番組アシスタントの新保友映です!
今週は、「恐れ」を抱くために、やり方を変えることができない日本人について、大石さんが熱くお話しします。
新保 この「恐れ」とは、具体的にどういうことでしょうか?
「クルーズ船(新型コロナウィルス)対応で、厚生労働省が個人情報は公表できないと言ったことがありましたが、感染者がどのような経路をたどったのかは「秘匿すべき個人情報」なのでしょうか。「社会が共有すべき社会情報」ではないのでしょうか。
また、緊急事態宣言が出されたこと、法制度化することについて反対された宇都宮健児氏は、「基本的人権が制限される恐れ」があると主張されましたが、だったら、諸外国の強力な外出規制には「恐れ」はないのでしょうか?
このように「個人情報漏洩の恐れ」や「基本的人権が制限される恐れ」のために、何もしてこなかったのが日本ではないかと思います。結果、オンライン後進国「日本」を生んでしまいました。「個人に番号を割り当てることで得られるメリット」を得てこなかった結果、マイナンバーカードもいまだ低普及率のままです。」(大石)
新保 日本人は、変化を嫌う国民なのでしょうか?
「日本がコロナ感染者数の集計をFAXでやり取りしていると聞いたバルト三国のエストニア市民が、「FAXなんて最近見たことがない」と笑ったというんです。長年使い慣れたFAXから抜け出せない国に日本はなってしまいました」(大石)
新保 選挙もなかなかオンラインにはなりませんね。
「エストニアは出生届も国政選挙もオンラインでやっているお国柄のようです。これも日本の場合だったら、「なりすましが出てくる恐れ」があるのではないか?ということで、思考が止まってしまいます。それを克服するために、どうすればよいか?という考え方にはなりません」(大石)
新保 日本人が抱く「恐れ」はどうして生まれたのでしょうか?
「国土学で何度も話しましたが、ヨーロッパ人は紛争死史観で、我々日本人は災害死史観から世の中を見るんですね。災害は予測できませんし、あらかじめ備えようがありません。といったことから、我々の思考は『恐れ』に対して臆病になっているのかもしれません」(大石)
新保 日本はこのまま新しいことを受け入れないと、世界から遅れて行きますか?
「イギリスの科学雑誌『ネイチャー』に、「日本は世界から相当に遅れ、科学技術大国である状態は終わりつつある」とまで言われています。コロナを機会として我々は新しい時代、世界に先駆けたような時代を目指さないといけないと思います。ダーウィンが『変われるもののみが生き残れる』と言っています。環境に合わせて変わらなかったものは滅びていく。我々はダーウィンの言う滅びる側になるのか、生き残る側になるのか、瀬戸際にいる、そんな感じがしてなりません」(大石)
いま、この国を支配する最大の恐れは、「財政破綻の恐れ」ではないでしょうか。しかし、「財政破綻はない」と大石さんは力説します。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!
*大石久和のすっきり納得!経済教室*
2016年1月、国道18号碓氷バイパスの峠付近で「軽井沢スキーバス転落事故」が起きた。乗員乗客41人のうち15人が死亡。そのうち13名が大学生だった。事故原因については、運転手の技量、車両管理の問題、従業員の健康管理と労働環境の問題、格安ツアーであった等が指摘され、事故後には、強力な規制(再発防止対策)が導入された。しかし、私はこの事故による犠牲者は、「規制緩和」の犠牲者だと思う。日本は長いこと、新自由主義経済に席巻され、政府は小さければ小さいほどいい、規制はどんどんなくして自由化しろ、そして民営化しろ、こういう考え方を進めてきた。その結果が、このような悲惨な事故を生んだのではないか。今回のコロナ対策でも小さな政府を構えていてはコロナに対する国民の救済ができない、といった声がアメリカから起きている。つまり小さすぎる政府では役に立たないのだ。政府には一定の大きさが必要だ。今回のコロナで新自由経済学が終焉を迎えた、と考えるべきである。国家(政府)は国民の生命、財産を守る最後の砦として機能しなければならない。そのためには一定の大きさが必要で、一定の規制が必要だという考え方に戻りつつある。この世界の潮流に、また日本が立ち遅れているのではないかと危惧する。政府が役割を放棄したのでは、政府は政府たりえない。
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