スポーツ伝説

2024.02.23

2024年2月19日~23日の放送内容

【柔道 永山竜樹選手】
 身長156㎝と小柄な体格ながら、無差別級で行われる全日本選手権では30キロも重い相手に勝ったこともある、男子60キロ級の永山選手。東海大学2年生だった2016年12月に行われたグランドスラム東京大会で快進撃を見せ、決勝戦に進出。相手はリオ・オリンピックで銅メダルに輝いた髙藤直寿選手でした。永山選手にとっては、大学の3年先輩で目標とする選手。しかし自分が60キロ級の一番手になるという強い思いで試合に臨み、見事一本勝ち。初出場で初優勝を成し遂げました。これで一躍東京オリンピックの有力候補となった永山選手は、その後の国際大会でも結果を出し、世界ランクも1位にまで上りつめます。そんな永山選手の前に立ちはだかったのもまた、髙藤選手でした。19年のグランドスラム大阪・決勝戦の直接対決で敗れたことが響き、永山選手は世界ランク1位にもかかわらず東京オリンピック出場を逃してしまいました。
 永山選手の課題は、ここ一番の勝負で結果を出せなかったこと。過去4度出場した世界選手権は一度も優勝がなく、次のパリ・オリンピックに向けて、なんとしても髙藤選手を超えて結果を残さねばなりませんでした。そこで永山選手は、昨年4月からおよそ5週間、フランスへ単身武者修行に出かけて持ち味の攻撃的な柔道を見つめ直します。そして12月、グランドスラム東京の決勝戦で、髙藤選手とパリを懸けた大一番に臨みました。試合は髙藤選手の負傷により一時中断しますが、永山選手は再開直後に一本背負いで一本勝ちを収め、見事パリ・オリンピック代表の座を掴みました。

 

【柔道 橋本壮市選手】
 パリ・オリンピックの柔道男子73キロ級代表に内定した橋本選手。オリンピックには、32歳にして初めての出場となります。橋本選手が代表の座をつかむまでには、何度かの大きな決断がありました。最初の大きな決断は、東海大学3年生の時。それまで81キロ級で戦っていましたが、小柄な橋本選手は体格で勝る選手になかなか勝てず、73キロ級に転向します。すると4年生で出場した全日本学生体重別選手権で準優勝に輝き、社会人になってからも様々な大会で優勝を重ねていきました。世界で活躍する柔道選手は学生時代からその名を轟かせることが多いですが、社会人2年目の24歳でトップ選手の仲間入りを果たした橋本選手は、遅咲きの星として注目を浴びました。そして、2017年の世界選手権でリオの銀メダリストを破ると、26歳にして世界選手権初出場・初優勝の快挙を成し遂げたのです。
 国際大会でさらに勝利を重ね、世界ランキングも1位にまで昇りつめた橋本選手ですが、73キロ級にはリオ・オリンピックの金メダリスト・大野将平選手がいました。直接対決で負けたわけではないにも関わらず、東京オリンピック代表に選ばれたのは、過去の実績から大野選手。この時点で28歳だった橋本選手は、引退も頭をよぎったといいます。しかし代表発表の際、東海大学の大先輩でもある井上康生監督が、落選した選手のことを思って涙を流したシーンを観て考えが変わりました。再び世界の頂点を目指す決意をした橋本選手は、22年の世界選手権で準優勝。23年も銅メダルと連続で表彰台に立ち、昨年8月23日、ついにパリ・オリンピック代表内定を勝ち取ったのです。
  
  
     
