スポーツ伝説

2024.03.01

2024年2月26日~3月1日の放送内容

【プロ野球 山下舜平大投手】
 オリックスの新たなエースを目指す山下投手は、高卒4年目の21歳。190㎝、98kgの恵まれた体を持ち、テークバックを小さく取る投球フォームが大谷翔平選手の投げ方と似ているところから、“大谷二世”とも呼ばれる逸材です。入団から2年間は2軍でじっくりと育てられ、3年目の昨シーズンに開幕投手として1軍デビュー。昨年は開幕直前の3月にWBCが行われ、オリックスからは山本由伸投手と宮城大弥投手が出場していたため、疲労を考えてこの大抜擢が実現しました。山下投手は6回ワンナウトまで投げ4安打1失点。勝敗はつきませんでしたが、無事に開幕投手の役目を果たしました。続く4月11日の楽天戦では、5回を無失点に抑えて嬉しいプロ初勝利。そこから無傷の開幕5連勝を飾ります。前半戦は8勝2敗、防御率1.49の好成績を残し、オールスターゲームに初めて選出。第2戦に先発すると、18球中17球がストレートという直球勝負で2回を1安打無失点に抑え、敢闘選手賞を受賞しました。
 8月26日のロッテ戦で、山下投手は自己最速の160キロをマークします。ところがこの試合の投球練習中に腰の張りを訴えて緊急降板。登録が抹消され、そのままシーズンを終えることになりました。最終的に9勝3敗、防御率1.61。パ・リーグ新人王に輝いた山下投手は今シーズン、ドジャースに移籍した山本由伸投手に代わるエースの座を目指します。昨年チームを離脱した後も、山下投手はリハビリとトレーニングに励む一方で、体のサイズアップを目指して食トレを実践。体だけでなく背番号にも変化を求めた山下投手は、12番から自ら望む11番へ変更します。この番号は、山下投手が尊敬するメジャーリーガー、ダルビッシュ有投手の代名詞とも言える背番号。この新たな番号を背負い、若きエースへの飛躍を誓いました。

 

【プロ野球 宇田川優希投手】
 オリックス・バファローズのリリーフの柱である宇田川投手は、2020年の育成ドラフトで3位指名を受けて入団。2年目の22年、シーズン後半に支配下登録を勝ち取り1軍に昇格します。力のある剛速球とフォークを武器に、リーグ2連覇と26年ぶりの日本一に貢献。この活躍を買われて昨年3月に開催されたWBCにも出場し、侍ジャパンの一員として世界一を経験しました。帰国後も開幕から9試合に投げ7ホールド、防御率1.17と活躍しますが、上半身のコンディション不良で4月23日に出場選手登録を抹消されてしまいます。ファームでもなかなか調子が戻らず苦しい時期もありましたが、自分のピッチングを一から見つめ直した宇田川投手。6月13日に1軍復帰すると、勝利の方程式の一角を担い、昨シーズンは46試合に登板して4勝2セーブ20ホールド、防御率1.77の好成績でリーグ3連覇に貢献しました。
 阪神との日本シリーズでも、宇田川投手はフル回転します。第2戦から第4戦まで3試合連続で登板し、許したヒットはわずか1本。無失点と安定感のあるピッチングでチームを救いました。しかし2勝2敗で迎えた第5戦、2点リードの8回に登板した山﨑颯一郎投手が打ち込まれて1点差に迫られ、ワンナウト二・三塁。ここでマウンドへ上がった宇田川投手ですが、3連投の疲労もあってか、森下翔太選手と大山悠輔選手に連打を浴びて試合をひっくり返されてしまいます。その雪辱を果たすべく登板したのが、3勝3敗で迎えた第7戦。7回にマウンドに上がり先頭の森下選手を打ち取ると、後続も抑え3者凡退。試合には敗れましたが、手ごたえをつかみました。今シーズンからは背番号を96から14番に変更し、目標の最低ラインを50試合登板、いずれは抑えも見据えています。
  
  
     
