道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

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2019.11.24

第5回のテーマは「道は、美しく知る『美知』だった」

番組アシスタントの新保友映です!

パーソナリティの大石さんは数々の本、そしてエッセイを書かれています。その中の「国土学事始め」に素敵な文を見つけたので、一部抜粋してご紹介します。

日本初の歌集「万葉集」には「みち」と発音して道路を意味する歌が、154首も収められています。道は男女の出会いの場所でもあり、恋を語る場所でもありますから、多いのは不思議ではありません。使用頻度を見ると、第1位が「道」、2位が「路」、そして3位が「美知」となっています。なんと古代日本人は、道を「美しく知る」ためのものと理解していたと考えられるのです。峠の向こうから珍しい人や物がやってくる。おいしいものや美しいものがやってくる。自分も峠の先に出かけて、日頃経験できないことを経験する。彼らはそのツールとして道をとらえていたと考えられるのです。(国土学事始めより一部抜粋)

新保 万葉びとは「美知」という言葉をどうして生み出したのですか。

「私も万葉集で『美知』を見つけた時は大変な衝撃を受けました。道を通じて、いろんな情報が集まる。人と人とが出会える。珍しいものにも出会える。まさに道は、美しく知る『美知』だったんですね」(大石)

新保 「美知」という言葉が生まれた裏には、隣の町との距離がとても離れているともいえるのではないでしょうか。

「日本は弓状列島で東西に細長く、幅は300キロ弱で、特殊な国土を有しています。地域と地域が連携していくためには交通と通信が必要になっていくわけです。日本の場合は、国土の事情から、都市間の距離が長くなるんです。都市間の平均距離を日本とドイツで比べると、はるかに日本が長くなります。だからこの距離を克服しなければならないという事情が日本にはあったわけです」(大石)

新保 日本は海岸線がとても複雑に入り組んでいますね。

「日本の海岸総延長は3万キロです。この長さはなんとアメリカと同じなんです。あの大きな国に日本は負けていないんです。日本は豊かな海に囲まれた海洋国ですが、そこで暮らすことは地震と津波の災害から免れない。これもハンディキャップにもなっているわけです」(大石)

新保 こういった国土を持つ先進国は珍しいのでは?

「このハンディキャップを乗り越える努力をしたことで、日本人は勤勉性と克服力を育ててきたということは間違いがないですね。そういう国民であることに自信と誇りを持って欲しいですね」(大石)

新保 大石さんが、万葉集の話から始まって、日本の国土まで熱く語っています。詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

*コラム「ムダの塊にムダはなかった!?」*

東京湾アクアラインが建設に着手したころは「税金のムダだ」「木更津に行ってどうするんだ」といった批判の声が多かったですね。いまは圏央道の一部で、なくてはならない連絡道になっています。アメリカ、フランス、ドイツのような広大な平原の国とは違い、日本は橋やトンネルで、島と島を繋げなければなりません。1944年に関門トンネル、1988年に青函トンネルが開通し、その後、3ルートの本州四国連絡橋(連絡道路)が完成し、やっと1つの国土になりました。「ムダの塊」だと言われた公共工事も、完成すると批判の声は一切なくなっています。それは利用者が便利さ、必要性を実感しているからです。

*「駅長さん登場!」*

宮崎県延岡市の「道の駅 北川はゆま」 高木亨輔代表

道の駅北川はゆまは、宮崎県の北の玄関口となる延岡市北川町に位置し、東九州道北川I.Cからも国道10号線からもアクセスが可能です。「はゆま」とは、約1300年前の飛鳥時代に設けられた駅制度のなごりで駅場(早馬)の古い呼び名です。

Q.こちらの道の駅の自慢を教えてください。

高木 南九州の玄関口に位置し、東九州自動車道の北川インターチェンジを降りて0分の場所にありますので、サービスエリアのように休憩していただいています。また日向灘産のしらすがたっぷりのった『生しらす丼』がレストランの大人気メニューで、当駅の自慢です。

Q.そちらは水害が多い地域だとか?

高木 平成9年、台風19号で、町内を流れる北川が氾濫し、町が被災しました。その時、私どもの「道の駅」が避難場所になり、炊き出し、給水、広報活動など、大水害から町民の命を守りました。現在は、食料や物資の倉庫などの防災施設や広い駐車場を建設中です。さらに電気の確保のために風力発電の導入も検討中です。

道の駅 北川はゆま
所在地:宮崎県延岡市北川町長井5751-1
電話:0982-24-6006
営業時間:8:30~18:00(土日連休 8:30~19:00)
アクセス:東九州自動車道北川ICから0分
駐車場:37台(無料)
定休日:年中無休(土日・連休は19:30まで)
延岡観光協会「道の駅 北川はゆま」
道の駅公式ホームページ「道の駅 北川はゆま」

 

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パーソナリティ
  • 大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )

    大石久和(おおいし ひさかず )

    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。