道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

2021.03.15

第64回のテーマは「経済成長とインフラ」

番組アシスタントの新保友映です!

きょうは「経済成長とインフラ」についてのお話です。

新保 これは、大石さんのいつも主張されてきたテーマですね!

「『経済成長』と『インフラ』は、いま、日本の政治やメディアからも完全に消えてしまった言葉です。財政再建は経済成長なくしてはなしえないにもかかわらず、経済成長という言葉がこの国からは消えて、例えば、国会論戦で『そういうことで日本の経済は成長するのか』といった質問や、経済成長の必要性を当局側から述べることもありません。経済成長のために必要となる『インフラ』という言葉は全くと言っていいほど出てきません」(大石)

新保 国民の声はどうなのでしょうか?

「国民の反応も、いまさら道路ですか、いまさら港ですか、といった感じの答えしか返ってきません。それほどに私たちは、インフラや公共工事で、この国をなんとかするということが、古くて間違っていることだと思わされています」(大石)

新保 他の国ではいかがでしょうか?

「各国の首脳は、インフラ整備の必要性について何度も主張してきています。例えば、オバマ氏の第1回大統領就任演説では、『私たちをひとつに結び付ける道路や橋、送電網、デジタル回線を整備する』と語り、あのトランプ大統領もインフラには極めて熱心な発言を何度もしていて、就任演説では「この素晴らしい国の隅々に新しい道路、橋、空港、トンネル、鉄道を建設します」と発言しているのです」(大石)

新保 アメリカ以外ではいかがですか?

「ドイツのメルケル首相は、2013年、連立政権を組んだ時の合意文書の中で、『モビリティ (移動手段)は、個人の自由、社会参加、および、豊かさと経済成長のための重要な前提となるものである』、『そのために必要なのは質の高い交通インフラである、それは欧州、およびグローバル社会におけるドイツの競争力を保障するものとなる』と言っています。また、最近では、ショルツ・ドイツ財務大臣は『緊縮財政を採用して投資を削減するのは、経済的に間違っている。成長への良好な道筋をつけ、社会的結束を強化するために必要な資金をどのように活用するかが問題だ』と発言しています」(大石)

新保 経済成長するか、しないかによって、何が変わってくるのでしょうか?

「1990年に日本人が納めた税金は約60兆円。30年が経った今も60兆円ちょっとで、ほとんど伸びていません。この間、経済成長はマイナスになっています。アメリカは順調に経済成長して、同じ期間にGDPが3.59倍になり、総税収は3.3倍に伸びています。もしも日本もアメリカと同様に経済成長し、税収も3.3倍に増えていたとすれば、198兆円の税収が入っていたはずです。日本の国家予算は、国債を出しまくって100兆円ちょっとです。もし198兆円があれば国債も発行せずに、様々な支援にお金が回せたわけで、コロナで困っている人も助けることができたわけです。アメリカ国民は、はるかに多くのサービスを連邦政府から受けています。経済成長をしないことが、これだけ大きな悪さをしてしまっています」(大石)

新保 ということは、経済成長するための政策は、どのようにすれば?

「やはりインフラ整備が重要です。道路で言うと2時間かかっていたのが1時間で行けるようにする。港で言うと韓国の釜山を経由せず、横浜港に直接アメリカから大型コンテナ船が入ってこられるようにする。こういったインフラ整備をしなければ、日本の経済成長はありません」(大石)

日本の経済成長のカギは、インフラ整備だと主張する大石さんのお話を、ぜひ上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、お聞きください!

*すっきり納得!経済教室*

『政府収支+民間収支+海外収支=ゼロ』という恒等式(法則)の話をしたい。収支それぞれがプラスマイナスをもっていて、例えば、自分の家計が黒字だと、よその家計は赤字で、トータルするとゼロになる。政府が赤字なら必ず民間は黒字になる。国が1,000兆円の赤字があるということは、民間側に1,000兆円の債券があり、政府に対する〝取立て金〟を持っているということだ。では政府はその金を払えるのか? その心配はいらない。政府には通貨発行権があり、国債を発行することもできる。家計で1,000万円の借金があり、さらに1,000万円を借りると大変な負担になるが、国の借金を家計に置き換えてはいけない。家計の借金は本人か、その子や孫が返済しなければならないのでツケ回しということになるが、国の場合は、国の責任において借り換えていけば良いので、国債は将来の世代へのツケ回しではない。それなのに政府は家計に置き換えて説明しているのが問題だ。政府が「財政が赤字で大変だ」と言うのは、国民が黒字になっているということであり、政府が「PB(=財政収支)を黒字化する」ということは「国民(民間)を赤字にします」と目標を掲げていると理解すべきだ。

