美術館蔵

    IMG_0918.jpg 左:葛飾北斎 夜鷹図 江戸後期 細見美術館蔵
    右:葛飾北斎 五美人図 江戸後期 細見美術館蔵



    その先に広がる琳派の世界は、
    うっとりする美しさや、ユーモラスなおかしみに溢れています。

    IMG_0931.jpg 酒井抱一 鹿楓図団扇 江戸後期 細見美術館蔵

    IMG_0934.jpg 酒井抱一 桜に小禽図 江戸後期 細見美術館蔵

    細見館長のお気に入りだという酒井抱一や鈴木其一の他にも、
    本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形光琳、神坂雪佳など、
    琳派の系譜をたどれる充実のコレクションを見ることができます。

    展覧会の最後を飾るのは、伊藤若冲。
    細見美術館が所蔵する19件すべてが来ています。

    IMG_0962.jpg 左:伊藤若冲 朱達磨図 江戸中期 細見美術館蔵
    右:伊藤若冲 関羽図 江戸中期 細見美術館蔵



    伊藤若冲の関羽図も見られます!

    墨痕鮮やかな若冲の鶏や仔犬や海老。
    たくさんの虫が描き込まれた「糸瓜群虫図」、
    著色画や大きな屏風など、若冲ワールドに浸ることができます。


    ゴールデンウィーク、日本の美の世界に出かけてみてはいかがでしょうか。


    開館25周年記念展 京都 細見美術館の名品
     ー琳派、若冲、ときめきの日本美術ー

    会期:2023年4月26日(水)→5月15日(月)
       ※会期中無休

    開館時間:10:30~19:30(入場は19時まで)
         ※最終日5月15日(月)は18時まで(入場は16:30まで)

    会場:日本橋高島屋S.C. 本館8階ホール


    (巡回展は2023年12月23日(土)~2024年1月7日(日)
     ジェイアール名古屋タカシマヤで行われます。)



    そして、ゴールデンウィークの真ん中、5月4日12時から
    特別番組「まだ間に合う!ゴールデンウィーク」をお送りします。

    荘口彰久さんと一緒に、ゴールデンウィークのオススメスポットをお互いにご紹介。
    また、旅のプロ、トラベルライターで編集者の星裕水さんをお招きして、最新情報も伺います!

    メールでご感想を送ってくださった方向けにプレゼントもありますので、
    sh@1242.com
    まで、ぜひお寄せください。



    さらに、5月5日 こどもの日 13時から、
    「こどもたちにつなごう! 豊かな未来」というオンラインイベントに参加します。

    こちらのURLから、YouTube Liveでご覧いただけます。
    https://www.youtube.com/watch?v=w4VaUL1Cog8

    ぜひご覧ください。

プロフィール

箱崎みどり

東京都生まれ。2011年ニッポン放送入社。 東京大学大学院修士課程修了(修士論文のテーマは「日中戦争期における「三国志」ブーム」) 趣味は、読書、プロ野球観戦、お笑いを見ること。特技は遠泳。


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