道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

2020.02.02

第14回のテーマは「間違いだらけの財政説明」

番組アシスタントの新保友映です!

前回に続いて、今回も経済のお話です。「日本の借金は本当に1,000兆円あるのか」「公共事業費は社会保障費を圧迫しているのか」、このあたりのことを大石さんに伺ってみました。

新保 「借金1,000兆円」とよく耳にしますが、この言い方は正しくないんですか?

「今年の予算要求の見込みでいうと、国債と借入金を合わせると1,250兆円ですから、『1,000兆円の借金』という表現は正しくないとしても、国債や借入金があることは間違いないんです。ただその中身を見ると借金とは決して言えないし、きちっと説明もされていません」(大石)

新保 その中身を見ると、どういうことがわかりますか?

「建設国債(約277兆円)は、このお金でトンネルを造ったり、道路を造ったり、橋をかけたり、堤防、ダム、港、空港を造ってきたお金ですから、この分、政府は債務を背負っていますが、それに見合う財産が国土の上に、子や孫に使える形で残っています。それをそのまま借金と言っていいのでしょうか」(大石)

新保 「国債は子や孫へのツケ回し」という声もありますが・・・

「子や孫に迷惑をかけていいのか、とか、国債は後世へのツケ回しだ、とか、この言い方も間違いです。家計の借金は本人か、その子や孫が返済しなければならないのでツケ回しになります。しかし、国の場合は、将来の国債の償還金は、将来世代の国民に戻ってくるので、国債は将来の世代へのツケ回しではないです。財政と家計を同一視するから、こういった間違いが起こるんです」(大石)

新保 「公共事業費が増えると社会保障費が減ってしまう」、これも間違い?

「大きな間違いです。国の財布は二つの財布からできています。1つは税収、もう1つは国債です。道路や橋などの公共施設は建設国債でまかなわれています。ですから消費税のお金が公共事業費に回ることはありません」(大石)

新保 気になる消費税増税はどう思われますか?

「所得の少ない方は、収入のほとんどを消費に回さないとならない。消費税に頼る社会は、所得の少ない人にとても厳しい税です。消費税で400兆円も国民からいただいておきながら、300兆円の法人税減税をしている。これは企業が国際的な競争力を持つためとか、設備投資をするためとか、そういった名目で減税していますが、企業は設備投資したのか、社員の賃金を増やしたのか、実際は、労働分配率は日本が世界最低なんです」(大石)

新保 今週も「コラム」はお休みして、大石さんが「財政説明の大きな間違い」や「消費税の問題点」など、熱く語っています。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

*「駅長さん登場!」*

福島県磐梯町の「道の駅ばんだい」斎藤治仁駅長

「道の駅ばんだい」は、磐越自動車道「磐梯河東IC」から車で約5分! ドライブの休憩や観光の拠点として人気の道の駅です。お土産コーナーやレストラン、ペットをお連れのお客様にはドッグランの利用が可能です。また地元で採れた、新鮮な野菜や果物・米などを販売しています。

Q.「道の駅ばんだい」の特長を教えてください。

斎藤 福島県会津地方の会津磐梯山の麓にある道の駅で、10年前、県道沿いに造られた、福島県では20番目の道の駅です。会津若松、ラーメンの喜多方、野口英夫で有名な猪苗代町、五色沼で有名な北塩原村、そこに囲まれた磐梯町の道の駅です。

Q.道の駅のネットワーク化を進めたそうですね。

斎藤 2010年12月、会津地方に道の駅が10駅あって、その駅長さんと情報交換やイベントを一緒にやっていこうと、駅長会のネットワークをつくりました。今は15駅になって、3ヶ月に一度の定例会を開いています。

Q.東日本大震災の時にも、そのネットワークは機能しましたか?

斎藤 大震災が起きて、浜通りの道の駅の被害があまりに大きかったので、そこの炊き出しをしたのが、「会津道の駅交流会」としての最初の事業となりました。それが駅長さんを1つにまとめたきっかけになりました。募金活動はもちろんですが、被害にあった地域や道の駅に、いちはやく物資を届ける、そんな活動をできるだけ迅速にできるようにと駅長同士が集まって話し合っています。

「道の駅ばんだい」
所在地:福島県耶麻郡磐梯町大字磐梯字十王堂38番地
TEL:0242-74-1091
営業時間:8:30~18:30(2019.12.1~)〔コーナーにより異なります〕
http://www.michinoekibandai.com/

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パーソナリティ
  • 大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )

    大石久和(おおいし ひさかず )

    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。