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2024.04.10

養老孟司さんに聞く!虫も人も生きづらい時代、生き易くなるにはどう考えるか、

無類の昆虫愛好家、昆虫学者として知られる

医学者・解剖学者の養老孟司さん登場。

虫も人も生きづらい時代、昆虫も人間もそれほど変われない。

どんな虫が’生き残っているのか?

では、人間はこれからどう考え、進むべきか

人間関係での悩みにどう対処するべきか

生き易くなるにはどう考えるか、

養老孟司さんに伺いました。

「形を読む 生物の形態をめぐって」(講談社学術文庫) コチラ

 

 

養老先生を魅了する昆虫の世界

解剖学と昆虫の世界はそっくり。

“どうしてこのような形をしているのか”ということや、

“色や形を目で見て考える”ということは解剖と似ている。

生き物の形、構造から話を進めていくというのはどちらも同じ。

昆虫の研究から、人体の常識を訂正させられることも多い。

虫に関心がずっとあったので、自分が医学の世界でできるとしたら

解剖のようなことだと思った。

まずは昆虫採集から始まる。

始めたら面白くてやめられない。

特に好きな虫はゾウムシ。

同じ昆虫でもカブトムシやクワガタの仲間は

好きな人がいるので、標本をあげてしまう。

大学を辞め、これから虫集めをやろうと思った時に、

一番たくさんきちんと残っていたのがゾウムシの標本だった。

ゾウムシは体が硬くて持ちがいい。

昆虫と人間と根本的に形が違う。

人間は内骨格、昆虫は外側が骨。全く同じようには扱えない。

 

 

養老先生と昆虫採集  

海外にも昆虫採集に行く。一番行くのが東南アジア。

ラオスは南北に長く、南から北へ虫が変わっていく面白い国。

多様性が高く、日本では見られない虫もかなりいる。

この30年間で世界中の昆虫が8割、9割減った。

人間の子どもの数も減っているように、

地球全体が「生き物が住みにくい状態」に変わって来ている。

人の生き方を少し考え直さないといけない時代に来ていると思う。

今は情報化社会だが、

本当にものを考えるときは体全体で考える。

体幹を伴っていない言葉は重みがない。

昆虫は脳が非常に小さく、体全体で考え、生きている。

ちょっと外に出ると虫を探してしまう。

解剖学と昆虫の研究は分かれているのではなく、

ほとんど同じもの。

人が色々な仕切りをいれていて、

人と昆虫の間に線を引いているが、

自然は分かれているわけではない。

 

 

養老先生が見る昆虫世界と人間世界

都市化による、昆虫の生息地や形態の変化については、

昆虫の体はそう簡単には変わらない。

環境に対応するのではなく、対応できるものが生き残っている。

ゴキブリがその典型。

生き物にはだいたい愛着があるが、ゲジゲジとクモは嫌い。

なので、虫が嫌いという人を無理解と思っているわけではない。

良く見ず、全部虫として、ひとくくりにしているだけ。

よく見ると、きっと、好きな虫、嫌いな虫が分かれてくる。

今の子供たちは自然体験が少ないというより、

頭の中から自然というものを消してしまっている。

ない方が高級などと思ってしまっている。

意識下にないものは排除する。

虫は、決まった時間に、決まった場所にでてくるのではなく、

予測ができない。人間が予想できないものを排除している。

人間の考えたように世界を運用しているのが今の世界。

人間は、勝手に存在してはいけないものを決めている。

だから、人の意識を変えていかないといけない。

この形では地球全体がもたなくなっている。

「地球の健康」ということまで言われるようになったが、

このような世界は長続きしない。

 

 

養老先生が考える地球の健康への道

天災があると人はゼロから考え直す。

身近なところから考えないと人はなかなか納得しない。

人は、居心地がいい状況から外されると、戻そうとする。

居心地のいい状態がどうだったか考えざるを得なくなる。

あたり前だと思っていたことを考え直す。

それぞれが自分の食べ物をどうやって手に入れるか

水はどこからひいてくるか、エネルギーはどうするか?

ということを自分のこととして考えるようになる。

そうすれば世界がよくなる。と思う。

標語をつくって号令をかけても変わらない。

著書「形を読む 生物の形態をめぐって」(講談社学術文庫)は、

生き物をみて、人間がモノを考えるときに、

どういう考え方をするのかということを、若い時に考え、書いたもの。

自分が最初に書いた本のひとつ。

 

 

養老先生と昆虫館

箱根にある「養老昆虫館」。

大学に勤めている間は虫採りにいかなかったので、

若い時に採集した標本を皆にあげていたが、

それでも残ったものがたくさんあったので、様々なところに預けていた。

それを何とかしたいと思い、「養老昆虫館」に収めた。

人間関係について、よく「相手のことがわからない」というが、

自分は、わかる方が不思議だと思っている。

そう思うほうが楽。わかった時に嬉しい。

人との付き合いが増えてくると、相手のことがわかると思いがち。

理解の基準が上がりがち。

虫を相手にしていると、相手がわかっているかは全くわからない。

わかるわけないと思っているほうが楽。

人間に対してもそう思えば良い。

相手がいろいろなことを言ったり、思いもよらないことをしても

腹も立たないし、みていればいい。

そういう意識を持つことで、人間関係からの生きづらさが

なくなっていくかもしれない。

虫をいじって標本をつくる。今はこれが一番楽しい。

虫を採っても、あんまり小さいので野外ではよく見ていない。

それを顕微鏡で見ると発見があり、楽しみである。

 

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