道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

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2020.12.21

第53回のテーマは「キラキラネームにみる『個の強要』」

番組アシスタントの新保友映です!

きょうは、大石さんが「キラキラネーム」について興味深いお話をします。

新保 大石さん! なぜキラキラネームのお話を?

「キラキラネームがいけないと言うつもりはありません。キラキラネームがなぜ増えているのかを考えてみると、「個性が発揮できないと人としてみなされない」といった強迫観念に、今の若い人たちが圧迫されているのではないか、そんな心配をしているからなんです」(大石)

新保 個性って、とても魅力的に感じるものですよね。

「顔見知りの狭い小さな集団(人口400~500人程度の大きさの村)で暮らしてきた日本人は、その集団の中で気まずい思いをしないようにみんなで助け合って生きてきました。異なる個性や能力を活かしながら、それぞれの役割を果たしてきたんです。それは個をないがしろにした集団ではありません」(大石)

新保 個性を意識するようになったのはいつ頃でしょうか?

「戦後になって「個性を発揮しなければならない」となっていくわけです。その元になったのが日本国憲法第13条で、この条文には『すべて国民は個人として尊重される』と書いてあります。私が調べた限りこのような条文が載っている憲法は世界の中で日本だけです。第13条には、「個人は家族の一員として尊重される」とか「個人は地域の一人として尊重される」とは書かれてはいないんです。戦後、GHQが日本国憲法にこの条文を持ち込んだのは、日本人は集団となると力を発揮するという分析があったからだと思います。二度とアメリカにはむかわないように、戦後教育はこの憲法に則って個性を尊重するようになっていくわけです。その個性の象徴が、このところのキラキラネームになっているのではないかと思うのです」(大石)

新保 子供の名前は「一生使う宝物」になってほしいなと親としては、そんな思いを込めて名前を付けていると思いますね。

「例えば、評論家の木村太郎さんも、政治家の山本太郎さんも、ありふれた名前ですが、お二人はとても個性的ですよね。つまり名前が個性を規定するわけではないんです。キラキラネームをつけると個性的になれると親御さんは思うかもしれませんが、求めるべきものはそれだけではないんです。日本人はみんなと一緒に仕事をすることで力を発揮してきました。京セラのアメーバ経営(責任を持った7人が、それぞれ自分の能力を発揮できる分野を見つけて、集団として大きな成果をあげている)が良い例です。個人にならなければ力が発揮できないというのは欧米人です。特にアメリカ人はそうだと言われています。日本人は責任感が強くて慎重ですが、それは全体として力を発揮するときに必要な資質だったんです」(大石)

このあとも大石さんが、キラキラネームと個性について、熱く語っています。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

*大石久和のひとくちコラム*

「明治維新と北前船」について話をしたい。1672年、幕府から出羽国(現在の山形県と秋田県)の幕府米を江戸へ輸送するように命じられた河村瑞賢が、津軽海峡や房総半島など、波の荒い太平洋を避けるために、日本海沿いのルートを開発した。この航海に投入されたのが北前船で、荷物を預かって運送するのではなく「買積み廻船」という船主が寄航港で商品を売買する画期的な廻船であった。これは今日の商社というべきもので、商品の生産地と消費地との関係が飛躍的に高まり、蝦夷と大坂(現在の大阪)を始めとする本州各地との関係を拡大させた。この北前船が長州や薩摩にも莫大な富をもたらした。長州では下関に藩営の倉庫兼貸金業の「越荷方」を設け、下関から大坂の相場を見ながら換金高の高いときに荷物を運んで大儲けし、さらに資金の貸し付けなどでも莫大な利益を得た。薩摩は昆布の中国輸出で稼いでいた。帰り荷に漢方薬やその種を入手して大きな利益を上げた。日本史ではほとんど説明されないが、戊辰戦争から明治維新への流れは、北前船による薩長での富の集積が可能としたのだ。また北前船のために日本海や瀬戸内海に港や河川を整備し、この時、土木が多用された。したがって北前船と土木が、明治の発展、つまり日本の近代化にも大きく貢献したのである。

*駅長さん登場!*

千葉県鴨川市の道の駅「鴨川オーシャンパーク」渡辺公康駅長

南房総の幹線道路・国道128号沿いにある「鴨川オーシャンパーク」は、鴨川で捕れた海の幸・山の幸を販売する「物産館」、昔の磯を再現した「千年磯」や、「青空市場」「休憩所」など、波の音と、潮の香りに包まれた、海浜型リゾートパークです。

Q.外観がピラミッドのようなユニークな形をしていますね!

「鴨川の特産のサザエをモチーフにしていて、平成9年にオープンしました。橋を渡って建物の中に入るようになっていまして、1階が物産館、2階が太平洋を一望できるレストランになっています」

Q.そのレストランでどんな料理が?

「レストランで一番人気が『漁師御膳』です。地元の漁師さんが普段食べている郷土料理の『なめろう』をお出ししています。お土産は、鴨川で採れるレモンを使った『鴨川レモンチップス』がとても人気ですよ」

Q.去年の台風15号の被害は受けましたか?

「こちらの施設はガラスが数枚割れた程度でしたが、それよりも停電が大変でした。自家発電がなく、道の駅の機能がなかなか果たせませんでした。鴨川市の外れにあるので、情報がつかめず、毎朝役所に出向いて情報を入手し、4日間、ホワイトボードに書いてお知らせしました」

Q.東日本大震災の年に駅長になられたとか?

「その当時は、防災に対する知識がほとんどなく、大津波警報が出た時、海沿いだったので、みんなで高台に避難しました。いまはコロナで厳しいですが、鴨川市になくてはならない道の駅になっていこうということを常に考えています」

道の駅「鴨川オーシャンパーク」
所在地:千葉県鴨川市江見太夫崎
電話:04-7096-1911
営業時間・休業日等の詳しい情報はホームページでご確認ください。
道の駅 鴨川オーシャンパーク ホームページ

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パーソナリティ
  • 大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )
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    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。