目の前で不思議な現象を起こす『マジック』についてです。
■今週(8/31~9/4)のテーマ:『マジック』
8/31(月) 『マジックとは』
『マジック』を辞書で調べますと“手品”とあります。
マジックは英語(magic)、手品は日本語という違いはありますが、
一般的には“マジックと手品は同じもの”とされています。
ところが厳密には、マジックと手品は違うものなのだそうですよ。
『マジック』という言葉には“魔法”という意味があります。
何も仕掛けを使わずに不思議な現象を起こすことから
『魔術』ともいわれ、“マジックをする人”のことは
『マジシャン』と呼ばれています。
それに対して『手品』という言葉には
“トリック”や“仕掛け”という意味があります。
そうした仕掛けを使って、巧みな手さばきで不思議なことを見せることから、
『奇術』ともいわれ、“手品をする人”のことは
『手品師』、『奇術師』と呼ばれています。
また『手品』という言葉ですが、元々、奇術のことを
『手妻(てづま)』、『品玉(しなだま)』と呼んでいたそうです。
いつしかこの2つの言葉が合わさって、
『手品』と呼ばれるようになったそうです。
このようにマジックは“魔法”、手品は“奇術”という違いがありますが、
現在では同じ意味で扱われているそうです。
私が出演させていただいているドラマで、
マジックを題材にしたストーリーがあって、
私も興味があったので、今回、『マジック』をテーマにしました。
刑事もののドラマなんですけど、トリックが事件のカギを握ったりして、
おもしろいストーリーになっていくんです。
9/1(火) 『マジックの歴史』
マジックはいつ頃からあったのでしょうか?
それについては諸説あります。
紀元前の古代エジプトの洞窟に、カップとボールを使って、
マジックを演じているように見える壁画があるそうです。
但し、これはマジックをしているのではなくて、
“パンを焼いている姿だ”とする説もあるそうです。
同じく紀元前の古代エジプトに
『王様の前で魔術師が、ガチョウの首を切ってつなげた』と書かれた
文献があったそうです。
そんなところから少なくともこの時代に、不思議な力
『マジック』が存在していたと考えられています。
そんなマジックを使えるマジシャンは、
時には人々に大きな影響を与えました。
中世の時代、ヨーロッパでは罪のない人を魔女だと決めつけて処刑する
“魔女狩り”が行われるようになります。
それと同時に“マジックは黒魔術、マジシャンは悪魔の手先”として
迫害されるようになりました。
そうした誤解を解くために、1584年にイギリス人の
レジナルド・スコットさんが著書『妖術の開示』を出版しました。
『魔術の暴露』というタイトルでも呼ばれています。
レジナルドさんの本職は議員で、マジシャンではありませんでしたが、
友人のマジシャンの協力を得て、本の中でマジックのタネ明かしをしました。
こうすることで、マジックへの偏見と迫害をなくそうとしたそうです。
不思議な現象を見た人はビックリして、マジシャンのことを
“魔法使いだ!魔女だ!”と思っていた時代があったんですネ。
“ネタバレは興ざめ”という一面もありますが、
“仕掛けがあるんですよ”と開示する必要もあったんですネ。
9/2(水) 『マジックの歴史②』
中世の時代、ヨーロッパでは“マジックは黒魔術”、
“マジシャンは悪魔の手先”とされていましたが、
その後、マジックは新しい時代を迎えます。
19世紀のフランス・パリ。
マジシャンのロベール・ウーダンさんは、
それまでのマジックのイメージを変えるために、
新しい試みを始めました。
例えば服装です。
当時のマジシャンはいかにも“魔法使い”といった格好でしたが、
燕尾服の正装姿で、シルクハットをかぶりました。
“マジシャンの服装”と聞いて“燕尾服とシルクハット”をイメージされる方、
いらっしゃるかと思いますが、このスタイルを築いたのがロベールさんです。
ロベールさんは機械仕掛けの精密な道具と手先の器用さによって、
シンプルで美しい演出を生み出しました。
実はロベールさんは元々、時計職人をされていて、
40歳でマジシャンに転身されたそうです。
ですから、精密な道具を作るのも手先が器用なのも
当然だったそうです。
こうしてロベールさんによって、
マジックはエンターテイメントとして認知されるようになります。
