古美術永澤 presents ミッツ・ザ・コレクション

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2023.04.19

2023年4月16日放送『坂本龍一さん 女性への提供曲』

音楽への造詣が深いミッツ・マングローブが、

毎週様々なテーマと共に70年代・80年代・90年代の音楽を

ミッツ・マングローブ自身の解釈でお届けしていく番組『ミッツ・ザ・コレクション』。

第67回目のテーマは『坂本龍一さん 女性への提供曲』。

先日71歳で亡くなった坂本龍一さん。

坂本龍一さんと言えば、YMOに代表されるダンスミュージックを始め、

大オーケストレーションの映画音楽、

さらには自身のルーツでもあるピアノ楽曲など、

常にその時代時代とともに、あらゆるジャンルの音楽を

世界的に提示・提供し続けた人でした。

坂本さんの逝去を受けて、

様々なメディア・番組で特集が組まれているとは思いますが、

今回の「ミッツ・ザ・コレクション」も、ささやかながら、

坂本龍一さんが作った流行歌やポップス曲の中から、

女性シンガーが歌ったものを選曲しました。

 

まず1曲目は、宮崎美子さんで「今は平気よ」。

1981年にリリースした宮崎さん1stアルバム「Mellow」の中の1曲。

1980年代初頭と言えば、音楽界だけでなく

社会的なムーブメントを巻き起こしていたYMOの人気を受け、

メンバーである細野晴臣さん、高橋幸宏さん、

そして坂本龍一さんそれぞれへの

「作曲家」としての需要も高まっていた時期でもあります。

宮崎美子さんの、内に秘めた「したたかさ」や「冷たさ」が、

歌声から滲み出ていて、

「女優が歌う醍醐味ここにあり」という楽曲です。

 

続いては、80年代中盤から後半にかけての坂本龍一提供楽曲を

2曲続けてお送りしました。

和田加奈子さんで「クリエイション・マイ・ハート

そして荻野目洋子さんで「無国籍ロマンス」。

時期的には、83年のYMOの解散を経て、

87年に映画「ラストエンペラー」のサウンドントラックを

手がける以前までのものになるわけですが、

この頃は、まだ活動や生活の拠点が東京だったこともあり、

当時の日本の商業音楽に則した、ある意味「クライアント重視」な

テイストの楽曲が生み出された時代だと言えるでしょう。

そのような「制約」故に、

より坂本龍一らしさが滲み出ているところも聴きどころかと思います。

 

続いてお送りしたのは、90年代に入ってからの楽曲です。

87年に「ラストエンペラー」の映画音楽を手がけたことで、

世界的な存在になった坂本龍一さんは、

90年にニューヨークへ拠点を移し、90年代初頭は、

最先端のハウスミュージックを取り入れたサウンドが、

提供楽曲にも色濃く取り入れられました。

もちろん王道のハウスやテクノだけでなく、グラウンドビート、

ドラムンベース、アンビエント、ワールドミュージックに至るまで、

あらゆるジャンルのダンスミュージックを

「坂本龍一」の名の下に知った、そんな時代でもあります。

そして、そんな「最先端」と呼ばれるサウンドと、

日本の流行歌の融合は、とても冒険的であり、

時にはそのちぐはぐさも含め、今聴いても非常に刺激的です。

今回は、93年にリリースされた中森明菜さんのシングル「Everlasting Love」、

91年に薬師丸ひろ子さんへ提供された「ふたりの宇宙」、

2曲続けてお聴きいただきました。

 

お別れの曲は、中谷美紀さんで「フェティッシュ」でした。

織田哲郎さんや小室哲哉さんや奥田民生さん布袋寅泰さんなど、

男性ミュージシャンが女性シンガーをプロデュースするというのは、

90年代中盤から2000年代初頭にかけて、

日本の音楽シーンを形作った「ビジネスメソッド」のひとつでした。

そんな中、坂本龍一さんが1996年から、

約5年に渡ってプロデュースを手がけたのが、

当時女優としても人気急上昇だった中谷美紀さんでした。

この頃の坂本さんのメロディーやサウンドは、

それまで以上に「人間臭さ」だったり

「弱さ・脆さ」が自然と表出するようになった時期であり、

透明で無機質な中谷美紀さんの声質とのバランスが素晴らしく、

たくさんの名曲が生まれています。

今回お送りした「フェティッシュ」は、

ミッツさんの「人生のマイプレイリスト」にこの先一生存在し続けるであろう、

ミッツさんにとっての「賛歌・アンセム」なんだそうです。

番組に関する感想・ご意見・ご要望などありましたら、

mco@1242.com までお寄せください。

お葉書は、

〒100ー8439 ニッポン放送「ミッツ・ザ ・コレクション」まで。

次回の放送は、2023年4月30日(日)17:30〜です。

来週23日の放送は休止になります。

どんなテーマでどんなセレクト楽曲が繰り出されるのか、お楽しみに!

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パーソナリティ
  • ミッツ・マングローブ
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    ドラァグ・クィーン・歌手・タレント。総じて「女装家」。
    1975年 4月10日 神奈川県横浜市生まれ
    10代中盤ををロンドンで過ごす。 慶應義塾大学法学部を卒業後、 英国ウエス卜ミンスター大学に入学。商業音楽全般を学ぶ。帰国後2000年ドラァグ・クイーンとして東京でデビュー。以降、各地のクラブを中心に様々な活動やイベントの主催をする傍ら、05年に星屑スキャットを結成。07年スナック「来夢来人」にて丸の内初の女装ママに。
    09年頃からテレビでも活躍。
    2011年「若いってすばらしい」で歌手デビュー。2012年3人組コーラスグループ“星屑スキャット”のメンバーとして「マグネット・ジョーに気をつけろ」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。2018年星屑スキャット1stアルバム「化粧室」をリリース。野外フェスティバルへの出演含め精力的に活動中。
    2019年星屑スキャット初の全国ツアー「あ々喉仏」開催。
    2021年4月中野サンプラザを含む星屑スキャット全国ツアー「色、色々」開催。