「聞くだけで元気になる情報」をお届けする”ぐっさんの健やかDAYS”
第28回目のテーマは…「臓器提供」
今回は、「移植」がご専門の
日本移植学会理事長東京女子医科大学消化器外科教授の江川裕人先生に、
臓器移植についてお話を伺いました。
▼臓器提供とは
臓器移植は、心臓、腎臓、肺、肝臓などが、様々な病気で働かなくなり、
薬や他の手術では直すことができなくなった時に、最後の頼みの綱として、
他の人から臓器をいただいて治療する方法です。
日本でも、胃や大腸の手術と同じように、
保険診療という一般医療として行われています。
余命半年という患者さんが、社会復帰して本来の寿命を纏うできる
奇跡のような治療ですが、生きた人や亡くなった人から臓器を
いただかなくてはなりません。
免許証や保険証の裏には、
臓器提供の意思表示欄を書く欄があります。
最新の内閣府調査によると、全ての年齢の回答者の約4割が、
自らの臓器を「提供したい」と前向きに考えています。
50歳未満だと、6割の方が前向きに考えています。
しかしそれに対し、実際に免許証などに意思表示をしている人は、
たったの13%程度なのだそうです。
したいと言っている人は多いのに、意思表示をしている方は少ないらしく、
ただ意思表示がないと、臓器提供することが難しいそうです。
最大の理由は、脳死になった時に最終決定するのは、ご遺族の方々だという点です。
「遺体に傷をつけたくない」というのが多くの日本人の心情なので、
どうしても躊躇してしまう。
しかし、生前に「臓器提供をしたい」という話を故人から聞いていたら、
思いを叶えてあげようということで、辛さを乗り越えて、提供できると思います。
逆に「私はイヤ」という話を聞いていたのであれば、
その時が訪れた時に「お断りします」とはっきりいえます。
そのためには、普段から家族の中で話をして、
万が一の時はこうしたいという意思の確認をすることが、重要です。
死後の臓器の提供には脳死による死後の提供と、心臓が停止した死後の提供があります。
どちらの場合も、生前に臓器提供の意思をカード等で意思表示しておくことが大切です。
2010年、臓器移植法の一部改正に伴い、
臓器提供に関する内容が変更になっています。
本人が、書面による臓器提供の意思を表示していない場合でも、
家族の同意による脳死判定や臓器の提供が可能になりました。
これにより、15歳未満の方でも脳死後に家族の同意があれば、
臓器を提供することが可能となります。
▼提供された臓器
提供された臓器は、移植を待つ患者さんに、
国が管理する厳格なルールに則り移植されます。
現在、日本にいる移植待機者は1万3千人。
しかし、1年間で移植を受けられる人はそのわずか2.0%となります。
亡くなった時に、自分には必要のないものを、
必要とする見ず知らずの人に渡せることは、最上級の愛情。
「亡くなったらどうする」ということだけではなく、
『誰かのためにできること』を考えることが、
臓器提供の意思表示につながるのかもしれません。
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