道の駅プレゼンツ 大石久和のラジオ国土学入門

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2019.11.03

第3回のテーマは「今回の強風・大雨被害を振り返って」

番組アシスタントの新保友映です!

大石さんは、趣味が家庭菜園で、この時期、サトイモの収穫が間近だそうです。ところが、今回の台風で、マルチと呼ばれるビニールシートが吹き飛んで、秋冬用に植えた大根の芽が折れ、全滅してしまったとのこと。大石さん曰く「家庭菜園をやっていると、同じ春、同じ夏が来るわけではない。その年の気候に合わせて野菜を作る農業は知的産業だと思う」とおっしゃっていました。

新保 国土学から分析すると、関東平野はどんな平野ですか?

「6000年前は、海水面が3〜5mも高く、関東平野の上流まで海岸域でした。それが少しずつ海水が下がって、河川が押し流した土砂が平野を形成したことで、とても軟弱地盤なんです。河川も自由自在に流れていたのを、人々の暮らしに合わせて河川を動かしてきました。だから大雨が降った時は、人が決めたようには川は流れない。それが洪水となるんです」(大石)

新保 これからは大雨とともに、強風も被害が増えていくのでは?

「数年前にフィリピンを襲ったスーパー台風は、とんでもない強風でした。あのようなスーパー台風がいつか日本を襲うかもしれない。我々の家屋は、木造で、瓦屋根なので風に弱い。さらに山の木々は、間伐していないから、鉛筆のような木が多い。過去の人々が作ってきた国土を、我々は荒れ放題にしたままで、ちゃんと管理していない。あまりに無責任だと思いますね」(大石)

新保 「避難所」について、大石さんが苦言をおっしゃっています。 詳しくは、上記の「聴き逃しサービス」をクリックして、ぜひ、番組をお聞きください!

*コラム「インフラは過去からの贈り物」*

首都圏を守るために、いかに過去の人たちがインフラを作り上げてきたか。パルテノン神殿のような地下構造物がある「首都圏外郭放水路」は、中小河川を集めて、江戸川に放流するための施設で、今回の台風19号でフル稼働しました。「八ッ場ダム」も少しずつ水を貯めていく点検の途中でしたが、今回一挙に水を貯めることになり、7,500万トンを堰き止めて下流に流さなかった。「渡良瀬遊水地」を始め、利根川、荒川には遊水池群があって、今回の台風で2億5,000万トンの水を貯めました。ワールドカップラグビーで日本とスコットランドが対戦した日産スタジアムは、鶴見川の多目的川遊水池の施設の中にあって、あそこも十分に水を貯めてくれました。ただ全国的に同じように整備されたのかというと、多くに人が住んでいたところが優先でした。千曲川、阿武隈川流域の反省も必要で、きちっとしたインフラで守らなければいけません。「インフラは過去からの贈り物」なんです。だったら私たちは次の世代に安全な贈り物をしなければいけません。

*「駅長さん登場!」*

道の駅いたこ 吉川博美駅長

道の駅いたこは、水郷潮来で収穫される朝採れ野菜やお米などの農産物をはじめ、地元の食材を使った商品、お土産を数多く用意しています。売り場には生産者からの一言メッセージが表示され、また店頭では、料理方法や食べ方、保存方法などのアドバイスを聞くことができます。

Q.東日本大震災では、大きな被害があったとか?

駅長 ここは水郷地帯なので、液状化をはじめ、被害が大きかったです。液状化といえば、千葉県の浦安市が注目されましたが、被害を受けた住宅は、5,600棟で、市内のほぼ半分が被害に遭いました。すべて復旧するまで、昨年までかかりました。

Q.リニューアルしたそうですが、どんな機能を設けましたか?

駅長 道の駅には3つの役割(①休憩施設 ②情報交流機能 ③地域の連帯機能)がありますが、当駅は、さらに2つ、①防災機能としての役割、②親子や母子が安心してくつろげる空間づくりを目指しています。

道の駅いたこ
住所:茨城県潮来市前川1326-1
TEL:0299-67-1161
営業日:年中無休
営業時間:9:00~19:00
東関東自動車道潮来ICより800m
http://www.michinoeki-itako.jp
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パーソナリティ
  • 大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )
    大石久和(おおいし ひさかず )

    大石久和(おおいし ひさかず )

    1945年岡山県生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、70年に建設省(現国土交通省)に入省。道路局長などを歴任、道の駅の制度化などに尽力し、2004 年退官。その後、全日本建設技術協会会長、土木学会会長、日本道路協会会長等を歴任。また早稲田大学大学院(客員教授)、東京大学大学院(特任教授)、京都大学大学院(特命教授)としても教鞭を振う。専攻は国土学。 国土に働きかけるインフラ整備とその恩恵の体系、社会資本整備の哲学である「国土学」を提唱。著書に「『危機感のない日本』の危機」(海竜社)、「国土と日本人 災害大国の生き方」(中公新書)、「国土が日本人の謎を解く」(産経新聞出版)、「国土学 国民国家の現象学」(北樹出版)、「国土学事始め」(毎日新聞社刊)などがある。趣味は家庭菜園。

アシスタント
  • 新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)
    新保 友映(しんぼ ともえ)

    新保 友映(しんぼ ともえ)

    1980年山口県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、2003年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。プロ野球情報番組などを務め、野球の取材や知識が深い。女性アナウンサーでは35年ぶりとなる「オールナイトニッポン」のパーソナリティをはじめ、音楽番組「三宅裕司サンデーハッピーパラダイス」、バラエティ番組「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など数々のレギュラー番組に出演し、萩本欽一さんや志村けんさんの番組アシスタントも務める。また報道番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」では、ニュースや芸能情報も担当。2018年ニッポン放送退社。現在は、スポーツイベント、トークショーの司会、各種表彰式・授賞式、記者会見、試写会等の司会も務める他、ベースボール専門サイトFull-countでプロ野球のコラムも執筆している。