道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

2020.04.27

第25回のテーマは「強制できない国ニッポン」

番組アシスタントの新保友映です!

新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言が発令されましたが、休業を要請するだけで、「強制」ができません。なぜできないのか。国土学の見地から大石さんに伺いました。

新保 欧米は厳しく外出禁止にしていますが、これも国土学にかかわるとか?

「以前、「日本の玄関ドアは外開き、日本以外の国の玄関ドアは内開き」という話をしましたが、日本では日常の利便性が優先されるのに対して、日本以外の国では安全保障が優先されます。これは、「ある約束を全員が守らなければ全員が死んでしまう」という経験、紛争死(紛争による大量虐殺)を繰り返し経験してきた人々と、自然災害で死んでいった日本人の経験の差(違い)によるものです。それが、「強制ができる国」と「強制ができない国」との違いに繋がっている」(大石)

新保 日本人は強制が出来ない国民なのですね?

「このようなこともありました。私が建設省時代の道路の責任者だった時、ETC(自動料金収受システム)を導入しました。普及率がまだゼロだった頃、記者発表で『やがては首都高速や阪神高速道路で、全車ETCを義務付けたい』と話をしたところ、記者から『何を馬鹿なことを言っているんだ。そんなことできるか』という反応が返ってきました。シンガポールはETCが義務化されています。それによって「ここの交通を抑制したい」となると、そこを通る車に課金できるようになっています。日本も今ではETCが普及しましたが、義務化されてはいません。そのことで、できる政策と、できない政策が分かれてしまっています」(大石)

新保 今回の新型コロナウイルスでも、なかなか強制ということが難しい国なんだな、と実感しますね。

「今回の緊急事態宣言の発動を、政府はずいぶん悩んだようですが、この時、日本では基本的人権が侵されるという議論が多かったですね。しかし、命を失ったら元も子もない。日本は外出規制を強制することができない国です。一方、カナダでは国民が外国から帰ってくると、自宅に14日間、隔離することを義務化していますが、違反すると75万カナダドル(5,800万円)の罰金か、禁錮6ヶ月となります。極めて強制力の強い規制が導入されているのです」(大石)

新保 日本では考えられない強制力ですね!

「リスナーの皆さんには、誤解のないように聞いていただきたいのですが、ヨーロッパが優れていて、日本が劣っていると言っているわけではありません。日本人はそういう強制を非常に嫌う国民なのです。先ほど話しましたが、日本人には強制されることで命が守られたという経験がないのです。我々はそういう違いを持った国民であり、民族だということを、よくよく自覚しなければなりません」(大石)

新保 民族によって、新型コロナウイルスの対策がずいぶん違うことを、大石さんが熱く語っています。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

*「駅長さん登場!」*

宮城県石巻市の道の駅「上品の郷」(じょうぼんのさと)末永佑工駅長

三陸自動車道・河北インターチェンジを出て、国道45号線を気仙沼方面に500mほどのところにある道の駅です。地元石巻の新鮮な野菜を始め、花、お総菜、南三陸の水産加工品などを扱う直売所。充実したバイキングが魅力のレストラン。日帰り温泉の「ふたごの湯」も人気です。(*ふたごの湯は5月10日(日)まで臨時休館です)

Q.石巻市といえば東日本大震災で大きな被害が出ましたが、そちらは?

「震度7でも耐えられる木造建築で建物はほとんど被害がありませんでした。被災者の方に食べ物を支援し、お風呂を開放したことで、大変喜ばれました」

Q.石巻市を縦断する三陸自動車道の「河北IC」インターの近くにあるそうですが、遠方からのお客さんも多い?

「今回の新型コロナ感染症防止で、人気の『ふたごの湯』は臨時休業しています。その前は土日になると、全国からお越しいただいていましたので、早くそういう状態が戻ればいいなと思っています」

Q.地域交通拠点モデルになっていますが、どんな役割を担う道の駅ですか?

「東日本大震災を経験したこともあり、皆さんに不自由のないように、食料、物資、燃料などを供給できる防災拠点を目指しています。駐車場のスペースも300台ほどあり、何かあった時には皆さんに寄っていただける道の駅だと、全国の皆さんに、発信していきたいですね」

道の駅「上品の郷」
所在地:宮城県石巻市小船越二子北下1-1
電話:0225-62-3670
※新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴い、営業時間の変更や、臨時休業の施設があります。お出かけの際は、ホームページの最新情報をご確認ください
http://www.joubon.com/home/

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パーソナリティ
  • 大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )
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    大石久和(おおいし ひさかず )

    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。