番組アシスタントの新保友映です!
一児の母として、この国の将来が心配だな、と思うのは「日本の借金」です。子や孫の代まで借金を背負わせたくありませんよね。今回はこのあたりのお話を大石さんに伺ってみました。
新保 大石さん、現在、「日本の借金」はどのくらいあるのでしょうか?
「日本の借金という言い方は、家計の考えになぞらえ過ぎた言い方で、適当な表現ではありません。日本の借金というと、よその国からお金を借りているように聞こえますが、日本は世界最大の債権国で、一番お金を貸している国です」(大石)
新保 では日本に借金はない?
「日本政府が民間からお金を借りているので、借金というよりも『政府の債務』と言った方が正しいですね。日本政府が『債務』があるということは、誰かが同じ分の『債権』を持っています。もっとわかりやすく言えば、〝政府の赤字は、民間の黒字〟です。これを家計で説明するのは不可能であり、間違いなんです」(大石)
新保 「赤字」というと、悪いイメージがありますが…
「政府の赤字がなくなると、民間の黒字をなくすことになります。政府の赤字ということは、税収以上に、国民にサービスを返しているということなんです。そのことがけしからんことだという風潮になっているというところに、問題のねじれが生まれています」(大石)
新保 では、なぜ国民に「日本には借金がある」と思わせているんですか?
「日本に借金があるように思わせることで、国民は(これは大変だ、どうにかしなければいけない、消費税が上げられてもしかたない)となります。このようなキャンペーンがずっと仕組まれていたと、私は思います」(大石)
新保 え! ちょっと納得いきませんね!
「以前、トランプ大統領の一般教書演説の話をしました。その中で、『安全で信頼性が高く、近代的なインフラが必要で、国民はそれを享受する権利がある』と言いました。世界中の政治家は、これに近いことを言っています。ところが日本の政治家からだけ、こういう発言が出たことがないんです」
新保 日本と欧米の政治家は、相当考え方が違うんですか?
「例として、ドイツのメルケル首相は、2013年、連立政権を組んだ時、三党合意文書の中で、『交通分野の基本姿勢』という項目を入れていました。<モビリティ(移動手段)は、個人の自由、社会参加、および、豊かさと経済成長のための重要な前提となるものである>。つまりモビリティは民主主義と経済成長の基本で、そのために必要なのは質の高い交通インフラである、と言っています。それは欧州、およびグローバル社会におけるドイツの競争力を保障するものとなる。ドイツはこういう認識でさらなる成長を目指しています」
新保 日本は、どうして、そういう議論にならないのでしょうか?
「日本の場合は、インフラに暮らしを委ねてきたという歴史がないんです。ヨーロッパ人は、〝都市城壁〟で市民の命が守られてきました。つまり(インフラがなければ人々の暮らしは成り立たない)というインフラ概念を身につけています。日本人は、そういう考えが不十分であることから、政治家からもインフラの重要性について発言が出ない。財政再建至上主義が始まって以降、我が国のインフラは、世界各国から大きく遅れをとっているのが実情なのです」
新保 今週は「コラム」をお休みして、この後も、大石さんのお話、まだまだ続きます。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!
*「駅長さん登場!」*
愛知県田原市の「道の駅 田原めっくんはうす」長神利行駅長
「道の駅 めっくんはうす」は、花の芽、野菜の芽、文化の芽、産業の芽などの芽を発展させる「家(はうす)」としてこの名前がつけられました。「めっくん」というキャラクターがいます。
Q.「道の駅 田原めっくんはうす」の特長を教えてください。
長神 平成5年に、愛知県第1号の道の駅として開業しました。渥美半島の観光と産業の情報ステーションの役割を担う道の駅です。
Q.田原市は日本一が多いそうですね。
長神 平成26年から29年まで、4年間連続で市町村別農業産出額が全国日本一となっています。田原市には3つの道の駅があり、それぞれが特長を持った道の駅になっています。「道の駅 めっくんはうす」は〝野菜の道の駅〟、「あかばねロコステーション」は〝花の道の駅〟になっています。
Q.リニューアルをしたそうですね。どんなことが新しくなりましたか?
長神 2年前にリニューアルをして、地域資源を存分に使った地域参加型の施設を目指し、「地域の皆さまが主役です」をスローガンにしました。今回の目玉は、市民の意見から生まれた加工施設「めっくんもぐもぐ工房」です。一次産業で生み出された農畜産物をこちらで加工し、「めっくんはうす」で販売します。中でも「伊良湖黒牛。カレー」やパスタソース「春風のあさリアン」は大人気になっています。
Q.昭和40年代の初め頃、「豊川用水」が通りましたね。このインフラの効用はいかがですか?
長神 豊川用水の効用は大きいですよ。生産者さんに伺ったら、「畑の蛇口をひねるとすぐに水が出る。こんな畑はない」と言っています。田原市が野菜や花で日本一になったのは、インフラのおかげだと思います。
「道の駅 田原めっくんはうす」
所在地:田原市東赤石5丁目74番地
TEL:0531-23-2525
営業時間:
お土産コーナー 9:00~19:00(年中無休)
1階食事処 11:00~20:00
2階レストラン 平日11:00~15:00 土日祝10:00~17:00
https://tahara-michinoeki.com
2021.03.22
第65回のテーマは「驚きが始まりだ」と「われわれは何処に立っているのか」
番組アシスタントの新保友映です! 突然のお知らせですが、2019年10月6日からお送りして来ました「ラジオ国土学入門」。実は今回が最後の授業となりました。第65回目の講...
2021.03.15
第64回のテーマは「経済成長とインフラ」
番組アシスタントの新保友映です! きょうは「経済成長とインフラ」についてのお話です。 新保 これは、大石さんのいつも主張されてきたテーマですね! 「『経済成長』と『...
2021.03.08
第63回のテーマは「価値観を共有できない日本人」
番組アシスタントの新保友映です! きょうは「価値観を共有できない日本人」についてのお話です。 新保 日本は世界から遅れているという話が多いのですが、価値観も? 「近...
2021.03.01
第62回のテーマは「電力崩壊の危機」
番組アシスタントの新保友映です! きょうは「電力崩壊の危機」についてのお話です。 新保 大陽光発電などの普及で、日本の電力は余っているのでは? 「いえ、今の日本は、...
2021.02.22
第61回のテーマは「リアリズムを失ってしまう日本人」
番組アシスタントの新保友映です! いよいよ2月24日に大石さんの新刊『「国土学」が解き明かす日本の再興 ― 紛争死史観と災害死史観の視点から』(海竜社)が発売されます。...