番組アシスタントの新保友映です!
今週は、宗教のお話から国土学へとお話が展開していきます。外国の方は日曜日に礼拝に行って信仰が厚いですよね。一方、日本人は、お正月にお寺や神社へ参拝し、ハロウィンやクリスマスを楽しみ、結婚式を教会で挙げたり、困ったときの神頼みだったり、どうしてそのようになったのか、大石さんが熱くお話しします。
新保 今回のコロナ対策でも、日本と海外では大きな違いがありましたね!
「我が国は自粛を要請しました。自粛というのは自らが判断するもので要請されるものではありません。自粛を破って街に出ても罰せられることもありませんが、多くの国では外出規制を破ると罰則が付いていました。自粛を要請する日本と、厳しい罰則や罰金を取る他国との違いは何なのか、これは全員がルールを守らないと全員の死につながる、その経験をしてきたかどうかの違いだと私は考えています」(大石)
新保 これも国土の違いから生まれてくるんですか?
「我が国では自然災害によって多くの人々が亡くなるという経験をもとに、人の死を受け入れてきましたが(自然災害死史観)、ユーラシアの国々では紛争によって多くの人々が亡くなるという経験が繰り返されたので、紛争死で世の中を見るようになったのです(紛争死史観)。ルールを守らないと全員が死んでしまう、従って強制的に守らせる、ということになったのです」(大石)
新保 多くの人にルールを守らせるというのは大変では?
「これは私の仮説ですが、それを可能とするために彼らは『一神教』というものを受け入れたのではないかと思うのです。その一神教は、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教です。この三つの宗教は共通聖典として旧約聖書を持ち、ほぼ世界を覆っていると言ってもいいかもしれません。非常に強い縛りを持った宗教です」(大石)
新保 一神教と多神教で、国民の違いが出てくるのでしょうか?
「民族の経験の違いが、一神教か多神教かを選択させたと思います。紛争を経験してきた民族は、敵と戦うとき、軍団が一つにまとまらないと勝てません。それを束ねるために受け入れた宗教が一神教です。神が人々に厳しく命じる一神教を信じることで、ユーラシアの人々は生き延びることができたわけです。我々日本人は一神教を必要とはしませんでした。いつ起こるかわからない自然災害だったので、敵の攻撃をみんなで守らないと、みんなの命を失うという経験をしていません。ユーラシア人は、そのような経験を何度も繰り返してきたんです」(大石)
新保 一神教と多神教、どっちがいいかというお話ではないんですね。
「誤解のないように言っておきますが、民族の経験が、一神教か多神教か、それを選択させているわけで、どっちが優れているとか、どっちが優秀とか、どっちがより好ましいとかそういう話をしているわけではありません、そういうものに頼らざるをえない人々と、そうではなかった我々…、日本人は違う者に頼る事になります」(大石)
このあとも、大石さんが、「日本人はなぜ世界の外側にいるのか」について興味深くお話しています。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!
*大石久和のすっきり納得!経済教室*
今回は『経済学者の署名運動』について考えてみたい。東日本大震災が発生したその2ヶ月後、日本の経済学者が日本経済新聞に復興増税を提案した。本来であれば政府が大型国債を発行して人々を救済し、いち早く復興すべきだと言うのが、経済学者の仕事ではないか。復興費用は国債で十分なのに増税すべきと言ったこの学者の提案が元となり、増税をすることになった。いまでも我々は所得税から復興特別税を支払っているのだ。きっかけは伊藤隆敏東大教授と伊藤元重東大教授が主導した学者有志の提言ということになっているが、なんと全国の110名を超える学者が提言内容に同意し参加している。これはどう見ても署名運動と言わざるを得ない。そもそも署名運動とは、力のない人々が、自分たちでは実現できないので、多くの声を集めてそれを実現しようとすることだ。それなのに非常に力のある東京大学の経済学者が署名運動を行うというのはどう考えてもおかしい。どの分野であれ、大学教授などの研究者はそれぞれが独立して存在しており、その独立性が研究の「独自性と全体としての多様性」を確保する原動力になっている。とりわけ、経済というのは極めて多くの考えや見方があり、1つの仮説・学説にはまとめきれないもの。反対意見を言わせない経済学者の署名運動は、非常に危険なことだと思う。
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