道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

2020.02.09

第15回のテーマは「歴史を国土学で読み解く」

番組アシスタントの新保友映です!

今回は日本史を国土学で読み解きます。「歴史を振り返ると、今はもうない自然災害があった」という大石さんのお話が始まります。

新保 今はもうない自然災害があったんですか?

「日本は自然災害が多い国で、地震、台風、水害などで歴史が動いてきました。その中で今はない災害がありました。それは飢饉(飢餓)です。最後の飢饉が明治2年に起きました。それ以前は22回ほどの飢饉が記録されています」(大石)

新保 当時の飢饉がわかる記録があるんですか?

「それは『方丈記』ですね。鴨長明が1081年の『養和の飢饉』を記録しています。京都の街に腐臭が漂い、鴨川は人や動物の死体が積み上がっていて、渡ることもできず、高名な僧侶がその死体を数えたら4万2300人を越えたそうです。大変な飢饉だったことがこの記録から伺えます」(大石)

新保 大石さんが歴史書で疑問に思っていることがあるそうですね?

「1192年、源頼朝が征夷大将軍になりましたが、鎌倉幕府が成立したのは、諸説ありますが、もっと早く1185年とも言われています。それなのに武家社会の法律『御成敗式目』は1232年に制定されています。ずいぶん遅いと思いませんか。歴史書には、<道理と呼ばれた武家社会の慣習や道徳をもとに制定された>とあるんですが、それなら鎌倉幕府が成立したころに制定すべきではなかったのか」(大石)

新保 なぜ、制定が遅くなったのですか?

「実は、この時期にとんでもない大飢饉があって、武家と農民との米の取り合い、土地の取り合いといった紛争が全国で頻発しました。これでは幕府が潰れてしまうと、ルールを作ったのが御成敗式目だったわけです。ということもあり御成敗式目には土地に関する条文がとても多いんです」(大石)

新保 どれほどの大飢饉だったのでしょうか?

「記録には岐阜県の大垣市や埼玉県の入間市あたりで、7月に雪が降っているんです。これでは大飢饉になるはずです。安貞(あんてい)に飢饉があり、元号を変えてえて寛喜(かんき)にしましたが、この時も日本の人口の3分の1が亡くなるという大飢饉が起こりました。さらに元号を貞永(じょうえい)に変えて、このときに御成敗式目(貞永式目)ができたんです」(大石)

新保 御成敗式目は飢饉と大きな関係があった?

「歴史書は、当然この飢饉のことを書かなければいけないわけですが、そのことを全く触れず、<所領問題が各地で頻発すると…>あるんです。文献だけを追いかけても歴史は解けません。その時代にどんな自然現象が起きたのか、災害があったのかということを追いかける必要があるのに、残念ながら日本の歴史書はその辺に関心が薄いと思います。これ以外にも歴史の上にはいくつも〝穴〟が空いているんです」(大石)

新保 大石さんが、日本の歴史を国土学から読み解いています。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

*コラム「なぜ日本人は公文書を簡単に廃棄してしまうのか」*

このところの、「公文書の廃棄」や「名簿のシュレッダー処理」など、なぜ公文書を大切にしないのかと、首をかしげたくなるが、そもそも日本人とは「過去は流れ去って消えていくもの」と思う国民なのだ。明治になったとき、私たちは江戸の文化を否定し、国宝級の浮世絵や仏像が海外に流出した。アメリカとの戦争に負けたときも役所や新聞社がありとあらゆる資料を焼き捨てた。これがいまの公文書の廃棄につながっているのではないかと思う。アメリカの公文書館は3,000人が公文書の管理のために専従し、そのトップはアメリカ大統領が直接任命する。日本が公文書の大切さを考えるのなら、アメリカを見習って権限のある公文書館をつくるべきである。

*「駅長さん登場!」*

北海道弟子屈町の「道の駅 摩周温泉」秋山一夫課長

「てしかがの魅力を伝え、人々が集うふれあいの里」をコンセプトに、交流ゾーンと物販ゾーン、24時間対応トイレを備えた総合的な施設で、弟子屈町の自然や観光など、地域情報を発信する道の駅です。

Q.そちら弟子屈(てしかが)町の場所を教えてください。

秋山 弟子屈町は、東・北海道のほぼ真ん中に位置し、釧路、網走、北見、帯広などへも便利で、交通の要衝として栄えたところです。阿寒摩周国立公園の半分以上が弟子屈町の区域内にあり、摩周湖、屈斜路湖、硫黄山などの見所も多い地域です。

Q.温泉の熱を利用した美味しいものがあるとか?

秋山 温泉熱で栽培したイチゴ、マンゴーを販売し、それらを使ったスイーツも人気です。その他、温泉の熱を使った環境に優しい暖房、温泉のポンプを利用して発電も行い、館外のイルミネーションの電源に活用しています。太陽光発電も導入しています。

Q.平成30年度の「重点道の駅」に指定されたとか?

秋山 この地域は積雪量は少ないんですが、風が強いとき、吹き溜まりで車が立ち往生してしまうことがあります。道路の除雪は危険が伴うので、道の駅を避難所として活用していただだいています。また観光客が多い地域なので、周辺の道路情報とか観光情報も道の駅に一元化して提供しています。

道の駅『摩周温泉』
所在地:川上郡弟子屈町湯の島3丁目5番5
電話:015-482-2500
営業:【5月~10月 午前8時から午後6時】【11月~4月 午前9時から午後5時】
http://www.masyuko.or.jp/michinoeki/

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パーソナリティ
  • 大石久和(おおいし ひさかず )
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    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。