道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

2020.01.05

第10回のテーマは「“人為観”と“天為観”」

番組アシスタントの新保友映です!

2020年最初の放送は、前回に続いて「ヨーロッパ人と日本人の違いについて」のお話です。

新保 ヨーロッパ人と日本人、そんなに違いがあるんですか?

「ヨーロッパ人は人間が特別な存在という考えを持っています。旧約聖書には、神は自らに似せて万物を支配するために人をつくったと書いてあります。不潔な街だったパリを大改造したのがナポレオン3世で、当時の権力者によって美しいパリの街が造られました。日本は地震と津波で街が破壊され、そこから新しい街づくりになる。その違いがあります。」(大石)

新保 宗教の違いもありますか?

「仏教に、『山川草木国土悉皆成仏』(さんせんそうもくこくどしっかいじょうぶつ)という言葉があります。これは、山も川も草も木も国土も、みんな仏の気持ちを持っていて、やがてすべては仏になる、という考えです。人間だけが特別な存在ではなく、すべて平等だと言っています。素晴らしい考えだと私は思います」(大石)

新保 ヨーロッパ人と日本人、どっちの考えがいいのでしょうか?

「第二次世界大戦後、ヨーロッパでは破壊された街が昔のままの姿で復興されました。つまり、変わらないことを尊ぶ、大事にする、そういった文化があります。一方、日本はまったく新しい街並みに変わってしまいます。このことに『日本人はダメな民族だ』という学者もいますが、どっちが正しく、どっちがダメという考えはなく、ここにこそ国土学で考えるべきだと思います。それぞれが暮らす国土によって、考え方や文化が違ってきたということを理解して欲しいのですね」(大石)

新保 大石さんが、日本の国土について、熱く語っています。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

*コラム『日本人は新製品が大好き!?』*

伊勢神宮は20年に一度建て替えられる式年遷宮が行われる。これは大工さんの技術を次の世代に残すため、とも言われているが、私は「そのために建て替えられるだろうか」と疑問を持っている。新しくなることによって伊勢神宮は新たな力を得ると思うのだ。つまり、神威(神の権威)が増す、と考えたのではないか。地震や台風で建物が壊れ、橋が流され、新しく変わっていく。変わることで力が得られるということを我々は身につけたのではないか。日本人は変わることを喜ぶ国民だ。テレビCMもほとんどが新製品ばかりだ。新発売がこんなに多い国は他にないと思う。また日本人は四季の移り変わりをとても喜ぶ。新年の風習も大事にしてきた。これからも日本人である限り、そういったものを大事にし、忘れないでおきたいと思う。

*「駅長さん登場!」*

熊本県阿蘇郡小国町の「道の駅 小国」高橋正之助駅長

道の駅小国は、国道387号・442号沿いの緑豊かな場所にあります。日本初の木造立体トラス工法で作られたユニークな外観の建物で小国町の情報発信スポットになっている道の駅です。

Q.「道の駅 小国」は、どんな道の駅か、ご紹介ください。

高橋 もともと国鉄の駅の跡地に「ゆうステーション」という名前の地域の情報発信センターとしてスタートしました。平成5年、道の駅に登録されて、小国町の特産品を取り揃えた販売所や休憩所、ギャラリーなどを設置、イベント・温泉・観光のレジャー情報のほか、小国町のさまざまな情報をご提供しています。

Q.阿蘇郡にある道の駅ですが、熊本地震の時は、いかがでしたか?

高橋 熊本地震は前震と本震があって、前震の時はタバコが1個落ちているだけでした。未明の本震は陳列していた商品のほとんど下に落ちていましたが、建物の被害はそれほどありませんでした。

Q.どんな対策を?

高橋 駐車場を24時間開放して、日本各地から物資を持ってくる自衛隊の中継所になりました。地震から1ヶ月が経つと、家が壊れて帰宅できない被災者の方々が、道の駅の駐車場で車中泊されていたので、その支援に当たりました。

道の駅 小国
所在地:熊本県阿蘇郡小国町宮原1754-17
電話:0967-46-4111
営業時間:8時30分~18時00分
休館日:年中無休
http://www.qsr.mlit.go.jp/n-michi/michi_no_eki/kobetu/oguni/oguni.html

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パーソナリティ
  • 大石久和(おおいし ひさかず )
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    大石久和(おおいし ひさかず )

    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。