スポーツ伝説

2024.03.22

2024年3月18日~22日の放送内容

【卓球 戸上隼輔選手】
 父親はインターハイのダブルスで優勝経験があるなど、卓球一家で育った戸上選手。高校時代にはインターハイで2連覇、全日本ジュニアでも優勝するなど、世代トップクラスの実力を身につけます。そんな戸上選手のさらなる飛躍のきっかけは、日本のエースたちから勝利を収めた経験です。まずは2019年、卓球界の第一人者・水谷隼選手を大熱戦の末に破ります。翌20年12月には、日本の若きエース、2学年下の張本智和選手と2度対戦し、2連勝を飾ります。その後も張本選手には滅法強く、いつしか“張本キラー”と呼ばれるようになった戸上選手。東京オリンピック出場は逃しましたが、男子代表の練習パートナーとしてオリンピックに帯同し、日本のメダル獲得を間近で見て、さらなる成長の糧としました。
 22年1月に行われた全日本選手権では、ダブルスで優勝。シングルスでも準決勝で東京オリンピック代表の丹羽孝希選手にストレート勝ちを収め、決勝でも勝利。過去20年で水谷選手と丹羽選手の2人しか達成していない、単複2冠の偉業をやってのけました。戸上選手は昨年の全日本選手権でも、シングルス決勝で張本選手に勝利を収める“キラー”ぶりを発揮。連覇の偉業を成し遂げます。そして今年1月の全日本選手権、シングルス決勝は2年連続で張本選手と対戦。勝てば史上7人目の大会3連覇がかかる中、粘る張本選手を崩し切れず逆転負け。3連覇はなりませんでしたが、存在感を見せつけました。そんな数々の実績を踏まえ、パリオリンピックの代表に選ばれた戸上選手。パリでは自らの手で、男子日本代表に3大会連続のメダルをもたらします。

 

【卓球 平野美宇選手】
 平野選手にとって、今年のパリオリンピック出場は3度目の正直となる悲願でもありました。8年前のリオ大会は補欠で、出場機会はゼロ。前回の東京大会は団体戦メンバーとしてメダル獲得に貢献したものの、目標としていたシングルスでの出場は叶いませんでした。パリはシングルスで出たいと、2枠しかない代表入りをかけ選考レースに臨みますが、年下選手たちの台頭もあって大きく出遅れ。はい上がるため、まずは“ハリケーン・ヒラノ”と呼ばれた高速卓球に緩急を加えるモデルチェンジに挑戦。意識改革にも努めました。その成果が出たのが、2022年11月の第3回選考大会です。平野選手は第1回の選考大会で優勝した早田ひな選手を決勝で破って優勝。一気に3番手にまで盛り返したのです。
 シングルスの選考レースは、2年間好調を維持した早田ひな選手が1番手を独走。残り1枠をかけ、平野選手の最大のライバルとなったのは、リオ・東京と2大会連続でオリンピックを経験している伊藤美誠選手でした。二人は幼い頃から共に国際大会で戦ってきた良きライバルであり、親友。伊藤選手に連敗続きだった平野選手ですが、一昨年11月の選考大会で6年ぶりとなる白星を挙げ、選考ポイントは僅差のまま、最後の選考大会となる今年1月の全日本選手権を迎えます。ベスト8まで勝ち進んだ平野選手に対し、伊藤選手はその一歩手前で敗戦。この結果、平野選手が悲願のシングルス代表内定を勝ち取りました。

  
     
【オープンウォータースイミング 南出大伸選手】
 海や川、湖など、自然の水の中を泳いでタイムを競うオープンウオータースイミング。オリンピックでは10キロの距離を泳いで順位を競うマラソンスイミングが正式種目になっています。今年2月、この種目で2大会連続オリンピック出場を内定させたのが、南出選手です。オープンウオータースイミングを始めたのは、日本体育大学に進学後、水泳部の監督に勧められたのがきっかけ。体力強化のため取り組む内に、水のマラソンと呼ばれるこの競技にはまっていきました。大学卒業後もオープンウオータースイミングをメインに戦い、2021年の東京オリンピックに出場。10キロマラソンスイミングで13位の成績を残しました。
 南出選手が海外で脚光を浴びたのは、昨年4月に行われた全米選手権です。5キロ部門に出場した南出選手は、日本勢では史上初めて2位でゴール。日本からやって来たサムライの快挙に、会場は大歓声に包まれました。さらに今年2月の世界選手権で、南出選手はアジア勢では最も上位の25位に入り、日本のパリオリンピック出場枠を獲得。枠を取った選手が代表に選ばれるため、南出選手の2大会連続オリンピック出場が内定しました。

