道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

2020.03.08

第18回のテーマは「国土計画のない国“日本”」

番組アシスタントの新保友映です!

先日、大石さんが国会(衆議院)の予算委員会で発言をされたそうです。今回は、この辺りのお話から、大石さんに伺ってみました。

新保 大石さん、衆議院の予算委員会で参考人として意見陳述をされたとか?

「世界に比べて、我が国のインフラはずいぶん遅れを取っています。交通インフラも、防災インフラも整備が遅れている、ということを述べてきました。この30年で、インフラ整備費を下げ続けてきた先進国は日本だけです。そんな日本の実情を知ってもらい、「これでは日本の競争力がつかず、経済成長もしない」と話してきました」(大石)

新保 そのインフラ整備費は、どのくらい減っているんですか?

「例えば、一時間に100ミリの豪雨は、30年前と比べて1.6倍ほどに増えています。それなのに我が国の防災事業費は、ほぼ半減しています。雨の降り方がきつくなってきているのに防災インフラの事業費が減り続けてきている、こんな国はありません」(大石)

新保 日本に住むのが怖くなってきますが、なぜ、そうなっているのですか?

「国土計画(全国総合開発計画)がなくなったことに原因があります。国土計画のようなものはありますが、どこの道路を、いつまでに完成させるか、そんな重要な事がほとんど書かれていません。先進各国は、具体的なブロジェクトが入った中期計画を持っています。我々もこのような国土計画をもう一度持つべきなのです。国土計画があることで、行政は、介護・保育園・行政施設などの設置計画を立てることができます。一般企業にとっても、支店・営業所・物流拠点などを計画的に整備することができます。なぜ国土計画がなくなったのか、それは計画を作ると、将来の財政支出圧力につながるからです。財政に良くない、といった理由で国土計画がなくなってしまいました」(大石)

新保 なぜ、国はお金を使いたがらないのでしょうか?

「小さな政府を目指して、民営化、自由化、規制緩和を実行してきた「新自由主義経済学」が、この国で主流となっているからです。しかし、そういった考えでは、この国はうまく運営できない、と国民の多くは気づき始めています。インフラ整備を中心とする積極財政を打っていかないと、デフレから脱却できません。20年以上うまくいかず、国民が貧困化したことも事実です。国民を豊かにするために経済学があり、国民を豊かにするために政治があります。そろそろ我々は頭を切り替える時期が来ていると思います」(大石)

新保 大石さんが、「国土計画のない国“日本”」について熱く語っています。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

*コラム「日本は輸出大国だと思ってはいないか?」*

我が国が貿易大国だと思ったら、それは間違いである。輸出額をGDP(国民総生産)で割った「輸出依存度」、つまり、その国の経済がどれくらい輸出に依存しているかを示した数字だが、日本は20%を超えたことがない。ドイツの輸出依存度が47%、フランス31%、イギリス30%、韓国43%であるのに比して…。日本が高度経済成長した70年代、80年代を見ても輸出依存度はせいぜい15%ほどで、いかに日本が内需大国だということが分かる。したがって我が国では、内需を大きくしないと経済は回らない。企業はお金を使わず、内部留保し、従業員にも回していない。この現状を打開するには、政府が支出するしかない。公共投資によるインフラの整備で、フロー効果・ストック効果が生まれ、経済が回りだす。このように正しいデータに基づき、他国と比較しながら、議論をすることが大事だ。それができる国にならないといけない。

*「駅長さん登場!」*

福島県喜多方市の「道の駅ふれあいパーク喜多の郷」山口隆夫駅長

『道の駅ふれあいパーク喜多の郷』は、磐越自動車道会津若松ICから国道121号線を米沢方面へ約25kmの位置にあります。地産地消をモットーに、会津地方の仲間と共に、安全安心で元気な”蔵のまち・ラーメンのまち”喜多方を元気にする道の駅です。

Q.喜多方と言えば、〝蔵のまち〟で知られていますね! そちらも蔵のような造りなんですか?

「この道の駅には、観光案内所、物産館、食堂、それから日帰り温泉施設もありますが、すべて蔵づくりになっています。喜多方ラーメンが有名ですが、こちらで一番話題になっているのは、『喜多方ラーメンバーガー』です。見た目はハンバーガーですが、食べると喜多方ラーメンの味がしますよ」

Q.国道121号線(大峠道路)は、昔は雪が降ると通行止めになっていましたが、一年中通行できる道になって、喜多方の皆さんには大きな意味があったでしょうね?

「人の流れが劇的に変わりましたね。それまで冬は山形県とのつながりができませんでしたが、いまは雪が降っても車がバンバン走れます。峠を越えると山形県の米沢市で、国道121号線のおかけで、一年中、双方の行き来が盛んになり、1日5,000台前後の車が通過しています」

Q、どんな道の駅を目指していますか?

「地元に貢献できる道の駅ですね。道の駅から喜多方市内へお客様を誘導するゲートウェイ的な機能が必要だと思います。この道の駅に来ていただいて、喜多方市内を見ていただく。逆に喜多方市内を見ていただいて、道の駅に寄ってもらう、相互の流れが必要だと思いますので、それに向かって道の駅を考えていきたいですね」

道の駅ふれあいパーク喜多の郷
所在地:喜多方市松山町鳥見山字三町歩5598-1
電話:0241-21-1139
定休日:12月31日、1月1日
http://www.furusatosinkou.co.jp

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パーソナリティ
  • 大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )
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    大石久和(おおいし ひさかず )

    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。