あなたは「経営指導員」と聞いて、どんなことをイメージしますか?

地域の事業者の経営支援や地域づくりなど、さまざまな取り組みを行っている商工会。
以前、この番組では「商工会青年部」出身で、現在は経済産業大臣政務官を務める 越智俊之さんにお越しいただき「商工会の取り組み」についてお話を伺いました。その際「相談したいことがあれば、お茶を飲みに行く感覚で地元の商工会を訪れてほしい」とおっしゃっていたのが、とても印象に残っています。
各地の商工会は、その街の事業者にとって、何でも相談できる“かかりつけ医”のような存在なのです。
そんな商工会には「経営指導員」と呼ばれる方々がいます。
経営指導員の皆さんは、事業者に寄り添いながら、抱えている課題の解決に向けてさまざまな支援を行っています。
今回の『週刊なるほど!ニッポン』は、そんな商工会の中でも「スーパー指導員」とも呼ばれる凄腕の方にスタジオへお越しいただきました。
福島県石川町商工会の経営指導員、青柳孝さんにお話を伺います。

青柳孝さん
晴の輔 経営指導員になられて、どれくらいになるのですか。
青柳「福島県内の商工会で平成19年に経営指導員になりまして、今年で18年目になります」

石川町商工会ロゴ 【提供:全国商工会連合会】
晴の輔 どのようなお仕事なのですか。

石川町商工会と青柳さん 【提供:全国商工会連合会】
青柳「経営指導員は商工会で、小さな会社やお店の相談に乗り、経営の悩みを一緒に解決していく専門職です。全国に商工会の経営指導員は4,000人ほどいまして、私のいる福島県内には150人おります」
晴の輔 令和7年度経営支援事例発表全国大会で最優秀賞を受賞されたと伺いました。

全国商工会連合会、森会長から最優秀賞を授与 【提供:全国商工会連合会】
青柳「はい、そうなのです」
晴の輔 全国ナンバーワンですか。

角田全国商工会職員協議会会長(右)と渡部福島県商工会等職員協議会会長(左)記念撮影で笑顔を浮かべる青柳経営指導員(中央) 【提供:全国商工会連合会】
青柳「はい。ナンバーワンになりました」

晴の輔 実際に支援された案件で、印象に残っているエピソードはありますか。
青柳「印象に残っているのは、クリーニング店を支援した時です」

晴の輔 クリーニング店ですか。
青柳「はい。2011年の東日本大震災によって店舗が損壊しました。そして主要な取引先の撤退などにより業績が急激に悪化しました。根本的な対策が取れないまま数年が経過し、2018年に商工会の会合で私と出会ったのが支援の始まりでした」
晴の輔 青柳さんと出会ったのですね。その時のクリーニング店の状況はどんな感じだったのですか。

青柳「極めて深刻なものでした」
晴の輔 深刻。
青柳「民間金融機関からの借入返済が滞り、税金は滞納し、資金繰り表には赤字が並ぶなど手詰まりの状態でした。思い出の詰まった自宅と店舗が競売にかけられ、自宅は売却。その心労もあり、奥様は家を出て行ってしまいました。本当にお店に残されたのは、長年培ってきたシミ抜きや仕上げなどの高い技術力だけでした」

晴の輔 残ったのは、そのクリーニング店の腕だけだったということですか。
青柳「そうです。技術力だけでした」

晴の輔 支援のために何が必要だと思われたのですか。
青柳「価格の安さだけで勝負するのではなく、唯一の武器である技術力に集中することが必要だと考えました。そして品質を求める顧客層へ舵を切る戦略を立てました」
晴の輔 具体的にはどんなことをされたのですか。

青柳「料金体系を3段階に設定しました。丁寧なコミュニケーションを通じて、高単価サービスへ誘導することで、大幅な客単価アップを実現しました。そうすることで利益が出るお店へと体質改善を図りました」
晴の輔 体質改善をしたわけですね。お医者さんみたいですね。

青柳「はい(笑)。本業は改善しましたが、多額の延滞損害金や税金の滞納が残っていました。加えて、公的な金融支援も利用できませんでした」
晴の輔 はい。
青柳「そこで考えたのが、商工会と地方銀行の連携でした。取引のなかった地方銀行に対し、経営指導員がその事業性の評価や経営者の人柄を丁寧に説明することで銀行の理解を得て、新たな融資を含む再生スキームを進めることができました」
晴の輔 なるほど!結果はどうなったのですか。

青柳「劇的に改善しました」
晴の輔 劇的に。この事例は注目されたのですか。
青柳「はい。商工会による経営支援と地方銀行による金融支援が、顔の見える関係を築きながら深く連携した新しい支援の形として注目されています」
晴の輔 立て直して、うまく回って、成功したわけですね。
青柳「はい。クリーニング店の方も『奇跡が起こった』と感謝の気持ちを伝えてくださいました」
晴の輔 奇跡。ミラクル青柳じゃないですか。

青柳「本当にミラクルでした」
晴の輔 青柳さんが経営指導員として事業者の方と向き合う時に、大切にしていることは何ですか。
青柳「事業者さんをリスペクトして向き合うことです。商工会の経営指導員は、小規模事業者にとってのコンサルタント的な存在です。一番近くにいる地域の相談相手として、経営指導員を使い倒すくらいに相談していただければと思います」
晴の輔 使い倒していいのですか。

青柳「はい。使い倒していただいて大丈夫です」
晴の輔 指導員というと、どうしても『指導される』というイメージがあります。でも指導ではなくて支援です。

青柳「そうなのです」
晴の輔クリーニング店さんよかったですよね。クリーニング店だから良い洗濯、いや選択をされたわけですね。

青柳「(笑)。ありがとうございます」
晴の輔 今日は貴重なお話をありがとうございました。
青柳「こちらこそ、貴重な機会をありがとうございました」

今日は「地域の中小企業の経営をサポートしている『商工会』の『スーパー指導員』に迫る!」というトピックスでお届けしました。深刻な状況にあったクリーニング店を立て直した青柳さん。優しい笑顔の方でした。今、原油価格や物価の高騰で経営を取り巻く環境はかなり厳しくなっています。どんな小さな悩みでも、まずは商工会へ、そして経営指導員に相談してみてください。きっと課題解決の糸口が見つかると思います。
そんな「商工会のスーパー指導員」に

それでは、次回もお会いしましょう。立川晴の輔でした。
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