番組アシスタントの新保友映です!
7月、九州を中心に日本各地で大変な豪雨被害が出ました。きょうは、大石さんに「令和2年7月豪雨災害」についての話をしていただきます。
新保 今回の豪雨被害、大石さんはどう思われますか?
「今回に限らず、去年の東日本台風、一昨年は西日本豪雨、三年前が九州北部豪雨というように、毎年大変な豪雨が被害を及ぼし、多くの方々の命を奪っている、この状況が残念で仕方がありません。行政の対応には限界があり、いかに避難するか、そういう方向に話をしたがる人がいますが、決してそれだけではないと思うんです。最近の災害で高齢者の逃げ遅れが問題になっていますが、日本では助けなければ助からない人が増えています。こうした現状を鑑みれば、もちろんいかに避難するかも大事ですが、いかに被害が無いようにするか、いかに避難しなくてもいいようにするか、という議論が行われなくてはなりません」(大石)
新保 なぜそのような対策が進められていないのでしょうか。
「財政が厳しいから、財政破綻の危険があるから、といったことが多くの人に刷り込まれていて、そこから議論が始まっていることに問題があると思います。政府は国民の最大の保険機関であり、最終の保険機関です。その政府が日本人の命を救わなくてどうするんだ、というのが私の気持ちです。今回いくつもの橋梁が流されたことで、かなり長い間、経済にも人々の暮らしにも悪影響が及ぶことになると思います」(大石)
新保 以前、徳川家康が、利根川や荒川の流れを変えて、治水事業を成し遂げたというお話を伺いました。
「徳川家康だけではなく、この時代、全国の大名が、それぞれの藩の領域にある河川に手を入れています。中でも加藤清正は、熊本(肥後熊本藩)の大きな河川のほとんどについて、改修を手掛けています。今回の球磨川流域も昔からいろいろ手が入れられてきました。むしろ、現在の方が、現在の技術力に比べて、十分なことが行われたか、ということを考えてもいい、そんな気がします」(大石)
新保 川辺川ダムに関する熊本県知事の発言は、どう思われましたか?
「知事になられた当時は、〝脱ダムブーム〟といった時代でした。投票によって選ばれる知事ですから、そういった流れに反することはできない、ということがあったと思います。しかし長い間、熊本県政を行ってこられたのですから、球磨川の治水について、もう少し研究を深めていただきたかったという感じがします」(大石)
新保 これからも起こる豪雨被害を、どうしたらいいでしょうか?
「人間の存続と治水の問題は、東アジアのモンスーン地域に住むわれわれにとって避けられない必然のテーマです。また、30年前に比べて、雨の降り方、降水量が倍増しています。一方、治水のインフラを整備する予算は、この30年間、日本だけが半減しています。アメリカもイギリスもほぼ倍増です。どこの国もそうです。日本だけが財政が厳しいからという理由で、治水インフラを半減して、人の命を失っています。新型コロナウィルスへの対応では、日本のIT技術の遅れが顕在化してしまいましたが、この分野(治水インフラ整備)でも残念な姿を世界に晒してしまいました。世界の人々は、「日本よ、しっかりしろ!」と言っているように思います」(大石)
今回は、大石さんが、いまこそ治水インフラの整備に力を入れるべきだと、熱く語っています。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!
*大石久和のすっきり納得!経済教室*
今回は『日本の競争力が大変な勢いで落ちている』という残念な話です。スイスのビジネススクール「IMD」が、毎年「世界競争力ランキング」を発表しています。1996年頃まで、日本は1位〜3位の間にいましたが、それ以降、日本の順位は落ち続けて、昨年は30位となり、韓国(28位)に初めて抜かれました。今年のランキングでは、日本はさらに34位に転落。韓国は23位にランクアップ。私は声を大にして言いたいのは、日本の政治がこの発表に対して、ほとんど反応がなく、反省もなく、議論がまるでないことです。私たちがこの30年でやってきたことを重点的に検証しないといけないと思います。
教育費の公的負担も、OECD(経済協力開発機構)の中で日本が最低です。博士号の取得者が、この10年間減り続けているのは、先進国の中でも日本だけです。博士号を取ったら高い給料が取れないことになっているんです。こんな馬鹿なことになっているのも、世界で日本だけなんです。日本の若い人たちが力を発揮できない環境が生まれていて、それも「世界競争力ランキング」の34位に現れていると思うのです。
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