【プロ野球 東晃平投手】
 2017年の育成ドラフト2位でオリックス・バファローズに入団した東投手。1日6食の食トレで入団時よりおよそ20kgも体重を増やしたことで、ストレートの球速もアップし、5年目の2022年7月に支配下登録と1軍昇格を勝ち取ります。8月6日には北海道日本ハム戦に先発し、5回3分の1を1失点に抑えて待望のプロ初勝利を挙げました。この年は初勝利の1勝だけで終わり、さらなる飛躍を誓って迎えた6年目の昨シーズン。開幕前の3月7日、WBCに向けた侍ジャパンの強化試合に、東投手は先発投手として登板することになります。初回、3番・大谷翔平選手、4番・吉田正尚選手に連打を浴びて先制点を許すと、6番・村上宗隆選手にスリーランを打たれて4失点。2回にも3点を奪われ、2回7失点でマウンドを降りました。ストレートには自信があっても、変化球の精度を上げないと一流打者には通用しないと痛感。自分のピッチングを見つめ直すいい機会になったといいます。
 昨シーズンはリリーフ投手として開幕を迎えた東投手ですが、2試合連続で失点して4月上旬に早々と2軍落ちの屈辱を味わいます。しかし、そこで課題の変化球に磨きをかけて7月に1軍へ戻ってきた東投手。7月30日の北海道日本ハム戦で先発すると、5回2失点でシーズン初勝利を挙げました。ここから、快進撃が始まります。先発するたびに安定したピッチングを続けた東投手は不思議と負けがつかず、6連勝をマーク。無敗のままレギュラーシーズンを終え、オリックスのリーグ3連覇に貢献しました。前の年の勝利も合わせると、デビューから7連勝となり球団記録を更新。すべて先発でのデビュー7連勝は、戦時中の1942年に巨人・藤本英雄投手が記録して以来81年ぶりで、2リーグ制以降では初の偉業でした。さらに東投手は阪神との日本シリーズ第3戦でも先発で勝利投手となり、球団初「育成出身ピッチャーの日本シリーズ先発勝利」を成し遂げました。

  
【プロ野球 藤岡裕大選手】
 千葉ロッテマリーンズ7年目の30歳・藤岡選手は、挫折を知るたび、強くなって帰ってくる男。藤岡選手が人生の中でも、特に大きな挫折だったと語るのは、2015年のドラフト会議です。亜細亜大学3年生の秋に首位打者のタイトルを獲得し、ドラフト指名は確実とみられていましたが、まさかの指名漏れ。そんな藤岡選手にとって救いとなったのは、卒業後に入社したトヨタ自動車に、当時社会人ナンバーワンショートと呼ばれ、現在埼玉西武ライオンズで活躍する源田壮亮選手がいたことです。源田選手の守備を間近で見て勉強を重ねた藤岡選手は急成長。指名漏れから2年後、17年のドラフト会議でロッテの2位指名を受け、念願のプロ入りを勝ち取りました。そして球団史上3人目となるルーキーでの全試合出場を果たすとともに、リーグトップの26犠打を記録するなど、新人らしからぬ確かな存在感を見せたのです。
 藤岡選手にとってプロ入り後の大きな挫折は、5年目の22年のことでした。この年は極度の打撃不振に陥り、打率は1割台。出場もわずか28試合に留まります。シーズン終了後の秋季キャンプで、とにかくバットを振り込み、打撃フォームの見直しや、バットの形や重さを変えるなど工夫を続けた藤岡選手。その成果は昨シーズン、結果となって表れます。4月4日の北海道日本ハム戦で4打数4安打をマークするなどスタートダッシュを決め、自己最高の打率2割7分7厘を記録しました。さらに、ソフトバンクとのクライマックスシリーズ・ファーストステージ第3戦。3点ビハインドで迎えた延長10回ウラ、ノーアウト1・2塁のチャンスで打席に立った藤岡選手は、初球のストレートを右中間スタンドへと運び起死回生の同点ホームラン。その後の劇的なサヨナラ勝利につなげたのです。この年、ホームランわずか1本の藤岡選手が放った、同点アーチからの逆転劇はファンの間で幕張の奇跡と呼ばれました。

 

【プロ野球 アダム・ウォーカー選手】
 読売ジャイアンツ時代は、ドレッドヘアにバンダナがトレードマークで、ホームランを打つと両腕でハートポーズを作り、笑顔でダイヤモンドを回るパフォーマンスで人気を集めたウォーカー選手。ジャイアンツ入団1年目の2022年は23本のホームランを放ち、何度もハートポーズを作ってファンの心を鷲づかみにしました。練習熱心でも知られ、外野守備で送球の弱点を指摘されると、亀井コーチとマンツーマンで練習に取り組み、6月の中日戦では、外野からの送球でランナーをアウトにする「補殺」を初めて記録。帰国を遅らせ、秋季キャンプ終了後も日本に残り、侍ジャパンとの強化試合にも出場。豪快なスリーランホームランを放って巨人ファンを喜ばせました。
 ウォーカー選手といえば、ガッツ溢れるアグレッシブなプレーでも人気です。昨年6月、オリックスとの交流戦では、豪快なヘッドスライディングでスリーベースヒットを決めるなど、5打数5安打の大暴れ。果敢に次の塁を狙うのはもちろん、ここ一番ではヘルメットが飛ぶほどの豪快なヘッドスライディングを何度も見せてくれています。昨シーズン終了後に、トレードで福岡ソフトバンクホークスへの移籍が決定。パ・リーグは指名打者制があるため、打撃に専念できると期待されています。今年は自慢のドレッドヘアをバッサリ切って心機一転、新天地・福岡での活躍に注目です。

  
来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!

    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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