道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

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2019.12.01

第6回のテーマは「日本は可住地と水資源が少ない」

番組アシスタントの新保友映です!

みなさんは、日本の国土と、イギリスやドイツ、フランスの国土を比較したことはありますか。国土学の大石さんの話を聞けば聞くほど、意外な話が飛び出します。今回は「可住地と水資源」です。

新保 今回のテーマ、まずは「可住地」とは?

「我々が住む地域を『可住地』と言います。文字通り、人が住むことができる土地のことで、国土地理院的な言い方をすると、標高500m以下で、傾斜地ではない。これを可住地と言っています」(大石)

新保 日本は海外と比べると、この可住地の割合は?

「日本は、国土面積38万平方メートルのうち、どのくらいの割合で、可住地を持っているのかと言いますと、全体の27%程度です。イギリスの可住地が85%、ドイツで67%、フランスで73%というように、国土のほとんどが可住地です。日本は、いかに可住地が少ないか、分かっていただけると思います」(大石)

新保 日本はいろいろ工夫がないと、快適に暮らせないということですね。

「ヨーロッパは、フランス平原、ドイツ平原など、大平野を持っています。その広い平原に、彼らは高速道路を造り、新幹線を造ればいいわけです。トンネルを掘る必要もなく、川の数が少ないので橋をたくさんかける必要もないわけです。さらに地震がないので、構造物に耐震設計をする必要もないわけです。それを考えると、神様は、日本人に、なんという土地を我々に与えたんだと、恨み節の一つも言いたくなります」(大石)

新保 そんな国土でも日本人は乗り越えてきたんですね。

「その通り、この国土に住むからこそ、日本人は、勤勉性や感性、思考力を磨いてきたと思います。たとえば、新東名高速道路ですが、カーブや勾配を少なくさせるために、総延長の60%がトンネルか橋なんです。こうした努力によって、東京と大阪を高速で結ぶことができるんです。こういった国土を克服してこそ、私たちは、効率的な経済を手に入れることができるんです」(大石)

新保 もう一つのテーマ「日本は水資源が少ない」って本当ですか?

「河川が短く、降った雨はすぐに海へ流れ出てしまいます。ですから、我々はせっせと小さなダムや溜池を造り、約2,000カ所に水を貯めてきました。そこに溜められる水の量は、約300億トン。中国が三峡ダムを建設しましたが、これ1つで、300億トンを超えています。『水は余っている』『ダムは作らなくていい』『ダムはムダ』と言われてきましたが、こういう事情をもっと知ってほしいですね」(大石)

新保 大石さんが、日本の国土について、熱く語っています。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

*コラム「国語辞典で「土木」を引くと?」*

国語辞典で「土木」を引くと、ほとんどが「建設工事」のことしか書いていません。土木は一体なんのためにあるのかを書くべきだと思って、辞典を出す出版社の方に、「国語辞典の『土木』の記述をどうにかならないものでしょうか」と話し続けてきました。すると三省堂の方が対応していただき、大辞林の第4版で「土木」の項目が画期的に変わりました。
どぼく【土木】道路・橋梁・鉄道・港湾・堤防・河川・上下水道など、あらゆる産業・経済・社会等人間生活の基盤となるインフラを造り、維持、整備してゆく活動
<人間生活の基盤となるインフラを造り、維持、整備してゆく活動>という説明が入ったことが、画期的であり、我々の仕事が理解されて、とても嬉しいですね。

*「駅長さん登場!」*

栃木県茂木町の「道の駅 もてぎ」古口達也駅長(茂木町長)

四季折々の花を楽しめる十石河川公園やSLの形の遊具で遊べるSL公園など、ゆっくりとリラックスできます。また、土日祝日には施設のすぐそばを走るSL(真岡鉄道)を観ることができます。通過時刻は12時と14時30分です。

Q.名物グルメがあるそうですね?

古口 当駅には自慢は3つあります。1つは「ゆず塩ら〜めん」。このラーメンは、道-1グランプリで三連覇を達成し、殿堂入りしました。2つ目は完熟いちごを使ったジェラート「おとめミルク」。3つ目は、地元産の米粉と卵を使ったしっとりふわふわな食感が好評の「米粉バウムクーヘン」です。

Q.台風19号で被害が出たそうですね

古口 那珂川が大氾濫し、大きな被害が出ました。当駅には「防災館」があり、防災拠点として第二の役場の役割を果たしています。災害の時、24時間体制で住民を受け入れています。道の駅の役割は、休憩や物を売るだけの場所ではなく、いまや防災拠点になっています。

道の駅 もてぎ
所在地: 栃木県芳賀郡茂木町大字茂木1090-1
電話:0285-63-5671
営業時間:9:00~19:00(施設によって異なる)(10月〜3月は18:00まで)
休館日:第1・3火曜日(十石屋・おみやげ けやき(欅)は営業)、8月は無休
駐車場:340台(大型観光バス駐車可)
http://www.motegiplaza.com

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パーソナリティ
  • 大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )
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    大石久和(おおいし ひさかず )

    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。