番組アシスタントの新保友映です!
この春から、番組は毎週月曜日の夜6時40分から20分番組になりました。これからもどうぞよろしくお願い致します。さあ、今回は「8代将軍・徳川吉宗の謎」について、大石さんがポッカリ空いた〝歴史の穴〟を国土学から読み解きます。
新保 吉宗といえば、時代劇の「暴れん坊将軍」をすぐに思い浮かべますが…
「吉宗は、大岡越前を登用したり、庶民の声を聞くために目安箱を置いたり、享保の改革を行い、その1つに足高の制(役職手当)を設けるなど、素晴らしい業績を残しています」(大石)
新保 そんな吉宗に、どんな謎があるんですか?
「徳川家康から徳川直系の本家が将軍を世襲してきましたが、7代将軍・徳川家継が若くして亡くなり、本家に次ぐ地位の『御三家』の1つ、紀州徳川家から将軍に選ばれたのが吉宗でした。その吉宗が自分の子供たちだけに『御三家』に並ぶ家柄『御三卿(ごさんきょう)』を起こし、ここからも将軍になれる道を開きました。なぜそんなことが可能になったかを〝歴史の穴〟として取り上げたいと思います」(大石)
新保 確かに、お家騒動が起きても不思議ではないですよね。
「そうなんです。御三家(徳川の分家)出身の吉宗が、さらに御三卿という自らの分家をつくり、そこからも将軍を出していくわけです。本来なら徳川本家が『勝手なことは許さぬ』となりかねないのに、なぜ吉宗はそういう事ができたのか…、ということが謎であり、歴史書にも御三卿を起こした理由が説明されていないんです」(大石)
新保 大石さんは、この〝歴史の穴〟を、どう思われているんですか?
「その〝歴史の穴〟を解き明かすヒントに、『仮説をつくり、それを検証していくのが学問だ』とおっしゃる板倉聖宣先生が、『吉宗だけがなぜ特別な存在だったのか』という仮説を立てています。その仮説によると、歌舞伎、浮世絵、浄瑠璃などが生まれ、景気も良かった元禄時代が終わって、吉宗の時代を迎えます。それまで伸びてきた年貢が、吉宗の時代になって止まったんです。その原因は何かと考えた吉宗は(畑を耕作する人口が減っているのでは?)と、世界で初めて人口調査を行っているんです。日本の総人口は、ほぼ3,000万人で、そのうち庶民は2,600万人ということが分かりました。各地域で年貢が落ちた原因は人口減少にあると吉宗は気付いたわけです」(大石)
新保 総人口調査をしたことで、どうなったんですか?
「徳川家康が将軍になってから、順調に新田開発が進んでいましたが、その開拓も限界に達し、人口も伸びなくなっていることを吉宗は気付いたんです。そこで吉宗は、通達をいくつも出しています。享保の改革もその1つ。さらに吉宗のイメージとずいぶん違うのですが、新しいものを上方(大阪)から持ってきてはいけないとか、新しいものを作ってはいけないとか、何回も通達を出しています」(大石)
新保 まったく吉宗のイメージではないですね。何のためですか?
「それは、お米にしか依存できない武家の暮らしを守るためです。元禄文化で庶民の文化が花開いたことで、危うくなった武家の暮らしを立て直してくれるのが、吉宗だったわけです。武家社会全体が吉宗に従うことで、御三卿を起こすことができたのではないか、というのが板倉先生の仮説です。これはまだまだ検証する必要がありますが、私は立派な仮説だと思います」(大石)
新保 時代劇の「暴れん坊将軍」しか知らなかった徳川吉宗ですが、大石さんの話を聞けば聞くほど、まさに国土学を実践した将軍だったと分かりました。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!
*メール紹介*
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ありがとうございます。
「前回1964年の東京オリンピックの前には日本は大きな経済発展があったと思いますが、今回の東京オリンピックの前は景気が後退しています。なぜ、こうなってしまったのでしょうか」
このご質問に、大石さんの回答は、以下の通りです。
「日本の経済が一番良かった年は1995年でアメリカのGDP(国民総生産)の約7割まで肉薄していました。その後、ずるずる落ちていくんですが、この1995年に『財政危機宣言』が出て、政府はお金を使わない、大学にも研究機関にもお金を回さない、インフラ整備もしないという財政再建至上主義に走り出しました。そうしたことで1995年から我が国はデフレに入っています。デフレとは物価が下がる以上に賃金が下がる現象で、国民はどんどん貧困化していきました。そこから脱却しないといけないのに、未だに出来ていません。赤字国債を発行し続けると日本は財政破綻すると思っている方がいますが、自国通貨で国債を出している国がデフォルト(債務不履行)したことは歴史上ありません。それなのに財政破綻を心配し、財政を切り詰めてきた結果、日本は成長しない国になってしまいました。今回のコロナショックから脱するためにも、思い切った経済対策を期待したいです」(大石)
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