道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

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2021.01.11

第56回のテーマは「正義の貫徹が理解できない日本人」

番組アシスタントの新保友映です!

きょうは、大石さんが、旧約聖書とフランス革命を例に挙げながら、「正義の貫徹が理解できない日本人」というテーマでお話をします。

新保 「正義の貫徹」とは、どんなお話でしょうか?

「西欧人には理解できても日本人には理解できない領域があります。たとえば、正義の実現のためには人命という犠牲を伴うことがあってもやむを得ないという西欧人が持つ感覚は、われわれ日本人にはありません」(大石)

新保 人命を奪ってまでも正義を貫くのが西欧人なのですか?

「アメリカ人の歴史研究家、マシュー・ホワイト氏によると、キリスト教・イスラム教・ユダヤ教の共通聖典である「旧約聖書」に計上されている殺戮の数は約130万人だそうです。旧約聖書で説明しますと、エジプトから逃れて約束の地に向かうため、モーセに率いられて移動するイスラエルの民の中で、モーセの指示に疑問を唱える人々が現れます。これに対してモーセが激しく怒ると、彼らの足もとの大地が裂け、地は口を開き、彼らを呑み込んでしまうんです。同調者までもが生きながらに焼き殺されたといったことも記述されています」(大石)

新保 文句を言っただけで正義の反逆者とみなされてしまった?

「旧約聖書は、神が約束したことを貫徹するためには、犠牲を強いてもやむを得ないとする物語に満ち満ちています。神が指名した者に完全に従うことを厳然たる『正義』とする必要があり、その正義の貫徹がこの犠牲を必要としたということなんです。この物語をわれわれ日本人は理解できるだろうかというと、かなり厳しいのではないかと思います」(大石)

新保 なぜ、西欧人はこれほど厳しい宗教を信じるのでしょうか?

「何度もお話ししましたが、愛する者の死が紛争によるものだったからです。われわれ日本人は自然災害による死だったので恨む相手がいません。紛争の場合は必ず殺した相手がいるわけです。それと対峙するには1つにまとまらないといけない。それには非常に厳しい神様がいて、その神の命令に反したら命を失うという厳しさで縛り付けている、その必要があったからです」(大石)

新保 日本人にはない感覚ですね。

「もう一つの例がフランス革命です。『人は自由で平等であり、博愛に富むべき』という正義は、フランスで革命となり、150 万人もの犠牲を生みました。江戸文化研究家で作家の石川英輔氏は、このフランス革命に対して、『これほどの犠牲を払ってでも実現しなければならない正義など、この世にただの1つもないと信じる』と述べられましたが、ほとんどの日本人はこれに共感すると思います。正義の貫徹のためには、犠牲が伴ってもやむを得ないと考えている西欧人と、それは絶対に受け入れることができないと考える日本人との違いなのです」

今回は少し難しいテーマだったので、ぜひ、大石さんの生の声に耳を傾けていただけたらと思います。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

*大石久和のひとくちコラム*

今回は「国歌に表れた紛争死史観」という話をしたい。日本の国歌は「君が代」だが、「さざれ石が巌となるまで」この国が永遠に存続し続けること願う内容となっている。ところが、海外の国歌は、これと大きく異なる。スポーツ大国であるアメリカの国歌は、「Oh, say can you see, by the dawn’s early light」の歌い出しは、よく知られているが、その後が以下のように続くことを日本人は知らない。<われわれは誇り高く声高に叫ぶ 危機の中 城壁の上に 雄々しく翻る太き縞に輝く星々をわれわれは目にした 砲弾が赤く光を放ち宙で炸裂するなか われらの旗は夜通し翻っていた ああ、星条旗はまだたなびいているか 自由の地 勇者の故郷の上に>。イギリス国歌も、なかなか激しいもので、2番の歌詞は以下の通りだ。<おお主よ、われらが神は立ち上がり 敵を蹴散らし 潰走させ 姑息な罠をも打ち破りたもうた われらの望みは汝にあり 神よわれらを守りたまえ>。フランス国歌の「ラ・マルセイエーズ」は国歌として憲法に規定されているが、1792 年にオーストリアに宣戦布告した時、出征部隊を鼓舞するために作られたといわれている。<行こう祖国の子らよ 栄光の日が来た われらに向かって暴君の 血まみれの旗が掲げられた 聞こえるか 戦場の残忍な敵兵の咆吼を 奴らは汝らのもとに来て 汝らの子と妻の喉を搔き切る 武器を取れ 市民らよ 隊列を組め 進もう進もう 汚れた血が われらの畑の畝を満たすまで>。このように、アメリカ、イギリス、そしてフランスの国歌は、紛争死史観が貫徹している。そして日本は確実にその外にいるのだと、ほとほと感じ入るのである。

*駅長さん登場!*

富山県砺波市の道の駅 庄川(しょうがわ)東亮輔 駅長

北陸自動車道・砺波インターチェンジから、国道156号で南に15分、「庄川温泉郷」の玄関口に「道の駅庄川」があります。周辺には「日本列島最後の秘湯」と銘打った秘湯をはじめ、質の高い旅館があり、その行き帰りにも、合掌造りの五箇山・金沢・氷見へ、およそ1時間で行けるため、旅の中継地点としても人気の道の駅です。

Q.そちらの道の駅の一番の自慢はなんでしょうか?

「地域のお土産、地域の特産品、農産物はもちろんですが、地元の名産だけでなく、日本全国津々浦々から美味しいものを取り揃えていて、その品揃えが多いのが自慢です。近くにスーパー、コンビニ、百均、ドラッグストア、ホームセンターなど商業施設が多く、お土産だけでは商売にならないため、観光客以外に地元の方にも喜んで欲しいものを揃えています」

Q.庄川温泉郷は、〝日本列島最後の秘湯〟があるそうですね!

「サスペンス劇場のロケ地となった大牧温泉は、船でしか行けないので秘境感満載の温泉です。夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色、旅番組でもよく紹介されますよ」

Q.砺波市は雪が多いと思いますが、車のトラブルはありますか?

「道路情報をチェックせずに来られる方が多いので、毎年、雪に覆われた縁石に乗り上げるなど、視界不良でトラブルになるケースが多いですね。スマホで情報を知ることができますので、お出かけ先の情報は必ず入手して欲しいです」

Q.これからどんな道の駅にしていきたいですか?

「道の駅の特徴を出して、観光で来られた方と、地元の方が仲良く交流できるような道の駅にしていきたいと思っています」

道の駅 庄川
所在地:富山県砺波市庄川町示野437
電話:0763-82-7779
営業時間・休業日等の詳しい情報はホームページでご確認ください。
道の駅 庄川 ホームページ

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パーソナリティ
  • 大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )
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    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。