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2021.02.01

第59回のテーマは「アメリカ合衆国バイデン新大統領就任」

番組アシスタントの新保友映です!

きょうは、第46代アメリカ合衆国大統領就任演説から、ジョー・バイデン氏がどのようなことを考え、それを大石さんがどう思われたのかをお話しします。

新保 就任演説を聞いて、まずどんな感想でしょうか?

「国会議事堂乱入事件があったことを踏まえ、まず彼が言ったのは、『アメリカの団結』。それと『全てのアメリカ国民の大統領』になる。そういうメッセージを強力に出しました。それほどアメリカの分裂が厳しく激しいということだと思うんです。これを自分の代で克服していきたい、というのが第一のメッセージです。第二のメッセージは、新型コロナを克服するワクチンをやる、そして経済を回復する、そして重要な『国民を救済する』ということでした」(大石)

新保 大石さんが注目していたメッセージは?

「今回の就任演説では触れませんでしたが、インフラ投資の重要性は、「雇用の創出につながる」という文脈で、以前から何回も触れています。老朽化した道路や橋などを刷新して、鉄道などの新しい交通機関の動力源をクリーンエネルギーに置き換えていく。あるいは上下水道を改修する、ということも就任前に言っていました。インフラについての認識が、我々の日本の社会とかなり違うと思います」(大石)

新保 これまでの大統領はどうだったのでしょうか?

「オバマ大統領は第1回目の就任演説(2009年)で、私たちを一つに結びつける道路や橋、送電網、デジタル回線を整備すると言っています。再選された時も、新たな雇用やビジネスを生み出す道路やネットワークを国民みんなで取り組んでいこう、と言っています。就任演説でインフラに触れることは日本では考えられません。トランプ大統領もインフラには極めて熱心な発言を何度もしています。就任演説でも、この素晴らしい国の隅々に新しい道路、橋、空港、トンネル、鉄道を建設します、と言っています」(大石)

新保 そういうことは日本で報道されていましたか?

「日本の報道では省略されることが結構多いんです。アメリカがインフラに熱心だというのを日本人に伝えたくないのかどうか・・・。日本のメディアは、今でも『財政再建の道のり遠く』なんて言っています。FRB(アメリカ中央銀行)のパウエル議長は、『今は財政健全化をいう時ではない。アメリカの経済を立ち直らせてアメリカ国民を救済する時なんだ』と明確に言っています。
アメリカの歴代大統領が何度も触れているように、インフラは将来への贈り物なんです。なのに、日本では、この将来への贈り物だけはしたくない、という態度を続けてきている。また、コロナ患者の受け入れに協力したがために赤字になっている民間病院があって、そこの看護師さんが給与カットになっているのに、それを救済するという議論すらない」(大石)

新保 世界から日本はどう見られているのでしょう?

「ロイター通信は、日本はこんな小出しの政策ばっかりやっていたら、世界の中で一番遅れた国になって、将来に大きな代償を払うことになるのではないか、そして日本は低迷の長期化もありうる、と警告しています。国会でこういう議論があったでしょうか。世界の議論と日本の議論がずれているなという気がして仕方がありません」(大石)

バイデン大統領の就任演説を切っ掛けとして、大石さんが分かりやすく、日本と世界との違いやインフラの重要性についてお話ししています。上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、お聞きください!

*大石久和のひとくちコラム*

「スーツケースにバンドを巻く日本人」という話をしたい。日本人はスーツケースにバンドを巻いて、万が一、カギが壊れた時、中身が散乱しないように用心する。しかし、海外旅行用のスーツケースは、多少乱暴に扱われても簡単にあいてしまうことはなく、またバンドを巻いているがゆえに起こる問題(輸送中に何かに引っかかってしまう危険、日本人のカバンであるとわかってしまう危険など)の方が大きいのにである。以前、ダイオキシン騒動があったときに、冬の風物詩の『落ち葉焚き』や神社の『どんど焼き』まで中止になったことがあったが、このように日本人は「○○の恐れ」があるとなると、そこで思考停止になってしまう。体に悪いものがいささかでも入っていれば飲めない、食えない、となれば「何も飲めない」「何も食えない」ことになり、衰弱や餓死というより大きなリスクを背負う。日本人はリスクを確率で捉えることができず、絶対の安全を求めてしまうのだ。スーツケースにバンドを巻かないと気が済まない。ダイオキシンだと騒げば、伝統のどんど焼きを止めないと気が済まない。膨大な費用をかけても牛の全頭検査をしないと安心できず気が済まない。「気が済まない」という言葉は日本独特で、ほとんど翻訳不可能である。日本人とは、情的判断を理的判断に常に優先させる、そういう民であると知らなければならない。これとは対照的に、紛争による大量虐殺を経験してきたユーラシアでは、徹底的に情緒を排除して、極めて理性的に思考するという経験を積んできた。この彼我の違いも、国土学そのものなのである。

*駅長さん登場!*

和歌山市の道の駅 四季の郷公園 FOOD HUNTER PARK 平松泰行 駅長

市民の憩いの場として親しまれている「四季の郷公園」に、去年7月、和歌山市初の「道の駅」がオープンしました。「Be Wild.野生を楽しもう。」をコンセプトに、『火の食堂』『水の市場』『炎の囲炉裏』『木の庭』『土の農園』と呼ばれる5つのエリアに分かれていて、子どもから大人まで楽しめるお出かけスポットとなっています。

Q.どのようなワイルドなことが楽しめるんですか?

「5つのエリアがあって、『火の食堂』は、薪で炊くかまどご飯や、石窯で焼くパンが楽しめるレストランとなっています。『水の市場』は和歌山の新鮮な果物や野菜を販売。『炎の囲炉裏』は直径3メートルの大きな石で囲んで囲炉裏で、熊野牛やジビエのソーセージを購入し、ここでバーベキューを味わえます。『木の庭』では、シンボルツリーや芝生エリアで、『土の農園』は年間契約で農家さんの指導で農園が手ぶらでも楽しめます」

Q.和歌山市で初めての道の駅ですが、誕生するきっかけは?

「30年前にオープンした農業公園の老朽化に伴い、阪和自動車道に和歌山南スマートインターチェンジができました。そこから5分という好立地で道の駅ができました。和歌山市内からのアクセスもいいし、大阪からも白浜からも1時間ちょっとで、ちょうどいい位置にあります」

Q.これからどのような道の駅を?

「来年春、公園全体がフルリニューアルも控えていますので、近隣の街の人たちとの結びつきをもっと増やして、住民からも愛されて、関西圏全体のお客様からも自然に豊かな道の駅として、たくさん来ていただけるような道の駅を目指していきたいです」

道の駅 四季の郷公園 FOOD HUNTER PARK
所在地:和歌山県和歌山市明王寺479-1
電話:0734−99−4370
営業時間・休業日等の詳しい情報はホームページでご確認ください。
道の駅 四季の郷公園 FOOD HUNTER PARK ホームページ

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  • 大石久和(おおいし ひさかず )
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    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。