スポーツ伝説

2023.02.17

2023年2月13日~17日の放送内容

【サッカー 水沼宏太選手】

 サッカーJ1・横浜F・マリノスを牽引する水沼選手。マリノスの歴史を語る上で、「ミズヌマ」は特別な名前です。父親は、サッカークラブの日産時代からマリノス一筋で活躍した元日本代表の水沼貴史さん。1993年のJリーグ開幕戦のピッチに立った、レジェンド中のレジェンドです。そんな偉大な父の息子として、マリノスユース時代から注目を浴びてきました。しかしトップチームに昇格した後は、なかなか出番に恵まれず。出場機会を求めていくつものクラブを渡り歩いた水沼選手。2020年、30歳のシーズンに10年ぶりにマリノスへ復帰します。とはいえ大車輪の活躍とはいかず、迎えた22年、水沼選手はある決断をします。ユニフォームに入れる名前を、それまでの「コータ」から「ミズヌマ」に切り替えたのです。それは、自分の苗字を知ってもらいたいという思いと、父も含めたマリノスの歴史を背負い、フォア・ザ・チームの精神で戦う覚悟の表れでもありました。
 昨シーズン、水沼選手は不動の右ウイングとしてリーグ戦31試合に出場し、7ゴール、7アシストと存在感を発揮。32歳で初めてJ1のベストイレブンに選ばれるなど、充実のシーズンを過ごしました。またこの年、水沼選手は2つの優勝を成し遂げます。まずは7月、プロ15年目にして初めて日本代表に選出。東アジアナンバーワンを決めるE-1選手権で2試合に先発出場し、日本の優勝に貢献します。Jリーグ誕生以降、親子で日本代表になったのは、フィールドプレーヤーでは初の快挙でした。そして11月5日。勝てば優勝の最終節では、先制ゴールの起点になっただけでなく、1対1で迎えた後半に水沼選手のフリーキックから勝ち越しゴールが生まれます。さらにその20分後、水沼選手のクロスからダメ押しゴールが決まり3対1。全得点に絡む水沼選手の活躍で、マリノスのJ1制覇に貢献しました。

   
【サッカー 家長昭博選手】

 家長選手は、昨年のワールドカップで活躍した長友佑都選手や、本田圭佑選手らと同学年で、現在36歳。同世代の中でも、少年時代から天才の異名を取ってきました。ただプロ入り後は伸び悩み、海外も含めいくつものクラブを転々とします。そんな家長選手にスポットライトが当たったのは、2018年でした。川崎フロンターレのJ1連覇に貢献し、当時32歳にしてMVPとベストイレブンを初受賞。苦労して頂点に辿り着いたことから、遅咲きの天才とも評されました。家長選手の真のすごさは、この全盛期が長く続いていることです。20年・21年と再び川崎のリーグ連覇に貢献し、2年連続でベストイレブンに輝きます。昨シーズンは、最終節まで優勝争いを演じた川崎を牽引。結果は2位に終わりましたが、家長選手は36歳にして全試合出場を果たし、見事3年連続4度目となるベストイレブンに輝きました。
 昨シーズンの家長選手がこれまで以上に存在感を放ったのは得点力です。36歳にしてキャリアハイとなる12ゴールを決め、「史上最年長の得点王誕生か」と大きな話題になりました。結果的に得点王には2点届かなかったものの、リーグ3位タイにランクイン。36歳のシーズンで2ケタ得点は、日本人では中山雅史選手、中村俊輔選手の35歳を上回る最年長記録でした。2年ぶりの王者奪回へ、37歳になる今シーズンもチームを引っ張ります。

  
       
【サッカー 脇坂泰斗選手】

 2021年に初のJ1ベストイレブン、そして初の日本代表入りと飛躍を遂げた川崎フロンターレの脇坂選手。昨シーズンは、8番から14番へと背番号を変えて挑みました。この14番は、“ミスター・フロンターレ”と呼ばれたレジェンド・中村憲剛選手が背負ってきた特別な番号です。新たなクラブの顔として期待されての14番継承でした。これは脇坂選手が自ら望んだことでしたが、その重圧はすさまじく、開幕前にはユニフォームを着る前から緊張すると口にしていたほどです。シーズンが始まっても思ったようなプレーができず、もどかしい日々を過ごしますが、そんな脇坂選手を本来の姿に戻したのは、鬼木達監督の「お前はお前だから」という檄でした。この言葉で、自分の良さを出せばいいんだと考えを改めた脇坂選手。本来の調子と感覚を取り戻し、チームの成績も上向いていきました。
 その後、シュートでもパスでも成長した姿を披露し続けた脇坂選手。象徴的だったのが、4月のアジアチャンピオンズリーグで決めた芸術的なフリーキックです。ゴール中央、20m弱の位置で右足から放たれたキックは、壁を越えて鋭く左に曲がり、キーパーの手を弾いてゴールに飛び込みました。また、5月のJ1リーグ・清水エスパルス戦では、リーグ戦でのシーズン初ゴールを決めただけでなく、ふわりと浮かせた技アリのアシストも記録。Jリーグ公式SNSも、「これぞ背番号14・脇坂泰斗の超ドンピシャクロス」と紹介したほどでした。昨年は、あと一歩のところで優勝を逃しましたが、脇坂選手自身は自己最高となるリーグ戦5ゴールと9アシストを記録し、アシスト数はリーグトップタイの成績で、2年連続のベストイレブンにも輝きました。