*駅長さん登場!*

千葉県東金市の「道の駅 みのりの郷 東金」今関雅喜駅長

千葉東金道路の東金インターチェンジから10分。東金市の新鮮な農産物や特産品の直売、地元の新鮮な食材を使ったレストラン、イベント広場などを備えた産業交流拠点施設です。特に注目は、千葉県下最大級の植木の市場があり、これから春を迎えて、植木、盆栽、草花を買う人で賑わいます。

Q.東金市が「植木の街」と呼ばれるようになったのは?

「江戸時代、徳川家康が鷹狩りに訪れ、八鶴湖畔にある本漸寺では『徳川家康公お手植えの蜜柑』の木が今でも大切に育てられていて、これをきっかけに東金に柑橘類の木がたくさん植えられるようになりました。また、徳川家康にゆかりのある静岡の植木職人さんがやってきて、植木産業が九十九里地帯を中心に発展しました」

Q.どんな方が植木を買いに来られるのですか?

「コロナ禍での外出自粛の為、この春から自宅の庭やベランダでガーデニングをされるという方が多くなりました。野菜苗や花苗、ミニ盆栽や小さい鉢物などが良く売れております。県内最大級の売り場面積ですので、プロの造園業者もいらっしゃいます。施設内に見本庭園もあり、洋風から和風の庭づくりの相談も承っております」

Q.今の季節、美味しいものは、何でしょうか?

「旬の美味しいものといえば、なんと言ってもいちごです。酸味が少なくジューシーな『章姫(あきひめ)』や苺本来の甘酸っぱさが楽しめる『紅ほっぺ』、話題の“黒苺”と呼ばれている『真紅の美鈴』は濃厚なコクと甘みが特徴です。一番のおすすめは、千葉県で開発された『チーバベリー』です。レストランでは、そのおいしい苺がてんこ盛りの『東金いちごのソフトパフェ』800円がおすすめです」

Q.周辺では、いままでに災害が起きたことはありますか?

「災害の少ない地域ですが、2年前の台風の際は、長期の停電や断水となり、レストランでは1ヶ月程停電の為営業ができませんでした。台風被災時には掲示板を設置し、市の情報や県の被災者相談室の張り出しをおこない、WEBでも情報の公開をおこないました。また、無料充電コーナーを設置し、多言語による充電コーナーの案内等もおこない、道の駅としてできることをお客様の要望を踏まえておこないました」

Q.電気自動車用の急速充電器も設置しているんですね。

「今後増加する電気自動車やハイブリッド車に対応し、道の駅としての利便性の向上や、来場者数の増加につなげていきたい。それから、オストメイト機能のあるバリアフリーの多機能トイレも完備しております。また、おむつ替え用ベビーベッドや紙おむつの自動販売機も設置しております」

Q.どんな道の駅を目指していこうとお考えですか?

「地域の玄関口として、東金や近隣地域の魅力を発信し、お客様や商品出荷者、従業員等ここに関わる人々が幸せを感じ、充実感を感じ、そしてワクワク楽しめる場所としたいです。来店されるお客様には、安心してお買い物ができるように新型コロナウィルスの感染対策を施し、ウレシイ! オイシイ! タノシイ! そして優しい! がイッパイ!の『道の駅みのりの郷東金』を目指します」

道の駅 みのりの郷 東金
所在地:千葉県東金市田間1300-3
電話:0475-53-3615
営業時間・休業日等の詳しい情報はホームページでご確認ください。
道の駅 みのりの郷 東金 ホームページ

大石久和著『「国土学」が解き明かす日本の再興 ― 紛争死史観と災害死史観の視点から』
海竜社より発売中。(2021年2月28日第一刷発行)

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  • 大石久和(おおいし ひさかず )
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    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。