番組アシスタントの新保友映です!
年末年始に海外旅行をされる方もいらっしゃるかと思いますが、2019年を締めくくる大石さんのお話は、「日本人とヨーロッパ人の大いなる歴史観の違い」です。
新保 日本とヨーロッパの歴史観って、そんなに違いがあるのでしょうか?
「ヨーロッパはほとんど地震がなく、破壊的な洪水もそれほどありません。その結果、古い建物が残り、残ることを大事にするという考えをヨーロッパ人は持つようになりました。建物が石造りなのも大きな関係があり、街並みがそれほど変わりません。ヨーロッパの国々は積み重なる歴史観を持つようになりました。
ナポレオン3世は、それまでとても不潔だったパリを大改造して、街の中の道路を幅広くし、直線に整備しました。凱旋門を代表するように放射状にまっすぐな道路が伸びています。大改造されたパリの姿は今日のパリの姿です。このように地震も大洪水、台風も来ないヨーロッパでは、人が何かしなければ何も変わらないのです」(大石)
新保 それに対して日本人の歴史観は?
「一方日本は流れる歴史観を持つ国です。江戸の街並みは関東大震災がほとんど消してしまいました。その後、空襲を受け、過去の姿が残っていません。我々の歴史観は流れ去るものなんです。鴨長明は方丈記で、『ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず』と書いています。まさに流れ去る歴史観です。世界の中でこの感覚を持っているのは日本人だけ。これも国土の違いが生んだ歴史観の違いで、まさに国土学に通じます。どちらが優れているのではなく、違いがあるだけのことで、その違いを理解しておくことが、とても大事です」(大石)
新保 大石さんが、日本の国土について、熱く語っています。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!
*コラム「ゴッホの絵は誰のものか?」*
都市城壁で暮らしたヨーロッパ人は、その中で暮らす「権利」を得るために「義務」を果たさなければならなかった。わがままは許されず、みんなのための「公」が優先された。いざというときはみんなで都市を守る、それが「市民(シチズン)」だった。都市に限らず、文化財においてもヨーロッパ人は「公」を重んじる。例えば、ゴッホの絵は誰のものか。バブル時代、ある日本人が世界的遺産のゴッホの絵を手に入れたとき、「自分が死んだらこの絵と一緒に焼いてくれ」と発言をしたことがあった。それに対してヨーロッパから大変な非難を受けた。ゴッホの絵は個人の自由であってはならないのだ。その絵を良好に管理して、それを次の世代に引き継ぐという権利を得ただけなのだ。
*「駅長さん登場!」*
広島県三原市の「道の駅 よがんす白竜」小松三紀駅長
白竜湖のほとりに佇む洋風建築の道の駅で、産直市場ではレンコンをはじめ、地元の新鮮野菜や果物、ジビエの他、特産品のはと麦製品やオリジナルブランド商品を販売しています。レストランでは地元と本場の食材にこだわった「石窯焼きピッツァ」や「はとむぎソフトクリーム」が人気です。
Q.西日本豪雨の際、三原市は大きな被害が出たのでは?
小松 三原市では市内を流れる沼田川が氾濫し、被害家屋は約2,500軒にのぼりました。また土砂崩れによる家屋、道路、田畑への被害が非常に大きく、現在も復旧活動が進められていますが、未だに手付かずの場所も多くあります。広い地域で断水や停電が発生しまして、電柱の倒壊、ケーブルテレビの回線が切断された影響からインターネットやテレビと全く接続できない状況が続きました。
Q.そちらの道の駅では、どんなことを?
小松 災害直後はいろんな情報が錯綜して被害や道路状況も不確かな情報がいっぱい出ていました。当駅では道の駅の基本機能である情報発信に取り組みました。周辺の道路状況の収集は、市の担当者と連絡をとって得た情報や、市内を車で走り自分の目で見た間違いのない情報を、SNSなどを使い、利用者への対応に努めました。
Q.これから、どのような道の駅にしたいですか?
小松 私達が目指しているのは「見たことない道の駅」ということで、驚き・喜び・くつろぎから感動を提供する、これをコンセプトに、また今回の災害の対応も含めて、お客様に何ができるか、一つ一つ丁寧に考えながら、立ち寄っていただけるだけではなく目的地となる道の駅にしたいと考えています。
道の駅 よがんす白竜
所在地:広島県三原市大和町和木652-3
TEL:0847-35-3022
営業時間:9:00〜17:00(平日) 9:00〜18:00(土日祝日)
定休日:毎月第3木曜日、12月31日~1月3日
https://www.facebook.com/4GANSU
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