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2024.12.13

小菅一彦さんに聞く視覚障害者を支援するさまざまな技術やシステムについて

視覚障害者に関する商品の開発や販売を行っている

株式会社KOSUGE代表の小菅一彦さんが登場。

代表的な商品である白杖「MyCaneⅡ」の開発秘話や、

視覚障害者を支援するさまざまな技術やシステムについて

伺いました。

 

※ 下にスクロールしていただくと放送内容をご覧いただけます。

 

軽量で・折れにくい白杖 – 株式会社KOSUGE HP コチラ 購入もできます。

 

「白杖」 について

視覚障害者に関する商品の開発をしており、

代表的な商品が「MyCaneⅡ」という白杖。

これは視覚に障害のある方が歩行するときに使う杖。

組み立て式で、ひと振りで杖になる設計になっている。

英語で自分の杖という意味で「MyCane」。

白杖は、正式名称を「視覚障害者安全つえ」 と言う。

安全つえは、3つの機能を満たさなければならない。

1つは、周りの人が見て、視覚障害者だとわかる視認性。

もう1つは、衝撃などがあった時に避けてくれるバンパー機能。

そしてもう1つが、歩いていく先の地面の状態が

どういう状態であるかを把握するための情報伝達性。

安全つえは白色もしくは黄色となっている。

一方、道路交通法で、道路を歩くときには、

視覚障害の見えない方はこの安全つえを持たなければいけないと

決まっている。

そして、道路以外のところ、例えば大きな建物、

東京駅などは通路に誘導ブロックがあればいい。

そこでなんかトラブルで事故があった時に警察はノータッチ。

以前そういったトラブルがあり、

その両方の場所を安全に歩くようにするのが白杖。

 

 

「MyCaneⅡ」の開発

「MyCaneⅡ」はパイプのメイン素材としてアラミド繊維を使っている。

従来品は金属やグラスファイバー、最近では炭素繊維性のパイプが

使われていたが、それらは横から衝撃があった時、

折れやすいという欠点がある。

そこで、それを補うために、自分が会社時代に扱っていたケブラーを

利用するのがいいのではないかと思った。

自分は東レ・デュポンにいたときにケプラーの工場立ち上げや

全体の技術開発と用途開発をおこなってきた。

会社を退職する時に、一緒に働いていた友人から、

父親が今使っているアメリカから輸入されている白状が使いづらいので、

もっといいものを作ってくれないかと言われ

自分の経験をいかせるのではないかということで白杖を作ろうと思った。

海外から輸入されてるものは握り手が太い、

それぞれに合ったグリップが必要ではないかと

何種類かのグリップを試作し、視覚障害者の方に試してもらった。

また、白杖は折りたたみの携帯式が多いが、

折り畳み式はつなぎ目のところが弱い。

そこで、ジョイントカバーを付け、上のパイプと下のパイプの橋渡しをする。

その素材にハイトレルという樹脂を用いて衝撃を吸収するようにした。

また、白状で分かるのは地面のところの状態。

ところが、顔の位置に来るような、飛び出てるものに

ぶつかってしまう恐れがある。

そこで、グリップの下に超音波発信機があるといいと思い、

輸入して取り付けて一時は販売をしていた。

今は輸入するのがだいぶ高くなってしまい、ギブアップしている。

 

 

「エンジェルアイ・スマートリーダー」 

視覚に障害がある方に向けた商品

「エンジェルアイ・スマートリーダー」というものを輸入販売している。

これは眼鏡のサイドに、カメラをつけ、ボタンを押すと自動的に起動して、

写真を撮り、その写真をテキストに変換して、音声で喋ってくれる。

インターネットの環境がなくても大丈夫

文字は、縦書きでも、横書きでも混在していても大丈夫。

最初はイスラエルで同じようなものが開発されていたがかなり値段が高く

40万ほどしていた。

それが中国の方で、文字だけを認識する装置を開発され、

20万円弱の、日常生活用具として買えるような値段になり、

また、従来のものはデスクトップパソコンみたいなもので大きかったので

こういった小型ものがあれば、これは絶対こちらの方に需要が動くだろうと

飛びつき、輸入して、販売。

日本向けには日本語のバージョンが作られている。

手書きの文字はダメ。

手書きの文字を読めるようにしようとすると、半導体自体の回路が

大きくなってくるので、 今の小さなものではなかなか処理しきれない。

もっと効率良く、電力を消費しないですむような半導体回路ができれば

まだ進歩していく可能性があるかと思う。

 

 

人工衛星を利用した歩行補助システム

人工衛星「みちびき」を利用した歩行補助システムの開発にも協力。

「みちびき」の第1号が飛び、自分の居場所が正確にわかるという

謳い文句があったので、 視覚障害者がGoogleマップを使いながら、

自由に、好きなところに歩いていけるのではないかな ということで、

開発グループをつくった。

開発し、実際試してみたが、残念ながら2つの点でダメだった。

1つは、「みちびき」が、位置を案内してくれるのは 2~3メートルぐらい。

2~3メートルだと、道路の真ん中か歩道かがちゃんと区別がつかないこと。

もうひとつは、新宿みたいな高層ビルのあるところでは、建物の陰に隠れて、

十分に自分の居場所が把握できないということ。

そこでプラスアルファが必要だろうと考え始めたところ、

コロナが発生し中断してしまった。

今、他のチームが似たようなことをやっているが実現はまだ難しい。

そのアンテナがかなり大きく、常に傘をさしてるような感じ。

もっと小さな受信機で、うまく取れるようにならないといけない。

今、日本のバリアフリーの環境は徐々によくなってきてると思う。

誘導ブロックとか、危険ブロックなどがきちんと敷かれるようになってきている。

 

 

これからの夢、目標

様々な技術と工夫で使いやすさを向上させた白杖「MyCaneⅡ」を開発、

これからの目標の1つは、

弱視の方や全盲の方が歩くときに周りの人に分かってもらいたい。

今の季節、暗くなるのが早い。

ですので、ライトが自動で点灯するようなものも開発。

一応ある程度できたがちょっと難しい。

やはり電池式でもいいので光るということが望まれていると思う。

もう1つは信号機。

音声信号機も。最近は夜8時になると音が聞こえなくなるとか、

必要とする人が少ない所では音声信号機をつけてもらえない。

なので、横断歩道を渡るときに、信号機の色がある程度分かって、

大丈夫ですよと言ってくれることが歩行者にとっては重要。

そのようなものの開発がうまく進んでくれるといいなあと思っている。

会社時代には技術開発、商品開発してたが、

お客さんの声を聞いての開発ではなかった。

使う方の声を聞いて、 それを商品化していく。

そこで直接の喜びの声、不満の声が聞けるというのが

一番、生きがいとしてはいいのではないかと思っている。

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