番組アシスタントの新保友映です!
きょうは「価値観を共有できない日本人」についてのお話です。
新保 日本は世界から遅れているという話が多いのですが、価値観も?
「近代文明を切り開いてきた西欧人と、日本人とが共有できないことがあるのではないか。われわれはG7の一員という意識がありますが、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツの彼らから日本を見ると『日本人は人権問題にしても、われわれと共有できないものを残しているのではないか』と思われている心配があります。その端的な例が、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の発言でした」(大石)
新保 会長を辞任する大きな騒動になってしまいましたね。
「今回の森発言は許される発言ではなかったと思いますが、実際に効果がある形で女性の権利を弱める発言をしたわけではないことは理解しておく必要があります。それよりも3年ほど前、女性の権利を制限する明確な憲法違反に属する事件がありました。医学部入試で女性というだけで点数を下げた事件のことです。日本国憲法第14条には、『すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない』と規定されていますが、これだけ明確な男女平等の憲法を持っているのに、このときは「女性には力がない、診療科目が偏っている、子供を産むと医者を辞めてしまうことがある」といった論説があふれ、憲法違反であると指摘したメディアも評論家もいませんでした。女性の地位向上が進まないのは、憲法の精神が生かされていないからだと言えます」(大石)
新保 世界の憲法はどうなのでしょうか?
「ドイツを一例にあげると、ドイツ連邦共和国基本法の第3条の2項には、『男女は、平等の権利を有する。国家は、男女の平等が実際に実現するように促進し、現在ある不平等の除去に向けて努力する』という規定があります。これは、憲法改正を重ねる中で、後から追加された条文で、ドイツの憲法では、男女差別がなくなるような義務を国家に課しているのです。一方日本は、戦後75年間、一度も憲法を改正していません」(大石)
新保 ドイツには、女性差別の歴史があったのでしょうか?
「ドイツで特にひどい女性差別があったわけではなく、もっと女性を社会化していこうという考えが彼らにはあったということです。単に平等という話ではなくて、これからの社会は女性の価値観や感覚というものを入れていかないと全体として回らないといった考えになっていったのだと思います。特に1995年以降、G7各国では、女性の社会参加によって女性が持っている感性や価値観が社会で活かされるといった議論が起き、アメリカの経営者も女性経営陣が増えたことによって価値観が多様化し企業が発展したと言っています。男性では気が付かないことを女性は気がつき、女性ならではの提案で企業が発展した例もあります」(大石)
新保 その流れに、我々の日本は取り残されているのでしょうか?
「わが国の女性には、離婚後の再婚禁止規定があります。これは女性が再婚する場合、元夫との離婚後100日は再婚することができないという決まりです。同様の規程はG7各国にもありましたが、いまでは日本とイタリア以外は全て撤廃されています。DNA鑑定が当たり前になった現在では、女性は離婚後、いつ結婚してもいいんです。離婚後すぐに結婚できないというのは大きな権利制限です。G7の国から見ると、日本は同じ価値観を持っているようには思えない、日本を異物、異質に見ているのではないか、と思えて仕方がありません」(大石)
4月8日は「国際女性デー」。もっと深く「ジェンダー」について発言していかないといけません。大石さんのお話を、ぜひ、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、お聴きください!
*すっきり納得!経済教室*
「財政破綻論の破綻」という話をしたい。1995年の財政危機宣言以降、わが国は緊縮財政が続いてきた。しかし、これは家計の論理。国には通貨発行権があり、国の財政を家計に置き換える議論は間違っている。
政治の目的は国民を豊かにすること。しかし、日本国民は豊かになっていない。OECDによると、2019年までの20年間でアメリカ・イギリスは1.8倍、ドイツは1.5倍と平均賃金が上がったのに、日本は0.95倍と下落した。最近では韓国にも抜かれており、日本の賃金は先進国で最低水準となっている。マクロ経済を見ても日本の凋落は顕著で、わが国のGDPは18%から5%に低下。
コロナショックを受けた現在、欧米では経済を発展させるために財政投資を行うべきと言う議論が活発になされているのに、わが国の財政制度等審議会(2020年11月)は次年度予算の編成方針に関して、財政の重点ポイントとして「コロナ対策」「経済対策」の次に「財政健全化」を掲げる始末。「国民生活の安定・救済」や、商売をしている人たちのための「粗利保障」に触れるべきなのにである。
諸外国では「今は財政健全化を言うときではない」という議論がなされており、財政緊縮を進めてきたドイツのショルツ財務大臣も、「緊縮財政を採用して投資を削減するのは、経済的に間違っている」(2021年2月)と発言している。イギリスのジョンソン首相も、「イギリス連合王国を構成する各地域の連携を強めるため5年間で6000億ポンド(80兆円以上)の交通インフラの整備が必要だ」と言っている。
最近、作家の村上春樹氏が、「コロナ禍が浮き彫りにしたのは、日本の政治家が最悪という事実である」と述べて議論を呼んでいるが、彼の目にはそのように見えたと言うことなのだ。財政破綻論で追求してきた結果、日本人を豊かにすることができなかった。従って財政破綻論は破綻していると言えるのではないか。
*駅長さん登場!*
福島県相馬郡飯舘村「いいたて村の道の駅までい館」栗原六太郎駅長
JR福島駅から車で1時間。県道12号沿いにある、道の駅「までい館」は、杉の材木がふんだんに使われた建物で、癒しの空間を演出しています。2020年の夏には、売り場を一新し、新しい交流拠点として、また、花をシンボルにした復興拠点にもなっています。
Q.「までい」とはどんな意味があるのでしょうか?
「までいとは、こちらの方言で、“手間隙を惜しまない”とか、“心を込める”“丁寧に”という意味になります」
Q.避難指示が解除された後、村民の皆さんは?
「震災前は人口約6,000人でしたが、今現在1,400人ぐらいの人口で、故郷を思い出す方も多いと思うので、だんだんと帰村が進むのではないかと思います」
Q.売り場を一新されたそうですね?
「地元の生産農家さんから、売り場が狭いと言われまして、昨年8月に広さを倍にしました。新鮮野菜を中心に、農産物の出荷も種類も多くなっています」
Q.これから、どのような道の駅にしていきましょう?
「この道の駅は、国道沿いや観光地にはありません。震災があって、保証があってできた建物なので、社員と共に、明るくて働きやすい道の駅にしていきたいですね。それから、この村には会社が多くないので、“あの会社で働いてみたいな”と思われる道の駅にしていきたいです。地元の方が、ここで働いているということは、お客様にとっても安心感が生まれると思います」
いいたて村の道の駅 までい館
所在地:福島県相馬郡飯舘村深谷字深谷前12-1
電話:0244-42-1080
営業時間・休業日等の詳しい情報はホームページでご確認ください。
いいたて村の道の駅 までい館 ホームページ
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海竜社より発売中。(2021年2月28日第一刷発行)
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