ロベールさんの代表的なマジックの1つに、当時6歳の息子さんを
空中に浮かべる・・・というのがあったそうです。
こうした功績から“近代マジックの父”と呼ばれています。
確かにマジシャンは、燕尾服にシルクハット、
そして魔法のステッキを持っているイメージってありますよネ。
他にも思い出すのは、Mr.マリックさんのチャイニーズ風の衣装とか、
プリンセス天功さんの華やかな衣装とかも思い出しますよネ。
9/3(木) 『手品の歴史』
手品は奈良時代の頃、仏教と一緒に伝わったと考えられています。
その後、様々な工夫が加えられて、“日本独自の奇術”として
完成しました。
こうした奇術のことを『手妻(てづま)』、『品玉(しなだま)』と
呼んでいましたが、のちに『手品』になったとされています。
『手妻』は一説には”稲妻よりも速く手が動く”というところから、
この名前が付いたといわれています。
『手妻』の代表的なものとして、例えば『胡蝶の舞(こちょうのまい)』。
これは、紙で作ったチョウチョを扇子であおぐと、
まるで生きているように飛んで見える・・・というものです。
『蒸籠(せいろう)』。
何も入っていない木の箱の中から、
いろんな品物が出てくる・・・というものです。
『水芸』。
演じ手の方の掛け声や音楽に合わせて、舞台上の花や置物、
さらに演じ手の方の頭や着物の裾など、
様々な所から水が噴き出る・・・というものです。
現在もこうした昔からの日本の奇術を受け継いでいる方のことを、
“手品師”ではなく、“手妻師”と呼ぶこともあるそうです。
『品玉』は小さな玉や短刀などを空中に投げて、
それを巧みに受け止める・・・という曲芸の一種です。
“手妻師”、私は初めて聞く名前でした。
でも日本の手品って、“トリックを使って”というよりも
“練習のたまもの”といった、努力の積み重ねが見えて素敵ですネ。
9/4(金) 『マジックの種類』
マジックは会場の大きさやお客さんの人数などによって、
いくつもの種類に分けられます。
例えば『クロースアップマジック』。
テーブルを挟んで、少人数のお客さんの前で披露します。
お客さんは見るだけでなく、参加する楽しみもあります。
同じ『クロースアップマジック』でも、コインやカードが中心の場合、
『テーブルマジック』ともいいます。
『サロンマジック』。
30人から50人、または100人規模のお客さんの前で演じます。
カップなど小さな道具を使ったりします。
『ステージマジック』。
『サロンマジック』よりも大勢のお客さんの前で、
照明や音響などを交えながら、
ステージ上で様々な道具を使ってマジックを披露します。
その際、マジシャンの服装は正装が基本です。
『イリュージョン』。
『イリュージョン』とは“幻想”、“幻影”という意味です。
何百人、何千人規模のお客さんの前で、大掛かりな道具を使って、
様々な演出をしながら披露するマジックです。
『人体の切断』や『巨大な水槽からの脱出』などがあります。
一般的に“マジックをする人”は“マジシャン”と呼ばれますが、
“イリュージョンをするマジシャン”の場合、
“イリュージョニスト”と呼ばれています。
手品、マジック、イリュージョン。
子供から大人まで、目がキラキラと輝く、
本当に素敵なエンターテインメントですよネ。
これからもたくさんの技が出てくるんだろうな・・・って思って
楽しみですよネ。
■今週の感想
偶然にも今年、私が出演したドラマで
マジックをテーマにしたストーリーの回が二度あったことから、
今回、マジックをテーマにさせていただきました。
見るたびにいつも感動と興奮の連続のマジックですが、
こういった歴史を経て、今に受け継がれているんですネ。
それにしても、いつも集中して見ているのに、
どうしてそうなるのか、本当に分かりません(汗)
追伸
とても勢力が強い台風10号が近づいています。
台風の進路にあたる地域にお住まいの方々は、
どうぞ十分にお気を付けくださいませ。
どうか被害が出ませんように・・・
【お知らせ① 次週(9/7~)からのテーマ】
私たちの命に関わる『救急医療や救急業務』についてです。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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