スポーツ伝説

2024.03.08

2024年3月4日~8日の放送内容

【プロ野球 門別啓人投手】
 右バッターの内角をえぐる150キロのストレート、通称“クロスファイヤー”が武器のサウスポー、阪神タイガース・門別投手は、高卒2年目の19歳です。東海大学付属札幌高校時代、3年生春の地区予選では自慢のクロスファイヤーを駆使して1試合で20奪三振をマーク。甲子園への出場経験はありませんが、2022年のドラフト2位で阪神タイガースに入団しました。1年目の昨シーズンは、阪神がリーグ優勝を決めた翌日、9月15日の広島戦で1軍デビュー。2番手で3回を投げ、3失点のほろ苦いデビュー戦となりました。しかし9月30日の同じ広島戦ではプロ初先発を務め、5回を投げて無四球・無失点の好投。打線の援護に恵まれずプロ初勝利とはなりませんでしたが、これで注目を浴びました。昨年の秋季キャンプで著しい成長を見せた門別投手を、岡田彰布監督はキャンプの史上最高MVPと高く評価。今年の春季キャンプ1軍スタートを明言しました。
 2003年に20勝を挙げて、阪神の18年ぶりのリーグ優勝に貢献した井川慶投手になぞらえ、“井川2世”とも呼ばれる門別投手。その井川さんは「持っているものは自分よりも上」と、後輩を讃えました。また50歳まで現役を続け、通算219勝を記録した元中日のサウスポー・山本昌さんは、阪神の春季キャンプを訪れた際、岡田監督に“マサ2世”と紹介され、山本昌さんも「僕より球が速い。フォームのバランスもいい。本当に欠点がない」と、門別投手を絶賛しています。そんな門別投手の今年の目標は、開幕ローテーション入りしてプロ初勝利を挙げること。そして20歳で迎える秋に、優勝の美酒を味わうことです。

 

【プロ野球 松山晋也投手】
 188㎝の長身から繰り出す最速155キロのストレートを武器に、リリーフ投手として欠かせない存在になった中日ドラゴンズの松山投手。高校時代は目立った戦績もなく、青森の八戸学院大学では、ストレートは速くてもコントロールに難があり、まったく無名の存在でした。転機になったのは、3年生秋のこと。監督に厳しい叱責を受け、一念発起してブルペンで200球以上を投げ込むなど、練習の量と質を見直しました。4年生秋のリーグ戦では制球難も解消され、ようやく才能が開花。150キロ台の速球で次々と三振を奪えるようになり、プロのスカウトにも注目されるようになった松山投手は、2022年の育成ドラフト1位で中日に入団しました。1年目の昨シーズンは2軍で、開幕から2ヵ月ほどで10セーブを記録。6月5日に早くも支配下登録を勝ち取ります。そして6月17日、北海道日本ハムとの交流戦で1軍初登板を果たした松山投手は、3者連続三振の鮮烈なデビューを飾りました。
 その後も安定したピッチングを続けた松山投手は、中日のリリーフ陣にとってなくてはならない存在になっていきます。7月9日の広島戦では、大学の大先輩・秋山翔吾選手を空振り三振に仕留めるシーンも。8月以降になると、勝ちパターンの試合で主に8回に登板。抑え投手につなぐセットアッパーを務めるようになり、19試合連続で無失点ピッチングを続けました。1年目は36試合に登板して1勝1敗17ホールド、防御率1・27という好成績を挙げた松山投手。オフの契約更改で大幅な年俸アップを勝ち取り、まさに飛躍を遂げたシーズンとなったのです。真価を問われるプロ2年目の今シーズンは、「防御率0点台」「球速160キロ」「50試合登板」を目標に掲げます。
  
  
     
