道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

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2020.04.13

第24回のテーマは「新型コロナウイルスと経済対策」

番組アシスタントの新保友映です!

今回は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けての緊急経済対策について、大石さんが「大いに問題あり!」と熱く語っています。

新保 今回のコロナショック、大石さんはどう見ていますか?

「1995年から我が国はデフレに入り、さらに〝財政再建至上主義〟という緊縮財政に走ったツケが、今回いろいろと現れています。たとえば、保健所は1995年に比べて、今では、51%に減っています。そこに新型コロナが来て、保健所が大変なことになっているわけです。また国立感染症研究所の予算も、2009年には60億円ほどあったのが、2018年には40億円ほどに下がっています。もっと驚くのは、集中治療室(ICU)のベッド数が、10万人当たりドイツが30床、イタリアが12床、日本は5〜7床と言われています。私たちの国を〝財政再建至上主義〟が、いかに蝕んできたか、明らかです」(大石)

新保 この経済危機は、リーマンショックを超えますか?

「国際労働機関(ILO)によると、世界の労働人口の約4割が職を失うのではないかと言われています。1930年に世界恐慌が起きましたが、この時の需要喪失をまかなうためには、第二次世界大戦に突っ込むしかなかった、というぐらいの大恐慌です。それ以来の恐慌になるのではないかとIMF(国際通貨基金)は言っています。ですからリーマンショックどころではないんです。それを踏まえた経済対策をしなければならないのです」(大石)

新保 世界の中で、日本の経済対策は、いかがですか?

「世界の中で日本だけが違う状況にあります。それは昨年10月に消費税増税を行っていることです。昨年の10月から12月までの経済統計を見ますと、年率でGDP(国民総生産)が7.1%棄損という状況になっていたんです。GDPが500兆円とみても、35兆円が吹っ飛んでしまう状況にあったんです。そこにコロナショックが襲ったわけですから、日本は、アメリカやヨーロッパ以上の経済対策を打たないと乗り切れません」(大石)

新保 今回の108兆円の経済対策を、どう見ていますか?

「大きな経済対策のように見えますが、108兆円は、かなり膨らませた数字だと言わざるを得ません。〝真水〟という言い方をしていますが、つぎ込まれるお金は17兆円しかないのです。あとは民間資金が42兆円、企業の納税や社会保険料の支払いを猶予するのが26兆円。免除ではなく猶予(期日を伸ばす)するものを入れているのが、108兆円の中身なのです。アメリカの2兆2,000億ドルの経済対策では現金給付をやろうとしています。イギリスやドイツでは「すでに私の口座に振り込まれていた!」というニュースも流れています。日本は、収入が減ったことを証明し、それを役所で手続きをしろ、という話です。「国民を助けようという意思があるのか」と疑問に思ってしまいます」(大石)

新保 消費税を減税すべきという意見があるようですね。

「国会議員の一部に、消費税を5%、または0%にすべきだ、という声が上がりましたが、それに対して、『消費税は社会保障の財源だから、そういうことはできない』とベテランの政治家が反論しました。これは本当なのだろうか? 国の財政をまかなう大きな税金は「所得税」「法人税」、もう一つが「消費税」です。この3つは1つの財布に入っています。所得税も法人税も、消費税と同じく社会保障に回っていますから、消費税だけは下げられないという言い方はできないはずです」(大石)

新保 なぜ、消費税を下げられないのでしょうか。

「消費税を上げるたびに、法人税はずっと減税してきています。この30年で300兆円を減税し、その300兆円は従業員の給与には回らず、設備投資もせず、内部留保ばかりが増えて、460兆円も積み上がっています。消費税は究極の大衆課税で、貧しい方々ほど負担率が高いんです。こういった情報が主権者に届いて、「今回のコロナショックでは、大幅な現金支出を行なうべきだ」という声にならないといけないと思います」(大石)

新保 これから国の対応は、どうしたらいいでしょうか?

「タクシー会社や飲食店では、すでに雇用が失われ始めています。これはものすごく危険なことです。経済対策が遅れたがゆえに、自殺する人が増えるのではないか、と心配する学者もいます。そういうことにならないように、第二弾、第三弾の経済対策は、諸外国のどこにも負けない、〝国民を救うための経済対策をやる〟と力強いメッセージを出すことが、国民への最もいいメッセージになると思います」(大石)

新保 大石さんの『新型コロナウイルスと経済対策』、この後もまだまだ続きます。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

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パーソナリティ
  • 大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )
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    大石久和(おおいし ひさかず )

    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。