道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

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2020.01.26

第13回のテーマは「“日本の借金”という説明はウソ!?」

番組アシスタントの新保友映です!

一児の母として、この国の将来が心配だな、と思うのは「日本の借金」です。子や孫の代まで借金を背負わせたくありませんよね。今回はこのあたりのお話を大石さんに伺ってみました。

新保 大石さん、現在、「日本の借金」はどのくらいあるのでしょうか?

「日本の借金という言い方は、家計の考えになぞらえ過ぎた言い方で、適当な表現ではありません。日本の借金というと、よその国からお金を借りているように聞こえますが、日本は世界最大の債権国で、一番お金を貸している国です」(大石)

新保 では日本に借金はない?

「日本政府が民間からお金を借りているので、借金というよりも『政府の債務』と言った方が正しいですね。日本政府が『債務』があるということは、誰かが同じ分の『債権』を持っています。もっとわかりやすく言えば、〝政府の赤字は、民間の黒字〟です。これを家計で説明するのは不可能であり、間違いなんです」(大石)

新保 「赤字」というと、悪いイメージがありますが…

「政府の赤字がなくなると、民間の黒字をなくすことになります。政府の赤字ということは、税収以上に、国民にサービスを返しているということなんです。そのことがけしからんことだという風潮になっているというところに、問題のねじれが生まれています」(大石)

新保 では、なぜ国民に「日本には借金がある」と思わせているんですか?

「日本に借金があるように思わせることで、国民は(これは大変だ、どうにかしなければいけない、消費税が上げられてもしかたない)となります。このようなキャンペーンがずっと仕組まれていたと、私は思います」(大石)

新保 え! ちょっと納得いきませんね!

「以前、トランプ大統領の一般教書演説の話をしました。その中で、『安全で信頼性が高く、近代的なインフラが必要で、国民はそれを享受する権利がある』と言いました。世界中の政治家は、これに近いことを言っています。ところが日本の政治家からだけ、こういう発言が出たことがないんです」

新保 日本と欧米の政治家は、相当考え方が違うんですか?

「例として、ドイツのメルケル首相は、2013年、連立政権を組んだ時、三党合意文書の中で、『交通分野の基本姿勢』という項目を入れていました。<モビリティ(移動手段)は、個人の自由、社会参加、および、豊かさと経済成長のための重要な前提となるものである>。つまりモビリティは民主主義と経済成長の基本で、そのために必要なのは質の高い交通インフラである、と言っています。それは欧州、およびグローバル社会におけるドイツの競争力を保障するものとなる。ドイツはこういう認識でさらなる成長を目指しています」

新保 日本は、どうして、そういう議論にならないのでしょうか?

「日本の場合は、インフラに暮らしを委ねてきたという歴史がないんです。ヨーロッパ人は、〝都市城壁〟で市民の命が守られてきました。つまり(インフラがなければ人々の暮らしは成り立たない)というインフラ概念を身につけています。日本人は、そういう考えが不十分であることから、政治家からもインフラの重要性について発言が出ない。財政再建至上主義が始まって以降、我が国のインフラは、世界各国から大きく遅れをとっているのが実情なのです」

新保 今週は「コラム」をお休みして、この後も、大石さんのお話、まだまだ続きます。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

*「駅長さん登場!」*

愛知県田原市の「道の駅 田原めっくんはうす」長神利行駅長

「道の駅 めっくんはうす」は、花の芽、野菜の芽、文化の芽、産業の芽などの芽を発展させる「家(はうす)」としてこの名前がつけられました。「めっくん」というキャラクターがいます。

Q.「道の駅 田原めっくんはうす」の特長を教えてください。

長神 平成5年に、愛知県第1号の道の駅として開業しました。渥美半島の観光と産業の情報ステーションの役割を担う道の駅です。

Q.田原市は日本一が多いそうですね。

長神 平成26年から29年まで、4年間連続で市町村別農業産出額が全国日本一となっています。田原市には3つの道の駅があり、それぞれが特長を持った道の駅になっています。「道の駅 めっくんはうす」は〝野菜の道の駅〟、「あかばねロコステーション」は〝花の道の駅〟になっています。

Q.リニューアルをしたそうですね。どんなことが新しくなりましたか?

長神 2年前にリニューアルをして、地域資源を存分に使った地域参加型の施設を目指し、「地域の皆さまが主役です」をスローガンにしました。今回の目玉は、市民の意見から生まれた加工施設「めっくんもぐもぐ工房」です。一次産業で生み出された農畜産物をこちらで加工し、「めっくんはうす」で販売します。中でも「伊良湖黒牛。カレー」やパスタソース「春風のあさリアン」は大人気になっています。

Q.昭和40年代の初め頃、「豊川用水」が通りましたね。このインフラの効用はいかがですか?

長神 豊川用水の効用は大きいですよ。生産者さんに伺ったら、「畑の蛇口をひねるとすぐに水が出る。こんな畑はない」と言っています。田原市が野菜や花で日本一になったのは、インフラのおかげだと思います。

「道の駅 田原めっくんはうす」
所在地:田原市東赤石5丁目74番地
TEL:0531-23-2525
営業時間:
お土産コーナー 9:00~19:00(年中無休)
1階食事処 11:00~20:00
2階レストラン 平日11:00~15:00 土日祝10:00~17:00
https://tahara-michinoeki.com

 

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  • 大石久和(おおいし ひさかず )
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    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。