今年もこのお花を見かける季節がやって来ますネ。
『アジサイ』についてです。
■今週(5/17~5/21)のテーマ:『アジサイ』
5/17(月) 『アジサイの名前』
アジサイは日本生まれの植物です。
古くから『ガクアジサイ』という品種が自生していました。
そのガクアジサイがヨーロッパに伝わって品種改良されて、
逆輸入されたのが『セイヨウアジサイ』です。
『ハイドランジア』ともいいます。
セイヨウアジサイはガクアジサイよりも色が鮮やかで、
私たちがよく目にするアジサイは、このセイヨウアジサイです。
アジサイという名前の語源には諸説ありますが、
『藍色が集まったもの』を意味する
『あづさい(集真藍)』から来たとする説が有力です。
でも、アジサイという漢字は『紫陽花』と書きますよネ。
この字は中国が『唐』の時代の詩人、白居易(はく・きょい)さんの
詩の中に登場しています。
それを平安時代の学者、源順(みなもとの・したごう)さんは、
これはアジサイのことだろう・・・とこの漢字をあてたそうなんです。
ところが白居易さんが名前を付けた『紫陽花』と書く花は
アジサイではなくて別の花だったそうです。
一説にはライラックだったのでは・・・といわれています。
いずれにしても源順さんの勘違いから、
アジサイの漢字が『紫陽花』になったそうです。
梅雨が最も似合うお花、アジサイ。美しいですよネ。
本当は『あづさい』だったというお話でしたが、
なんかもはや『アジサイ』が定着しすぎて、
なまっているように聞こえてしまいますネ。
あづさい、アジサイ(笑)
5/18(火) 『アジサイの色』
アジサイには赤や青、紫などの色がありますが、これには
アントシアニンという色素と、土の中に含まれるアルミニウムが
関係しています。
アジサイがアルミニウムをたくさん吸収すると、
このアントシアニンと反応して青くなります。
逆にアルミニウムを吸収しないと、赤くなります。
その中間の量だと紫色になります。
さらに土の性質も、アジサイの色に影響しています。
土の性質が酸性の場合、アルミニウムが溶け出す量が多いため、
アジサイに吸収される量も多くなって青色になります。
逆に土の性質が中性やアルカリ性の場合、アルミニウムが溶け出す量は
少なくて、吸収される量も少ないので赤や紫色になります。
お店で買ってきたアジサイを庭に植えたところ、
次の年には違う色が咲きました・・・というのは、
よくあることなんだそうです。
これも土の性質と含まれるアルミニウムの量によるものなんですネ。
それ以外にも色に関しては、たくさんの要素が関係しているそうです。
但し、すべてのアジサイが同じように環境によって
色が変わるというわけでもありません。
例えば白のアジサイは、色素のアントシアニンを持っていません。
ですので、色が土の性質に左右されることはないそうです。
植物が育つ過程は人間の成長にも似ていますネ。
持って生まれた性質と育つ環境で、出て来る色が違ってくる。
要は個性が違ってくるんですもんネ。
アジサイ、赤も紫も青も白もみんなキレイですネ。
5/19(水) 『アジサイの豆知識①』
実はアジサイの花はお花ではありません。
どういうことかと言いますと、私たちがお花のように見えているのは
『がく』と呼ばれるものです。
『がく』は花びらの外側にあって、お花を支えて
つぼみの時にはお花を守っています。
アジサイをよく見ると、お花の中にさらに小さいお花があるように
見えるかと思います。
実はこの小さなお花がアジサイの本当のお花で、
花びらのように見える周りの大きな部分が『がく』なんです。
そんなアジサイの根っこですが、横にしっかりと伸びていきます。
その特徴を活かして、土砂が崩れるのを防ぐために
植えられていることもあります。
山の斜面にアジサイが咲いているのをご覧になったことあるかと
思いますが、こういった理由もあるんですネ。
ここに根っこの写真がありますが、まるで短いゴボウのようです。
そんなアジサイの花言葉の1つに『移り気』があります。
これは色が時期によって変化することから付けられたと
いわれています。
色ごとの花言葉もありまして、例えば青は『辛抱強い愛情』、
ピンクは『元気な女性』、白は『寛容』です。
よくお寺さんとかでもアジサイの名所になると
“アジサイ寺”と別名が付いたりしますよネ。
