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2023.09.22

短歌に込めた思いが詰まった、上坂あゆ美 第1歌集『老人ホームで死ぬほどモテたい』

歌人・エッセイストの上坂あゆ美さんが登場。

短歌を作り始めたきっかけや、上坂あゆ美流の短歌のつくりかた、

そして、2022年に発表した話題の第1歌集『老人ホームで死ぬほどモテたい』

(書肆侃侃房)の作品について、

さらにそこに込められた思いなど伺いました。

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歌集:『老人ホームで死ぬほどモテたい』(書肆侃侃房)

 

上坂あゆ美の短歌

最初の短歌集『老人ホームで死ぬほどモテたい』(書肆侃侃房)には、

地元や家族、学校でうまくいかないという気持ちが

多く含まれている。

ネガティブな気持ちから詩や短歌を作る人と、

そうでないものからつくる人がいると思う。

自分は、怒りや不満がモチベーションになっていたタイプなので、

テーマをこれにして作ろうというよりは、

作っていたらそうなったという感覚。

一歩引いて冷静に見ているとよく言われる。

あまり意図的にやっているということではない。

地元が好きでなかった、また、家庭の事情などの思いが

正直に書かれている。

架空のことで書く人もいるが、自分は実体験が多い。

 

 

短歌を始めたきっかけ

詩や短歌など、芸術は、イデアだったり、理想だったり、

美しいと思ったものを切り取るものだと思う。

悩みながらも強く生きていくということが人生で一番美しい

という感覚がある。

短歌は2017年から書いている。プロになってからは1~2年。

子どもの頃は詩や歌などは書いていなかった。

学校の授業で俵万智さんを知るぐらいだった。

もともとは文章より絵を描くことの方が得意だと思っていたので、

美術大学に行った。

ここで油絵や彫刻や映像をやっていたが

とても作るのが大変、作品は大きく、時間もかかる。

短歌に出会った時に、とてもコスパがいいと思った。

31文字でいいのか!と感じた。

 

 

歌集:『老人ホームで死ぬほどモテたい』ができるまで  

自分は、短歌になりそうなことをiPhoneにメモをしていて、

作るぞというときにパソコンで31文字にしていく。

短冊に書いているのかと聞かれることがあるが、

そうではなく、スマートフォンで書いている。

もともと短歌を作り始めて、新聞や雑誌の投稿欄に送っていた。

歌集:『老人ホームで死ぬほどモテたい』(書肆侃侃房)は

この書肆侃侃房で新人歌人を発掘するという企画があり、

応募したところ、選んでいただいた。

本来、短歌は短歌結社や学生短歌会など組織に所属し、

そこで磨き上げられて本をだすというのが一般的なルート。

それでいうと自分は急に出てきた人という感じ。

30首あれば応募できるという感じだったが、

そのとき自分の手持ちは40首しかなく、

そのうちの30首をだした。

一般的に歌集を出される方は500首や1000首つくり、

その中の300首とか250首を出すという世界。

この歌集も280首入っているが、そのようなルールを知らず、

自分は300首以上つくり、280首を出したという形だった。

 

エッセイと短歌

エッセイも書いている。

詩は現実を超越している存在で、

エッセイの方が現実に即しているものでありやすいが、

自分の場合は短歌も現実なので、

現実を超えた創作ができる人にあこがれがある。

31文字でつくったほうが美しいものか

長くかいたほうが美しいものかで

短歌かエッセイかを判断。

同じ素材をどっちの料理にするかを判断しているような感覚。

第一歌集:『老人ホームで死ぬほどモテたい』を出した後

書きたいことを書いたという一種の脱力感がある。

短歌が自分にとって大事なものであるからこそ、

短歌にせざる得ないときがくると思うので、それまで待ちたいと思う。

歌集をだした後、作風が変わった。

色々なものに対する怒りがなくなった。

次は嬉しさ、楽しさ、現実以外の歌作をしてみたいと

取り組んでいるところ。

 

これからの夢

歌集:『老人ホームで死ぬほどモテたい』では

10代の辛かった自分を成仏させたいという思いを表現。

この本を作る過程で、解き放たれた感じ。

本の最初と最後の方では歌が違う。

地元や自分の生い立ちを認める過程は

一歩一歩という感覚がある。

自分に自信がなかったのだと思う。

仕事なり、表現なり、生き方なりで

だんだん自分が自分を認められるようようになったときに

初めて地元や家族に助けられていたことを認められた。

このような過程は歌をつくっていた感じられた。

自分の作品は自分のように悩んでいたり、

地元でモヤモヤしている若い子や

そういう気持ちをもっているすべての人に届けたい。

 

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