【柔道 村尾三四郎選手】
 有名な柔道小説『姿三四郎』から、優秀な柔道家の代名詞になっている“三四郎”。いま“令和の三四郎”と呼ばれているのが、柔道男子90キロ級の村尾選手です。5歳から柔道を始め、バルセロナ・オリンピック銅メダリスト・岡田弘隆さんの教室に通った影響から、将来の目標は「オリンピック出場」になります。小学生の頃にはもう「東京オリンピックに出場」と心に決めた村尾選手は、そこから逆算して中学・高校と柔道の強豪校に進学。いくつもの全国大会で優勝を果たし、目標に一歩ずつ近づいていきました。2019年春、柔道の名門・東海大学に進学。しかし国内大会では勝てても国際大会ではなぜか結果を出せなかった村尾選手は、目標だった東京オリンピック出場を逃してしまいました。
 東京オリンピックの落選を機に、これまで以上にストイックに柔道と向き合うようになった村尾選手。コロナ禍での自粛期間にも新しい技や組み手の習得に挑み、体を大きくすることをテーマにトレーニングを重ねた結果、普段の体重は8kg近くも増え、外国人選手に負けないパワーを手に入れました。その成果は如実に表れ、21年5月のグランドスラム・カザン大会では、東京オリンピックの銀メダリスト、ドイツのトリッペル選手を破るなど、6試合オール一本勝ちでグランドスラム大会初優勝。その後も国際大会で何度も優勝を重ね、昨年8月、悲願のパリ・オリンピック代表内定をつかみ取ったのです。昨年12月のグランドスラム東京大会でも、決勝戦で昨年の世界選手権王者、ジョージアのマイスラゼ選手を一本勝ちで破るなど、好調を維持している村尾選手。“昭和の三四郎”岡野功選手、“平成の三四郎”古賀稔彦選手に続き、オリンピック金メダリストを目指します。

  
【柔道 髙市未来選手】
 柔道女子63キロ級で、世界選手権では過去に銀メダル2個、銅メダル2個を獲得する実力者として知られる髙市選手。しかしオリンピックは2016年のリオ大会が5位、21年の東京大会は2回戦で敗退とメダルに縁がなく、東京では女子代表で唯一メダルに手が届きませんでした。失意のどん底に沈んでいた髙市選手。さらに22年2月に左ヒザの前十字靱帯を断裂したことで、現役引退も考えました。そんな時に心の支えになってくれたのが、長年交際し、世界選手権にも一緒に出場した元男子日本代表の髙市賢悟さんです。賢悟さんはこの年の5月に強化指定を外れ、現役引退を決断しました。このことで現役を続けられる有り難みを再確認した髙市選手は、この年11月に賢悟さんと結婚。夫のサポートを得て、再びオリンピックを目指し戦うことを決めました。
 パリ・オリンピック代表の選考会を兼ねた、昨年12月の柔道グランドスラム・東京大会。髙市選手にとって一番のヤマ場となったのが、準々決勝です。相手は22年の世界選手権を制した最大のライバル・堀川恵選手。序盤から一進一退の攻防を繰り広げ、開始55秒で両者に指導が入った後、組み手を切った堀川選手に2つめの指導が入ります。さらに延長戦の1分30秒に両者消極的として双方に指導が入り、指導が3つとなった堀川選手が反則負けとなりました。ライバルを下した髙市選手は勢いそのままに優勝。3度目のオリンピック出場が内定しました。

 

【柔道 高山莉加選手】
 世界でも屈指の寝技を得意技に持つ、柔道女子78キロ級の高山選手。3歳から柔道を始め、小・中学時代は鹿児島県内の道場「柔心館」で稽古に励みます。高校は名門・鹿児島南高校へ進学し、ここで得意の寝技に磨きをかけると、卒業後は実業団の強豪・三井住友海上へ入社。国内外の大会で結果を残して来ましたが、世界選手権やオリンピックの大舞台には縁がありませんでした。
 パリ・オリンピックの代表争いは、女子78キロ級が特に熾烈でした。東京の金メダリストの浜田尚里選手、リオ代表の梅木真美選手と三つ巴の状態で、12月のグランドスラム東京大会を迎えた高山選手。しかし準決勝で世界選手権王者・イスラエルのラニル選手に一本負けを喫し、控室で号泣します。そんな高山選手に檄を飛ばしたのが、所属先の監督・上野雅恵さんでした。気持ちを切り替えた高山選手は、3位決定戦で杉村美寿希選手に腕ひしぎ十字固めで一本勝ちして銅メダル。一方、ライバルの浜田選手は3回戦で敗退。梅木選手は5位と共にメダルを逃し、昨年出場した5大会中4大会で3位以上になった高山選手が、見事パリ・オリンピックの代表に内定しました。

  
来週のスポーツ伝説は……
 2/26(月) プロ野球 山下舜平大投手
 2/27(火) プロ野球 宇田川優希投手
 2/28(水) プロ野球 東晃平投手
 2/29(木) プロ野球 藤岡裕大選手
 3/ 1(金) プロ野球 アダム・ウォーカー選手
                お楽しみに!!

    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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