道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

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2020.05.04

第26回のテーマは「〝みどりの日〟に日本の緑について考える」

番組アシスタントの新保友映です!

5月4日は「みどりの日」でした。青葉がきれいなこの季節に、外出自粛。いまは我慢の時ですね。新型コロナで鬱々とした気持ちになっていると思いますが、大石さんが、せめて心の中に緑豊かな山々が思い浮かぶように・・・と、「日本の緑」について話してくださいました。

新保 5月に入って日本は本当に緑豊かな国だと実感しますね!

「わが国の国土面積の70%を占める山岳地帯は、国土の砂漠化に悩む国とは異なり、大変有り難いことに緑に被われています。その山々のほとんどは日本人が作り上げてきた緑です。杉や檜の植林以外も、何らかのかたちで私たちが手をかけた山や緑です。全く手付かずの森林は白神山地(青森)や、春日山原始林(奈良)ぐらいです。日本の森の姿は、日本人の森に対する姿勢をあらわしていると思います」(大石)

新保 日本人が手をかけて緑豊かな国にしていったんですね。

「奈良時代、平安時代、江戸時代と、木材の需要が非常に多かったので、日本の森林はあまり豊かではありませんでした。例えば、江戸時代は大火が多く日本中から木材が集められました。また、明治時代も近代化のために木をたくさん使いました。戦後になって荒廃していた山々に緑を取り戻そうと植林が行われ、いま日本の森林は非常に豊かな時代を迎えているんです」(大石)

新保 緑豊かな日本は、最近のことなんですね。

「東京大学名誉教授の太田猛彦先生(森林学)の言葉を借りると『森林爆発をしている』というほど、現在の日本は緑豊かな森を手に入れています。杉や檜が1年間に成長する量は、日本人が用いる木材の量とほぼ同じだそうです。上手に伐採して使っていけば、輸入材を使う必要がないと言われています。ところが林道が整備されていないので、持ち出すのに赤字になってしまい、国産材はなかなか使われずにいます。これは実にもったいない話です。ぜひとも林道を整備して、私たちの先輩が植林してくれた木を上手に使っていくべきだと思います」(大石)

新保 森林は、環境のためにも必要ですね。

「〝緑のダム〟という言葉をご存じでしょうか。山に木を植えて緑豊かにすれば保水してくれて、大雨が降ってもそこで水が止まる、だからダムを造るのをやめて緑のダムを作っていこう、という話が広がったことがありました。しかし、残念ながら日本の緑は飽和している状況で、いまから木を植えてもそれほど保水力が上がるわけではありません。また、ダムの治水効果は一定規模以上の降雨があったときに発揮されるものであって、緑のダムにはこうした効果は期待できません。」

「いずれにしても、日本人がこのような豊かな森を持てていることは非常に幸せなことです。この森を荒廃させることなく、次の世代に継いでいかなければいけないと思います」(大石)

新保 大石さんが、緑あふれるこの時期に、日本の緑について、興味深い話をしています。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

*コラム「コロナショックで我が国がすべきことは」*

全国民への10万円給付に関して、財政が大変だから国会議員の歳費の2割を国庫に返上するといった話があるが、これは誤った認識だ。いまこの国から消費が消えていっているので、お金を使わなければいけない。ある県知事が県職員に渡る10万円を県に出せと言ったが、知事が言わなければいけないのは、「そのお金を県内で、できるだけ早く使ってくれ」いうことだ。国会議員も知事も、いかに財政に対する認識が不十分なのか、と言わざるをえない。財政再建至上主義は、1995年に比べて、保健所の数を半減させた。また、感染症の病床は1998年に9,000床以上あったものが、2018年には1,900床、80%減になってしまった。さらに、経済財政諮問会議(昨年10月)では、今後13万床の病床を削減すべきだということが議論されている。国民の生命や財産はどう考えているのかと言いたい。日本の財政が破綻するということはない。国債を銀行が引き受けると、信用創造を通じて預金が増加する。実際に、政府国債残高が1,000兆円近くまで増え続けているのに、わが国の長期国債金利は下がり続けている(世界で一番低い)。いまこそ救国民政策をやらなければいけない。そのためには政府が国債を発行し、国内にお金を流通させて、国民がもっともっとお金を使える環境を作らなければいけない。このコロナショックで間違った財政運用をしてしまうと、日本は本当に二流国に転落してしまう。

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パーソナリティ
  • 大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )
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    大石久和(おおいし ひさかず )

    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。