【プロ野球 齋藤響介投手】
 エースの山本由伸投手と山﨑福也投手、主力が2人も抜けたオリックス・バファローズにとって、その穴を埋める存在と期待されている若手ピッチャーが、高卒2年目の齋藤投手です。中学時代には岩手県選抜に選ばれ、全国大会で準優勝の結果を残した齋藤投手。しかし高校は甲子園常連校ではなく、自宅に近い盛岡中央高校を選択します。その理由は、県内の強豪校を倒して甲子園に行きたいという負けん気の強さからでした。3年生の時、夏の岩手県大会準決勝で優勝候補の花巻東高校と対戦。強力打線を2失点に抑え、147球の熱投で勝利しました。続く決勝戦は惜しくも敗れて甲子園出場の夢は叶いませんでしたが、齋藤投手はこの岩手県大会で最速152キロ、1試合19奪三振を記録して注目され、2022年のドラフトでオリックスの3位指名を勝ち取ったのです。
 高卒1年目の昨シーズン、齋藤投手は2軍で地道に実戦経験を積むと、9月26日の西武戦で1軍デビュー。プロ初登板・初先発というプレッシャーのかかるマウンドに立ちます。毎回ランナーを許す苦しい展開でしたが、最速150キロのストレートと切れ味鋭いスライダーを低めに集めて得点を許さず、4回を2安打無失点と堂々のデビューを飾りました。身長や体格も山本投手とほぼ一緒で、伸びのあるストレートを投げ込む姿も似ていることから、“ネクスト山本由伸”と呼ばれる齋藤投手。オリックスは宮城大弥投手をはじめ、2年目の活躍をきっかけにブレイクする若手投手が多いチーム。斎藤投手も今シーズン、飛躍の2年目を目指します。

  
【大相撲 琴ノ若傑太関】
 琴ノ若関は、祖父が昭和の名横綱・琴桜関。父親で師匠の佐渡ケ嶽親方は元関脇で、初代の琴ノ若関。親子3代の力士であり、“角界のサラブレッド”と呼ばれています。9月の秋場所で新関脇に昇進すると9勝、11月の九州場所で11勝を挙げ、初場所は大関獲りがかかる場所となりました。初優勝と大関昇進を果たしたら、祖父のシコ名「琴桜」を襲名すると心に誓った琴ノ若関。初日は阿炎関に完勝すると、その後も快調に白星を重ね、9日目に早くも勝ち越し。10日目には、1敗で並んでいた大の里関を破って、優勝争いの単独トップに立ちます。その琴ノ若関に待ったをかけたのが、横綱・照ノ富士関でした。過去5戦全敗と分が悪い相手に寄り切りで敗れ、琴ノ若関は2敗で追っていた横綱に並ばれてしまいます。
 横綱戦の13日目を終えて11勝2敗。大関昇進の目安となる13勝を挙げるためには一番も落とせなくなった琴ノ若関は、ここで気持ちを切り替えます。14日目、2敗で並ぶ大関・霧島関の激しい攻めに耐えた琴ノ若関は、寄り切って12勝目。さらに千秋楽、翔猿関を破って13勝に到達し、優勝こそ逃しましたが大関昇進を確実にしました。5月の夏場所からは、祖父のシコ名「琴桜」を継承する予定の琴ノ若関。新大関が次に目指すのは、もちろん横綱、そして偉大な祖父を超えることです。

 

【大相撲 大の里泰輝関】
 日本体育大学時代に2年連続でアマチュア横綱に輝き、名門・二所ノ関部屋に入門。昨年5月の大相撲夏場所で幕下10枚目格付け出しでデビューした大の里関。昭和以降歴代3位タイ、所要4場所のスピード出世で新入幕を果たした大の里関は、マゲも結えない状況ながら幕内で相撲を取ることになります。ふるさとの石川県津幡町は、元日に発生した令和6年能登半島地震で大きな被害を受けた所です。初場所前、自分が頑張っている姿を見せることでふるさとを少しでも元気づけようと考えていたという大の里関。初日に武将山関をはたき込みで倒し白星スタートを切ると、8日目には石川県の先輩・遠藤関、9日目には明生関を破り、4日目から6連勝。場所前の目標だった勝ち越しを早くも達成したどころか、8勝1敗という堂々たる成績で優勝争いに名を連ねたのです。
 しかしここから相手が厳しくなります。10日目は、1敗で並ぶ関脇・琴ノ若関に力で土俵の外に吹き飛ばされ、寄り切られます。11日目は大関・豊昇龍関、12日目には横綱・照ノ富士関と対戦し、いずれも豪快な投げで3連敗を喫しますが、新入幕の力士が上位陣と当たること自体が非常に稀なこと。この三番は、大きな成長の糧になりました。13日目からは平幕力士を相手に3連勝を飾り、新入幕の場所を11勝4敗で終えた大の里関は、三賞の敢闘賞を初受賞。ふるさと・石川県に元気を与える若武者の活躍から目が離せません。

  
来週のスポーツ伝説は……
 3/11(月) 高校野球 高橋奎二投手
 3/12(火) 高校野球 林謙吾投手
 3/13(水) M L B  松井秀喜選手
 3/14(木) M L B  松坂大輔投手・岡島秀樹投手
 3/15(金) M L B  イチロー選手
                お楽しみに!!

    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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