道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

2019.12.22

第8回のテーマは「都市城壁とインフラ」

番組アシスタントの新保友映です!

年末年始、海外旅行をされる方もいらっしゃると思いますが、大石さんのお話は「花の都・パリ」から始まりました。

新保 今回のテーマは「都市城壁」だそうですね。

「フランスの首都・パリの歴史は、セーヌ川の川中島になっているシテ島から始まっていて、シテという言葉は〝都市〟という意味があります。そのシテ島のまわりを城壁で囲んで住み始めたのがパリの始まりです。その後、パリが大きくなるにつれ、何度も城壁も広げながら、いまのパリが出来上がっていきました。最終的には1840年頃、総延長34キロの大城壁を造ったんですよ」(大石)

新保 その城壁は、今も残っているんですか?

「第一次世界大戦で飛行機が登場し、空から爆撃される時代になって城壁の意味がなくなり、その後、取り除かれました。その城壁の跡は、片側4車線の大環状道路になっています」(大石)

新保 パリ市民は、なぜ城壁が必要だったのでしょうか?

「フランスにはフランス大平原といわれる広大な平野が延々と続いていて、その中にポツンとパリがあるわけです。そうなると異民族からの攻撃を何度も受けてきた経験から城壁を造り、その中にパリの人々が暮らしてきたわけです」(大石)

新保 都市城壁はパリが発祥なのでしょうか?

「ヨーロッパ文明の元になっているシュメール文明(チグリス・ユーフラテス河口部にできた文明)は、一つの都市が一つの国家という都市国家時代があって、いまから5,500年前の都市も城壁で囲まれていました。このように城壁によって命を守ってきた歴史があります。その城壁こそがインフラであって、人々の暮らしの安全を確保することができたわけです」(大石)

新保 日本の城下町は城壁都市ではないんですか?

「日本の街は城壁で囲むことはなく、その必要がありませんでした。歴史のある世界の都市と比べると、日本だけが唯一の例外です。これが残念ながら、私たちのインフラ観をゆがめているんです。世界の首脳たちは口を開けば国を良くするためにはインフラを充実しなければいけないと言っていますが、日本の政治家でインフラと口にする人はまずいません。2018年、トランプ大統領は、一般教書演説で、インフラの重要性について、『安全で信頼性が高く、近代的なインフラが必要で、アメリカ国民はそれを享受する権利がある、さらに1兆5000億ドル(160兆円)の予算を議会に求める』と言っています。一方、日本は、あれだけの災害が起きて、国土を強靭にしなければいけないと言っているのに、せいぜい10兆円ほどの話なんです。活力あるアメリカを維持し、成長するアメリカを残すためにはそのようなインフラが必要だという国と比べると、大変な違いがあると思います」(大石)

新保 大石さんが、日本の国土について、熱く語っています。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

*コラム「日本の玄関ドアが外開きの理由とは?」*

日本人は、玄関ドアが外開きなのを当然のように思っている。しかし世界のほとんどの国のドアは内開きである。もし暴漢がドアをこじ開けて侵入してきた場合、内開きと外開きでは、断然内開きの方が防御しやすい。内側に家具を置いたり、家族全員で押し返せば暴漢の侵入を防げる。しかし外開きはドアノブを必死に引っ張るしかないので暴漢に侵入されやすい。海外でドアが内開きなのは、都市城壁を必要とした民族で外敵の襲来に対して備えてきた歴史があるからだ。それに対して日本人は玄関を広く使える便利さを優先するとともに、それだけ外敵から攻め込まれた歴史がないということが分かる。ドアの開け方からも安全保障が見えてくる。

*「駅長さん登場!」*

千葉県長生郡睦沢町の「道の駅 むつざわ つどいの郷」横山昌三駅長

農産物直売は、地元の美味しいお米や新鮮野菜、色とりどりのお花など、自慢の品々が並びます。イタリアンレストランは地元野菜を活かした石窯ピザやパスタ、スイーツが味わえます。天然温泉の温浴施設があり、露天風呂やサウナも楽しめます。

Q.今年、千葉は台風で大変な被害が出ましたが、そちらは?

横山 9月に当駅がプレオープンした直後、台風15号、続いて19号が来て、周辺地域に多くの被害が出ました。特に15号の時は、睦沢町一帯は停電になりまして、町内の皆さんは大変不便な思いをされました。

Q.そちらの道の駅は大丈夫でしたか?

横山 若干、建物に被害が出た程度でした。当駅は自家発電を備えた防災拠点としての施設になっていますので、すぐに自家発電で電気をつけることができました。この電気でシャワーの水を温めて、町民の皆様に向けにシャワールームの無料開放をしました。

道の駅 むつざわ つどいの郷
所在地:千葉県長生郡睦沢町森2番1
TEL:0475-36-7400
休業日:年末年始
駐車場:大型18台、普通車156台(うち身障者用3台)
営業時間:直売所9:00~18:00、レストラン11:00~21:00(LO20:30)、
温浴施設10:00~21:00
https://mutsuzawa-swt.jp

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パーソナリティ
  • 大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )
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    大石久和(おおいし ひさかず )

    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。