  
【オープンウォータースイミング 蝦名愛梨選手】
 スタミナはもちろん、潮の流れや風といった気象条件に対応する知識や、臨機応変さも要求されるオープンウオータースイミング。この競技での女子注目選手が、22歳の蝦名選手です。中学2年生から、競泳とオープンウォーターの“二刀流”に取り組んできました。強さの秘密は、体の柔軟性。手足の関節がしなやかで、波の動きと体が一体化してスムーズに前へ進んで行けるのが蝦名選手の強みです。日本体育大学に在学中の2021年と22年に、オープンウオーター10キロで日本選手権を連覇。昨年10月に行われた杭州アジア競技大会では、終盤まで先頭をキープし、銀メダルに輝きました。
 先月3日に行われた水泳の世界選手権は、パリオリンピックの出場権が懸かっていました。オープンウオーターでは、男女とも13位以内に入った国と地域にオリンピック出場枠が与えられ、日本は枠を取った選手が代表に内定することに。先行タイプで、昨年はレース後半に失速することもあった蝦名選手ですが、この大会に向けた高地トレーニングで持久力を強化。更に練習のラスト1本を一番ハードに泳ぐことで、レース後半のスピード維持に磨きを掛けます。この対策がはまり、蝦名選手は前半に上位につけると、疲れが出る後半も粘りの泳ぎを披露し、11位でゴール。トップとは8秒7差、1時間57分35秒5の好タイムでみごと初のオリンピック出場を内定させたのです。

 

【卓球 張本美和選手】
 兄の張本智和選手と同様、幼い頃から才能を発揮していた妹の美和選手。2021年12月の世界ユース選手権で、当時まだ13歳ながら、15歳以下の部のシングルス・ダブルス・混合ペア・団体を制して「4冠」の偉業を達成します。そんな最強中学生・美和選手は、昨年からシニアの部でも結果を出し始めます。自分より8歳年上の2000年生まれ、通称“最強世代”の早田ひな選手・平野美宇選手・伊藤美誠選手の三人に勝負に挑んだ美和選手。10月には平野選手を相手に国際大会で初勝利を挙げ、11月には代表選考の対象となる全農カップ大阪大会に出場。まず伊藤選手を破ると、決勝戦では選考ポイントでトップを走る早田選手と対戦。強敵相手にも臆することなく攻め続けた美和選手は、早田選手に初勝利。代表選考大会で初優勝を果たし、一気に代表争いの5番手へ浮上しました。
 最強世代を立て続けに破り評価を上げた美和選手。オリンピック代表入りを懸けて今年1月、最後の代表選考大会・全日本選手権に挑みます。まずは高校生以下のジュニアの部で大会連覇を達成。シニアの部でも順調に勝ち上がり、決勝戦に進出します。対するは、11月に美和選手に敗れリベンジに燃える早田選手。美和選手が勝てば、ジュニアの部と合わせて2冠達成となり、シニアの部では大会最年少優勝になります。第1ゲームは、序盤から美和選手がパワフルなショットで9対5とリードしますが、そこから早田選手が6連続ポイントを挙げて、逆転で第1ゲームを先取。試合は早田選手のペースで進み、美和選手は苦いストレート負けを喫しました。それでも、異例の成長速度を評価された美和選手は、パリオリンピックの団体戦メンバーに大抜擢。兄の智和選手と共に、日本の卓球界では初めて、兄妹一緒にオリンピック代表に内定したのです。

  
来週のスポーツ伝説は……
 3/25(月) M L B  今永昇太投手
 3/26(火) M L B  藤浪晋太郎投手
 3/27(水) プロ野球 甲斐野央投手
 3/28(木) プロ野球 愛斗選手
 3/29(金) プロ野球 上林誠知選手
                お楽しみに!!

    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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