スズキ・ハッピーモーニング 羽田美智子のいってらっしゃい

2021.08.27

2021年8月23日(月)

どんぶりにご飯を入れて、その上に様々な具材をのせたもの

『丼物』についてです。

 

■今週(8/23~8/27)のテーマ:『丼物』

 

8/23(月)  『丼物の歴史』

 

丼物の歴史は室町時代の『芳飯(ほうはん)』と呼ばれる料理が

始まりといわれています。

野菜や干したお魚などを煮たものを器に盛ったご飯の上にのせて、

お出汁をかけたものです。

いわゆる“汁かけご飯”のようなものですネ。

 

日本には古くから『ご飯とおかず』という食文化がありますが、

別々の器に盛っていたのを一緒にしたのが、

丼物の原点と考えられています。

 

そんな芳飯をルーツとする丼物が、庶民の間で食べられるようになったのは、

江戸時代になってからです。

“せっかち”といわれた江戸っ子が手早く食べるために、

ご飯の上に直接おかずをのせるように注文したといわれています。

 

その後、丼物は時代とともに進化していきます。

そして現在では『親子丼』や『牛丼』のように、

“具材を煮て、それをのせたもの”、

『天丼』のように“揚げ物をのせたもの”

『うな丼』のように“焼き物をのせたもの”。

『海鮮丼』や『まぐろ丼』のように、

“お魚のお刺身をのせたもの”といったように、

大きく4つのタイプに分かれています。

 

 

丼物大好きです!

お蕎麦が食べたくて、お蕎麦屋さんに入っても、

つい丼物に目がいく私がいます。

ふたが付いている器もイイんですよネ。

丼、どんぶり、ドンブリ・・・

言葉自体も妙に可愛い響きですよネ。

これは井戸にモノを落とした時、“どぶ”と音がしたというところから

ついた名前なんだそうです。

 

 

8/24(火)  『カツ丼の歴史①』

 

同じ『カツ丼』でも大きく分けると“薄切りにしたトンカツを、

タマネギなどと甘辛く煮て卵でとじてご飯にのせたタイプ”と、

“ソースなどで味付けされたトンカツをご飯にのせたタイプ”があります。

 

一般的に“卵でとじたタイプ”のことは『カツ丼』、

“ソースを絡めたタイプ”は『ソースカツ丼』と呼ばれています。

それでも土地によっては『カツ丼=ソースカツ丼』のことで、

“卵でとじたタイプ”のことは『卵とじカツ丼』とか

『煮カツ丼』と呼んでいるところもあります。

 

私は茨城の出身ですが、

カツ丼は卵でとじたタイプのものだと思っていました。

 

またカツ丼に使われるカツもトンカツだけでなく、

牛肉のカツ『ビフカツ』や『チキンカツ』のところもあります。

 

このように、ひとくちにカツ丼といっても種類がいろいろありますので、

その発祥についても様々です。

例えば”卵でとじたカツ丼”の元祖は、東京・早稲田のお蕎麦屋さん

三朝庵(さんちょうあん)といわれています。

 

キッカケは大正時代のある日、宴会のメニューとして用意していた

トンカツが、突然のキャンセルで大量に余ってしまいました。

そのためお店のご主人が困っていたところ、常連客の学生さんから

”卵丼みたいにしたら?”と言われたのをヒントに作ったのが

”卵でとじたカツ丼”で、それが次第に評判になっていったそうです。

 

 

私、カツ丼、めちゃめちゃ好きなんですけど、

早稲田の三朝庵、昔行ったことがあります。

今は閉店してしまったんですよネ。

あのお店がカツ丼発祥の地だったんですネ。

意外にも身近のところに発祥エピソードがあって、驚きました。

 

 

8/25(水)  『カツ丼の歴史②』

 

”卵でとじていないカツ丼”、いわゆる『ソースカツ丼』ですが、

発祥には諸説あります。

1つは1913年(大正2年)、洋食屋さん『ヨーロッパ軒』の創業者、

高畠増太郎(たかばたけ・ますたろう)さんが料理の発表会で

ソースカツ丼を披露したとする説です。

 

この『ヨーロッパ軒』は創業当時、東京・早稲田にありましたが、

関東大震災の後、高畠さんの故郷・福井県に移転しました。

それ以降、ソースカツ丼が福井県内に広まった・・・と言われています。

 

もう1つは1921年(大正10年)、早稲田の高校生、

中西敬二郎(なかにし・けいにろう)さんが行きつけのお店で

ポークカツレツを小さく切ってご飯にのせて、

煮詰めたソースをかけたものを考え出しました。

それを『カツ丼』と名付けたとする説です。

 

さらに明治時代の後半に、山梨県甲府市のお蕎麦屋さん

『奥村本店』がカツ丼を提供していた・・・という説もあります。

こちらのカツ丼ですが、千切りのキャベツなどがのったご飯の上に

揚げたてのトンカツがのっています。

 

他にも、昭和初期に誕生した新潟県の『とんかつ太郎』のカツ丼は

トンカツがソースではなく、お醤油ダレにくぐらせてあります。

新潟ではこれが“カツ丼スタイル”として定着しているそうです。

 

 

カツ丼といっても、いろんなスタイルがあるんですネ。

私は全国共通、“卵とじのカツ丼”がカツ丼だと思っていました。

福井に行った時、ソースカツ丼をいただきましたが、

あれはまた別格に美味しいですよネ

とにかく丼物はご飯に染み込むタレが勝負ですネ。

カツ丼、食べたくなりました。

今日のお昼にカツ丼はいかがですか?

