道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

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2020.01.19

第12回のテーマは「先進各国に大きく遅れをとるインフラ環境」

番組アシスタントの新保友映です!

受験シーズンですが、風邪が流行っていますから、受験生のいらっしゃるご家庭は、ビリビリする季節ですよね。
雪が降ったりすると、特に都心は交通網が大混乱しますよね。こういうこともインフラ整備が遅れているということなのでしょうか。そのあたりを大石さんに聞いてみました。

新保 大石さん、きょうは日本が先進各国に比べてインフラ環境が大きく遅れているというお話だそうですが、そんなに遅れているんですか?

「昔に比べると、鉄道も道路も橋も、河川・ダムも整備されたと思う方が多いかもしれません。しかし、『昔と比べて良くなった』という判断基準では充分ではありません。交通インフラでいうと、我が国が競争している相手国、たとえば、ドイツ・フランス・中国と比べて、整備が進んでいるかどうかを比べないといけない。交通インフラは、我が国の経済競争力の根源なので、他国と比較してこそ、充分なのかどうか、判断できるものです」(大石)

新保 防災インフラの整備は進めてほしいですね。

「昨年は台風15号19号で大変な被害が出ましたが、この台風で140カ所の堤防が破堤しました。年々台風が強力になってきているのに、それを迎え討つだけの整備が進んでいません。我が国のインフラは、先進各国と比べて劣位にあると言っていいと思います」(大石)

新保 なぜ、日本のインフラ整備は、先進各国に比べて遅れているのでしょうか?

「この20数年間に渡って、インフラ整備の事業費を対前年比でマイナスにしてきたのは世界で日本ぐらいしかありません。たとえば、高速道路の35%以上が暫定2車線で、正面衝突の危険を抱え、時速70キロでしか走れません。これを高速道路だと言っている国は、先進国、発展途上国を含めて日本しかありません。ドイツの高速道路(アウトバーン)と比べると、日本は大変な遅れをとっています。道路を使って日本の企業は他社とも他国とも競争をしています。この環境を整備するのは政府の役割ですから、政府は充分な役割を果たしていないと言っていい」(大石)

新保 大石さんが、日本の国土について、熱く語っています。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

*コラム「世界遺産・カルカソンヌを見ずして死ぬなかれ」*

フランスのピレネー山脈の北側にある『カルカソンヌ』という二重城壁の要塞都市をご存知だろうか。ここはフランスやスペインが地域を取り合ったことから城塞都市になっている。フランス人が訪れる観光地の中で「モンサンミッシェル」に次いで二番目という人気の観光地だ。紀元前3世紀ごろの古代ローマ帝国の時代から要塞として発達してきた。ここは地中海と大西洋を結ぶ交通の要衝で、昔から軍事的に極めて重要な場所だった。西暦800年頃、フランスのカール大帝の軍勢が取り囲んだ。5年に及ぶ籠城戦に耐え抜き、カール大帝の軍は退却した。この城を守り抜いたカルカスという王妃が勝利を喜び、鐘を鳴らした。それでカルカソンヌ(カルカスが鐘を鳴らす)と呼ばれている。5年間もどうして耐え抜いたのか。それは街の中に住んでいる人々が私益を越えて公益に準ずるという気持ちを持っていたからだ。それが市民(シチズン)の形成となった。フランスには「カルカソンヌを見ずして死ぬなかれ」という諺があるので、ぜひ機会があれば訪れて欲しい場所だ。

*「駅長さん登場!」*

岩手県遠野市の「道の駅 遠野 風の丘」佐々木教彦さん(前駅長、営業販売部長)

国道283号線沿いにある大きな風車が目印の道の駅で、道路情報、観光などの案内、お食事、休憩、喫茶コーナー、おみやげ、農産物の販売などいろいろなサービスを行っております。

Q.「道の駅 遠野 風の丘」の特長を教えてください。

佐々木 岩手県のおへそのあたりに位置し、沿岸と内陸のどちらからも1時間の中心地にあります。当駅は小高い丘にあり、風の通り道があって、公募で『風の丘』になりました。名物はジンギスカンで本州で一番の消費量です。ぜひ美味しいジンギスカンを食べに来てください。

Q.遠野というと、東日本大震災のとき、そちらの道の駅は後方支援基地になりましたね。

佐々木 あの時は停電になって水道が断水し、一時トイレが使えなくなりました。それでもポリバケツで水を汲んでトイレを自由に使ってもらうように開放しました。広い駐車場で休んでもらい、避難者の名前を大きな紙に書いて、ここに避難していることがわかるよう掲示しました。

Q.そちらには風車が建っているそうですね!

佐々木 モニュメントの風車が建っていたんですが、二代目の風車は、スパイラルマグナス風車といって、ネジネジの形をした五本羽根の風車で、発電もできて、当駅のシンボルになっています。

「道の駅 遠野 風の丘」
所在地:岩手県遠野市綾織町新里8-2-1
TEL:0198-62-0888
営業時間 8時~19時(冬季は8時30分~17時30分)
▼レストラン 11時~16時30分 17時30分~20時
▼インフォメーション  午前8時~午後5時
アクセス 盛岡南ICからR396で70分
遠野ICから3分
遠野駅から車で約10分
http://kazenooka.tonofurusato.jp/facility/index.html

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  • 大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )
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    大石久和(おおいし ひさかず )

    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。