アジサイ寺と聞くと、私は鎌倉の長谷寺を思い出します。
アジサイは土砂崩れ防止になるんですネ。
見た目にも美しいし、土砂崩れも防げて、そして観光客もやって来る。
一石二鳥以上のものがありますネ。
5/20(木) 『アジサイの豆知識②』
見た目にはとてもキレイなアジサイですが、毒を持っています。
『この毒によって外敵から葉っぱを守っている』という説もあります。
この時期、季節感を出すために、お料理やお弁当に
アジサイの葉っぱが添えられることがあるそうですが、
それを食べたことで中毒症状を起こした例が、
いくつも報告されています。
そのため厚生労働省は『食用は避けるべき』と
注意を促しています。
このアジサイの毒の成分ですが、様々な説がある中、
詳しいことは明らかになっていないそうです。
そのため人間だけでなく、イヌやネコといったペットに対しても、
食べたりしないように注意が必要だそうです。
アジサイと聞いて“葉っぱにカタツムリが乗っている姿”を
イメージされる方、いらっしゃるかと思います。
そうなると、カタツムリはアジサイの毒は大丈夫なの?と思いますが、
カタツムリはアジサイの葉っぱを食べないそうなんですネ。
『仮に食べたとしても、カタツムリの消化器官は毒性を発生しないので、
影響はない』という説もありますが、先程も言いましたように、
アジサイの毒の成分については明らかになっていませんので、
この説が正しいかどうかは分からない状況だそうです。
それでもカタツムリがアジサイの葉っぱに乗っているのは、
一説には『雨を避けるため』なんだそうです。
イラストとかでもカタツムリがアジサイと一緒というのは、
よく描かれていますよネ。
セットのように認識していました。
でも知らず知らずに食べてしまったら大変なので、
アジサイの葉っぱにはくれぐれも気をつけてください。
キッチンには持ち込まないようにしてくださいネ。
5/21(金) 『アジサイにまつわるエピソード』
江戸時代の終わりの頃、長崎の出島にドイツ人の医師、
シーボルトさんがやって来ました。
シーボルトさんは病人の診察の他に塾を開いて、
日本人の医師に医学を教えました。
さらに博物学者として、日本の風物や植物などを
世界に広く紹介しました。
そんなシーボルトさんですが、楠本(くすもと)たきサンという
女性と出会い、結ばれます。
ある日、アジサイを見つけたシーボルトさんは大変気に入って
著書『日本植物誌』で紹介しました。
その時、アジサイに付けた学名が『ハイドランジアオタクサ』でした。
ハイドランジアとは『セイヨウアジサイ』のことですが、
オタクサとは楠本たきサンのことなんです。
楠本たきサンは“おたきさん”という愛称で呼ばれていましたが、
それがシーボルトさんには『オタクサ』に聞こえたんだそうです。
いずれにしても、愛する女性の名前を
アジサイに付けたということです。
そういった理由から、長崎ではアジサイのことを
『オタクサ』とか『オタキサンバナ』と呼ぶこともあるそうです。
またアジサイは長崎市の花にもなっています。
ステキなエピソードですネ。
自分の名前をお花につけてくれる男性、イイですネ。
にやけてしまいます。
でもきっと強くて、たくましくて、そして美しくて可憐な
アジサイのお花がおたきさんにリンクしたんでしょうネ。
■今週の感想
もう既に梅雨入りしている所もありますが、
アジサイほど梅雨に似合うお花って、ないんじゃないでしょうか。
少なくとも私はそう思っています。
アジサイのお花と思っていた部分が、実は『がく』だったり、
見た目はキレイでも実は毒を持っていたりと、
アジサイの世界って奥深いです。
今年はコロナの影響で、アジサイ寺を回るのもままならない状況ですので、
家の近くを散歩した時、アジサイを見かけたらじっくり見てみたいと思います。
アジサイって時には“こんな所にも咲いてるの?”と思うことってありますよネ。
今年も意外な所でアジサイに出会えるのを楽しみにしてます。
【お知らせ② 次週(5/24~)からのテーマ】
私もよく食べます!『おにぎり』についてです。
【お知らせ③ 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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