 

 

8/26(木)  『牛丼』

 

時代が明治になり、牛肉を食べる文化が伝わると同時に、

牛肉と野菜を一緒に鉄鍋に入れ、そこに割り下を入れて

グツグツと煮る『牛鍋(ぎゅうなべ)』が誕生しました。

そこに日本人のお米の文化が結びついて登場したのが、

牛鍋をご飯にのせた『牛飯(ぎゅうめし)』です。

 

そんな牛飯に注目したのが、牛丼チェーン『吉野家』の創業者・

松田栄吉さんです。

1899年(明治32年)、“東京・日本橋の魚市場で働く人たちに、

美味しいものをお腹いっぱい食べてもらいたい“という思いから、

牛肉とご飯を有田焼のドンブリに入れて提供しました。

これが牛丼の始まりとされています。

 

その後、1958年(昭和33年)、『株式会社吉野家』が設立されると、

牛丼以外のメニューはすべて排除して、牛丼専門店へと転身します。

さらに『牛丼を食べに来るお客さんは、牛肉を食べに来ている』と、

たっぷりの牛肉とタマネギだけの具材の

シンプルな牛丼の提供を始めました。

こうして、現在の牛丼文化が日本の食生活に根付いていきます。

 

『牛丼』があるように、『豚丼』もあります。

こちらは昭和の初め頃、北海道帯広市の食堂で、炭火焼きした豚肉に

ウナギの蒲焼き風のタレを絡めて、ご飯にのせて提供したのが

始まりとされています。

 

牛丼はカレーと並ぶ、男性が大好きな食べ物ですよネ。

“つゆだく”とか、ここから生まれた言葉もありますよネ。

そして豚丼。今年、帯広で舞台があったので、本場の豚丼をいただきましたが、

とっても美味しかったです。

 

 

8/27(金)  『うな丼』

 

江戸時代の後半、江戸に大久保今助(おおくぼ・いますけ)さんという

芝居小屋のスポンサーの方がいました。

    

ある日、今助さんが故郷である現在の茨城県常陸太田市に帰る途中、

牛久沼のお茶屋さんで渡し船を待っていました。

その時、ウナギが大好きな今助さんは蒲焼きとドンブリご飯を

注文しましたが、料理が出て来たのと同時に、

“船が出るよ~”という声が聞こえてきました。

 

そこで今助さんはドンブリご飯に蒲焼きをのせて、

借りたお皿を逆さにかぶせて船に乗り込みます。

そして向こう岸に着いてから食べたところ、蒲焼きがご飯の温度で

蒸されたことでより柔らかくなって、さらにタレがご飯に

ほどよく染み込んで、とても美味しかったそうなんです。  

 

こうしてうな丼が誕生しましたが、どのように広まったのかは、

いくつかの説があります。

1つは、今助さんが帰りにお茶屋さんに食器を返しながら

そのことを話したところ、それを聞いたお茶屋さんが

うな丼を出すようになって、水戸街道の名物になったという説です。

 

もう1つは、今助さんが自分の芝居小屋でうな丼を売り出したことで

江戸から広まった・・・という説です。

 

 

私、実は先日、牛久沼のうな重をテイクアウトでいただいたんですよ。

とっても美味しいんですよネ。

あそこが発祥地ということに、またまたビックリしています。

今こんなに美味しいうな丼を食べられるのは、

偶然の賜物だったんですネ。

とにもかくにも丼物、最高です!

 

 

■今週の感想 

 

この番組で食べ物をテーマにしますと、

“お昼に食べようかな”ですとか、

“晩ごはんに食べました!”といったお話をよく聞きます。

 

私も丼物は本当に大好きで・・・

今回ご紹介しましたカツ丼、牛丼、豚丼、うな丼もそうですが、

天丼や親子丼、海鮮丼なども大好きです。

そう言いながら、また丼物が食べたくなりました(笑)

 

 

【お知らせ① 次週(8/30~)からのテーマ】

 

今も解明できない謎がいっぱい!『宇宙』についてです。

 

 

【お知らせ② 番組で使用しているBGM】

 

◆オープニング 

♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ

 

◆エンディング

♪To Be  /  モントルー

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パーソナリティ
  • 羽田美智子
    羽田美智子
    羽田美智子

    羽田美智子

    茨城県出身。1988年デビュー。女優として映画、ドラマ、CMなどで活躍中。94年、映画『RAMPO』でエランドール賞新人賞などを受賞。95年、映画『人でなしの恋』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。『花嫁のれん』(東海テレビ系列)シリーズ、『特捜9』(テレビ朝日)シリーズ、『おかしな刑事』(テレビ朝日)シリーズ、『ひよっこ』(NHK)など、数々の人気ドラマに出演している。2019年、実家の屋号である”羽田甚”を引き継ぎ、ネットショップ『羽田甚商店』をオープン。自身の五感を通して「本当にイイ!」と思ったものだけを紹介・販売している。
    羽田甚商店:https://hadajinshop.co.jp/