 

【サッカー 町野修斗選手】

 身長185㎝と、ディフェンダーに当たり負けしない強い体が武器の湘南ベルマーレ・町野選手。忍者の里・三重県伊賀市出身ということから、ゴールが決まったあとは忍者ポーズのパフォーマンスが代名詞です。昨シーズンはリーグ戦でも代表戦でも忍者ポーズを何度も披露し、サポーターを沸かせました。中でも圧巻だったのは、5月から7月にかけてのゴールラッシュです。5月21日、J1リーグ神戸戦で2ゴールを挙げたのを皮切りに、次の川崎戦でも2試合連続の2ゴール。1試合をはさんで6月にも2試合連続ゴールと、5試合で6得点を積み上げました。この活躍ぶりが評価され、7月に開催されたE-1選手権の日本代表に招集されます。日の丸を背負う初めてのA代表戦でも臆することなく、3ゴールと結果を残し、日本の4大会ぶりの優勝に貢献。大会得点王に輝いたのです。町野選手は昨シーズン、得点ランキング2位、日本人では最多の13ゴールを記録。ゴールを決めた試合は8勝2引き分けと、不敗神話が誕生しました。
 町野選手がゴールを決めれば負けない湘南。中でも湘南サポーターを大いに沸かせたのが、残留争いを強いられた最後の3試合での連続ゴールです。まずは10月8日、途中出場からゴールを決めて勝利に導くと、10月29日のホーム最終戦ではヘディングと右足で2ゴールを決め、チームも快勝。湘南の16位以上が確定し、自動降格圏から抜け出します。引き分け以上でJ1残留が決まる最終節、町野選手は前半終了間際に先制ゴールを決めて勝利。チームを崖っぷちから救いました。J1で日本人最多ゴールを決めた町野選手は、ワールドカップ・カタール大会のメンバーにも追加招集で代表入りを果たします。しかしピッチに立つことはなく、悔しい思いを糧にしてのしさらなる飛躍を決意しました。3年後のワールドカップで活躍するため、まず今シーズン狙うのはJ1得点王です。   
 

   
【サッカー 細谷真大選手】

 昨シーズン、チームトップの8ゴールを挙げた柏レイソルの21歳、細谷選手。また代表戦でも活躍。昨年3月にはU-21日本代表としてドバイカップU-23に出場し、日本を優勝に導くゴールを決めました。7月には念願のA代表に初めて招集。昨年のシーズン終了後に、21歳以下の選手を対象とするJリーグのベストヤングプレーヤー賞を受賞しました。この賞を受賞した柏レイソルの選手は、酒井宏樹選手・中山雄太選手に続き、細谷選手が3人目。酒井選手・中山選手は柏のアカデミー出身で、細谷選手の先輩に当たります。酒井選手はワールドカップ・カタール大会に日本代表の主力メンバーとして出場し、決勝トーナメント進出に貢献。先輩の活躍を見て大いに刺激を受けました。
 高校生だった2019年、17歳で柏のトップチームに登録され、J2でJリーグデビューを飾った細谷選手。翌20年、柏はJ1に昇格しますが、細谷選手のリーグ戦出場はわずか2試合にとどまり悔しい思いをしました。この年J1得点王に輝いたのが、当時、柏のエースだったオルンガ選手でした。細谷選手はオルンガ選手の動きをじっくり研究して、ディフェンスラインの裏に抜け出す「裏抜け」の技術を学びます。その裏抜けを武器に、細谷選手はレギュラーの座を獲得。21年はリーグ戦28試合に出場して3得点。22年は33試合で8得点をマークしました。更なる飛躍を誓った細谷選手がまず目指すのは、来年のパリ・オリンピックです。

 

来週のスポーツ伝説は……

2/20(月) プロ野球 涌井秀章選手
2/21(火) プロ野球 京田陽太選手
2/22(水) プロ野球 松田宣浩選手
2/23(木) プロ野球 長野久義選手
2/24(金) プロ野球 阿部寿樹選手

お楽しみに!!

    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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