道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

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2020.09.28

第43回のテーマは「わが国のゲートウェイは十分に整備されているか」

番組アシスタントの新保友映です!

今週は、日本のゲートウェイ(港湾・空港)は、アジアの中で、十分に整備されているのか、そのことについて、大石さんが熱くお話しします。

新保 日本のゲートウェイといいますと?

「わが国は島国なので、港湾や空港がゲートウェイということになります。かつて日本は港湾大国であったのですが、今はそうではないんです。阪神淡路大震災以前の神戸港は、コンテナ取扱量において世界で第3位か4位の能力を持っていましたが、今では何十位にも落ちています。この10年間で、世界の港湾におけるコンテナ取扱個数は1.6 倍に増加していますが、わが国のコンテナ取扱個数は1.1倍にしか増えていません」(大石)

新保 なぜ日本のコンテナの取扱量が増えていないんですか?

「世界で就航しているコンテナ船の最大船型は2万個積み(TEU)で、フルのコンテナを積むと水深18mのバース(荷役を行う港湾施設)が必要となります。が、残念なことに、日本にはその規模のバースは、数年前に完成した横浜港南本牧のバース1つしかありません。大きい船が入れないので、日本は、世界の基幹航路ネットワークから外れてしまっています。大きなコンテナ船はまず韓国の釜山港に入って、小さな船に積み替えてから日本の港に向かってくるんです」(大石)

新保 まず韓国に入港するわけですか? 

「例えばアメリカからの製品は、いち早く韓国に届き、その後日本に届けられます。日本からの製品は一旦韓国を経由するので、何日も遅れてアメリカに届くことになります。これで国際競争に勝てるでしょうか。基幹航路ネットワークから外れているということは、貿易競争に遅れをとっているということなんです」(大石)

新保 日本は海に囲まれているから、港湾の開発は進んでいると思っていましたが違うんですね。

「アジアの中で日本は進んでいましたが、韓国が国力をかけて釜山に大きな港湾を整備し、シンガポールは必死になって港を造り、上海では沖合に大きなコンテナバースを整備しました。それなのにわが国は、財政が厳しいという理由で整備しませんでした」(大石)

新保 やはりここでも財政を理由にしているんですね。では日本の空港はいかがですか?

「成田空港の建設に着手していた頃は進んでいたと思いますが、その完成が非常に遅れ、さらに成田空港と羽田空港の一体的な運用ができていません。成田と羽田を合わせて利用客は1年間に5,000万人ですが、ソウルは2つの空港で7,200万人、シンガポールは6,500万人、それに比べると能力不足です。アジアのハブ空港の地位を成田と羽田は失っていると言っていいと思います」(大石)

新保 成田空港と羽田空港を便利に結ぶ計画はないんですか? 

「2つの空港をリニアで結ぶ話がありました。これなら10分でつながります。10分でつながれば1つの空港と言えます。費用は当時2兆円だったと思います。この2兆円の投資は決して高いものではありません。一体化した成田と羽田が、海外の空港と対抗することができるわけです」(大石)

このあとも、大石さんが、日本のゲートウェイの不十分さを、熱く語っています。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

*「駅長さん登場!」*

新潟県妙高市の道の駅「あらい」鹿住正春 駅長

新潟県上越市と群馬県高崎市を結ぶ国道18号線沿いにあって上信越自動車道の「新井パーキングエリア」からも利用できます。広大な敷地には、野菜の直売所や、レストランの他に、ビジネスホテル、精米所、コンビニ、コインランドリーもあり、まるで1つの街のようになっています。今年7月には拡張工事が終わり、従来の2倍の広さになって、防災拠点としても期待される道の駅です。

Q.敷地が2倍になったということですが、どのくらいの広さですか?

「東京ドーム2個がすっぽり入る敷地に、現在18店舗が出店しています。20年前にオープンしましたが、この道の駅を整備するきっかけは、国道と高速道路に挟まれたエリアを活かして地域の振興が図れないかという声が上がり、現在の道の駅ができました」

Q.利用者の方は何を目的に訪れますか?

「来場者の半数は県外のお客様で、上信越自動車道を利用して、これから新米の季節なので、妙高の清流で育ったコシヒカリ、地酒、笹団子、日本海で獲れた魚介類の浜焼きなどが人気です」

Q.なぜ敷地を2倍に?

「防災拠点としては少し手狭だと思っていまして、新たに整備することになりました。広い芝生広場(防災広場)を整備し、日ごろはイベントやBBQが楽しめ、災害時は避難場所となり、避難者に炊き出しとか、広場のベンチもひっくり返すとカマドとして使えるようになっています」

Q.豪雪地帯ですが、この雪を有効活用する計画があるとか?

「新たにオープンした農産物直売所に併設して、雪室(ゆきむろ)を整備しました。冬に積もった雪をここに溜め込んで、1年間、野菜やお米、日本酒を貯蔵すると、熟成して甘みが増すので、非常に注目されています」

道の駅「あらい」
所在地:新潟県妙高市大字猪野山58-1
電話:0255-70-1021
道の駅あらいホームページ
営業時間・休業日等の詳しい情報はホームページでご確認ください。

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パーソナリティ
  • 大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )

    大石久和(おおいし ひさかず )

    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。