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2022.10.07

「もみじの家」の内多勝康さんに聞く医療的ケア児のための短期入所施設の現状

元NHKアナウンサーで、現在は、国立成育医療研究センターの

医療的ケア児のための短期入所施設「もみじの家」のハウスマネージャー

内多勝康さんが登場。

53歳でNHKの看板アナウンサーから転職し、

「もみじの家」で働き始めた思い。

さらに医療的ケア児を支える社会について伺いました。

「もみじの家」ホームページ  詳しくは コチラ

Facebook コチラ

YouTube チャンネル コチラ

*内多勝康さんの著書

『53歳の新人―NHKアナウンサーだった僕の転職―』(新潮社)

 

「もみじの家」とは?

「もみじの家」はおもに医療的ケアが必要な子どもが利用する短期利用施設。

日本は小児医療のレベルが高く、かつては重い病気で助からなかった子も

救命されるようになり、退院できるようになった。

しかし、一方で家でも人工呼吸器による呼吸管理など

様々な医療措置を必要とする子どもが増えている。

24時間、365日のケアが必要ということで、家族の負担が増えている。

病院の中で高度な先進医療を提供するだけでは、

家族の本当の幸せにつながっていないのではないか。

退院したあとも在宅生活を支えることが必要ということで、

看護師が24時間いるのでケアの心配がなく、

医療的ケア児と家族が安心して数日間過ごすことができる

ショートステイを作ろうと、もみじの家が設立された。

この設立のタイミングで自分もNHKのアナウンサーから転職。

「もみじの家」では家族が子供と一緒に過ごしてもよい。

ケアは看護師がおこなうため、ケアに追われることなく、

本当の意味での一家団らんを楽しめる。

また、子どもを預けて、家族は家に帰ってもよい。

熟睡したり、病院にいくことができるなど、いろいろな使い方ができる。

 

障害者福祉の道へ

NHK時代の様々な経験が布石となり、転職に結びついている。

1995年の阪神大震災の時、大阪放送局に勤めていた。

このとき、どのような放送が必要なのか、するべきなのかを

真剣に考えるようになった。

放送は誰かの役に立っているべきという意識が強くなった。

川崎市に公務員として働いている重い自閉症の男性がいるときき、

会いに行った。

会話自体が難しかったり、自由な意思で動いてしまうということで

最初に会った時は、公務員として働くことができていることが不思議だった。

しかし、実際に彼の職場にいってみると、

老人ホームの清掃の仕事をきっちりしていた。

この時自閉症だからこうであるという先入観をもつことは慎むべきだと感じた。

その人の幸せが何なのか、

そして、職場の環境が整えば重い障害があっても仕事ができるということを

発信することはとても意味があることで、

同じ境遇にある人の希望になると思い、番組したいと考えた。

その番組を実現。この制作が転機のひとつになった。

番組を作ったことで、障害者福祉の関係者から注目され、人脈が広がり、

ここから自分のフィールドとして障害者福祉が揺るがないものになった。

 

 

53歳での転職 

名古屋で単身赴任していて、仕事に前向きでなくなっていた時期に

時間ができたので、前から関心があった社会福祉士の資格を取ろうと思った。

通信制の専門学校に入学し、資格を取得。

この時は、定年後に使えればいいと思ったが、転職の時にこの資格がいきた。

社会福祉士は支援が必要な人と実際にある支援を結びつける

ソーシャルワーカーという職種。

必要な支援がない時には、自分で世論や行政に働きかけて

仕組みをつくる。これをソーシャルアクションという。

この響きが恰好よく、そのようなことができる仕事は

生きがいに繋がると思った。

「もみじの家」の話が自分のところにきたときに、

まさにソーシャルアクションができる現場だと、自分の中で腑に落ち、

NHKを退職する決断ができた。

たまたまその現場が自分の目の前に現れた。これはとても幸運なこと。

自分は障害福祉に関心があり、真剣なんだということを

周りの人に伝えることができていたのだと思う。

それにより、もみじの家の情報をいち早くキャッチすることができたし、

転職をし、もみじの家での最初の一年は役に立たず、怒られてばかりだった。

今ではいろいろできるようになったが、全然違う人間になった感覚。

 

ハウスマネージャーの仕事と組織づくり

ハウスマネージャーの仕事のひとつは、

「もみじの家」全体の事業計画を立て、年度ごとの方針を固める。

もうひとつは、広報。マスコミにいた自分が期待されているところであり、

ホームページの管理、ニュースレターの発行などをおこなっている。

運営の赤字を補てんするための支援を呼びかけてもいる。

この仕事は、人と人をつなげる仕事で、自分の性に合っていると思う。

繋がると、予想もしない化学反応が起こる。

現在、都道府県ごとに医療的ケアに関する家族会を作るという取組みに

力をいれている。

ソーシャルアクションを起こしたいと思っていてもひとりの力では変わらない。

当事者の声が行政に届き、行政とのパートナーシップが生まれることで

少しずつ制度や仕組みがリニューアルされていく。

都道府県ごとにそのようなアクションができるために、

家族会という組織が必要と考えた。

47都道府県の家族会ができたので、

それを、一つに結ぶネットワークの団体をつくり、

具体的にどのようなアクションを起こすかを夜な夜なZOOM会議をおこなっている。

あらゆるライフステージの中の支援を考えていかなければならない。

「もみじの家」だけではできない、幅広い支援のありようを家族会のみなさんと

考えていきたい。

 

 医療的ケア児を支える社会

もともとはディレクター志望でNHKを受けた。

必要だというものを社会に発信するために取材したり、人を集めたりし、

どのようなプログラムを組むかという点で、

今の仕事はディレクターと似ていると感じることがある。

人の思いを受け止めて一緒に番組をつくり、発信する。

放送はどうやったら見たり、聴いたりしている人に届くか、伝わるかを追求する現場。

それはとても勉強になり、今の仕事にいきている。

身近に医療的ケア児がいないことで関心の持ちようがないという人もいると思う。

しかし、医療的ケア児の家族は家の中のケア、時々病院へ通院など、

限られた世界の中でしか暮らしがない。

地域の中に居場所を作ってあげることが必要。

その裾野がひろがれば、医療的ケア児と家族の存在が

身近に感じられる場所が増える。

そこから、子供たちをどのように支えるいろいろなアクションがおこる。

たとえば保育園や幼稚園にいく、そのあと学校に行く、そのサポートが

切れ目なく繋がっていくような社会が理想。

そうすればインクルーシブな社会の可能性が日本でも大きくなると思う。

大人は子供を守る存在。大人として子供をどう守るか。

守るために仕組みがたりないのなら大人が知恵を結集して変えていくべき。

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