道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

2020.02.16

第16回のテーマはズバリ「少子化問題」です

番組アシスタントの新保友映です!

今年の新成人は122万人で、前年比で3万人減でした。さらに心配なのは2019年の国内出生数が90万人を切って86万4000人だったことです。どんどん減っていく日本の人口ですが、この少子化を食い止める方法はあるのか、大石さんに伺いました。

新保 日本の人口減少を大石さんはどう思われていますか?

「少子化は国難中の国難と言っていいと思います。生産年齢人口(15歳〜64歳)がピークだった年は1995年で、8,700万人でした。このあと減り続けて現在は8,000万人を切っています。2060年ごろには今と比べると3,000万人ほど減っていると予測されています」(大石)

新保 少子化の問題は何が原因でしょうか?

「あまり知られていないのは、結婚している夫婦が子供を産む数が減っていないことです。それよりも心配なのは既婚者が減っていることです。特に若い男性が結婚するための給与をもらえていない。それは非正規雇用が増えすぎていることに起因しています。1995年ごろから非正規雇用が増え、2018年には2,120万人で、全雇用者の約38%を占めています。この問題に取り組まずに少子化問題は解決できません」(大石)

新保 その他、問題点はありますか?

「東京一極集中を解消していかなければいけない。合計特殊出生率(一人の女性が一生の間に何人の子どもを産むか)は、日本全体では1.42人。東京は1.2人。一番多いのは沖縄で2.0人に近い数字で、地方の出生率が高いわけです。従って、東京に本社がある企業は、地方に転換していく必要があると思います」(大石)

新保 実際、そういった企業はあるんですか?

「ブルドーザーなどの建設機械を扱う小松製作所がいい見本になっています。東京本社と小松本社(石川県)があって、小松で働く人も東京と同じ給与水準にしたそうです。その結果、石川県で働く女性は、平均で2.8人の子供がいるそうです」(大石)

新保 政府がやるべきことは?

「政府は企業の地方移転が進むように補助金を与える政策を打つべきだと思います。さらに、非正規雇用を拡大してはならない。東京に人を集めすぎてはならない。結婚しやすい環境を作る。まずはこれらから始めないといけないと思います」(大石)

新保 大石さんが、日本の少子化問題に対して熱く語っています。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

*コラム「道路のネットワークをつなぐことの効用」*

環状道路が整備されていない時代、例えば埼玉の川越から千葉の柏に移動するのに、一旦都心に出ないと行けず、したがって都心は常に渋滞していた。そのために環状道路の建設が必要なのだが、その効用を沿線住民の多くは理解できなかった。とにかく都心まで早く行ける道路を求めてしまうのだ。環状道路があれば、大阪方面から東北へ行く場合、都心という渋滞地帯を通らずに、北へ抜けていくことができる。放射状に伸びた6本の道路を、環状道路の輪でつなぐと、ある地点から別のある地点に行くのに、十七通りものルートが確保できる。万が一、事故などで道が封鎖されても、いくつものルートで目的地への移動が可能だ。圏央道は、土地の買収などで、まだ未開通の区間もある。これでは環状道路というネットワークの効果が100%発揮できない。関東全体の人や物の流れを考えると、環状道路がどれほど有効か、もっと知ってほしいものだ。

*「駅長さん登場!」*

栃木県益子町の「道の駅 ましこ」広報の山崎祥子さん

栃木県益子町に2016年10月に誕生した「道の駅ましこ」。建物は「山と土」をモチーフに、益子の山々を表す幾重もの大屋根と益子の土をふんだんに使った土壁が特徴で、店内から外に目を向けると、里山や田園風景が前面に広がっています。

Q.どんな道の駅か、教えてください

山崎 栃木県内で24カ所目の道の駅です。益子焼で有名な町ですが、野菜や食べ物の情報発信ということで整備をされました。訪れる方から好評を得ているのは、益子町産の卵で作った「とろたまブリュレ(益子焼ミニ釜セット)」です。

Q.道の駅の中に、空き家情報や移住情報のコーナーがあるそうですね。

山崎 全国的に珍しい空き家・移住情報コーナーがあります。実は当駅の支配人も富山県からIターンで移住しました。他のスタッフもIターンやUターンが多いんですよ。益子町の魅力をもっと知っていただくと、町の人口も増えていくと思っています。

Q.益子には小貝川が流れていますが、河川が氾濫した時の対策は?

山崎 台風19号の時は、氾濫寸前でしたが、台風のルートが逸れて、大きな被害は出ませんでした。当駅は、一時避難所になっていますから、万一、河川が氾濫した際は、一番近くの避難所へ住民を案内する拠点になっています。

Q.これから、どんな道の駅を目指していきますか?

山崎 新しい話題としては、この2月、「ましこ悠和館」がオープンします。ここは、上皇様が皇太子時代、学童疎開時に滞在された奥日光の建物を、益子町に移築し、一般公開や宿泊もできるようになります。こういった益子町の魅力を、道の駅から全国に発信していきたいと思っています。

道の駅ましこ
所在地:栃木県芳賀郡益子町長堤2271
電話:0285-72-5530
営業:9:00 ~ 18:00(定休日 毎月第2火曜日)
http://m-mashiko.com

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パーソナリティ
  • 大石久和(おおいし ひさかず )
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    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。