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2024.09.13

日本の南極観測隊、初の女性隊長の原田尚美さんに聞く南極での調査、魅力、生活とは?

東京大学 大気海洋研究所教授で、

第66次南極地域観測隊隊長の原田尚美さん登場。

日本の南極観測隊、初の女性隊長として

今年12月から3度目の南極観測に出発する原田さんに、

南極観測隊に参加することになったきっかけや南極での生活、

原田さんの研究や南極観測隊の調査など伺いました。

 

国立極地研究所 HP(南極の観測) コチラ

 

 

南極地域観測隊とは?

今年12月に第66次南極地域観測隊の隊長として、南極観測に出発。

夏隊なので、期間はおよそ4か月間。

今はワクワクしている。

南極地域観測隊は、衣食住について、

“食”“住”も自分たちで成り立たせなければいけないので、

メンバーは。研究者以外に基地そのものを運営する設営系の隊員、

建築のプロフェッショナルや土木のプロフェッショナルが非常に多く、

調理の隊員や医者もいる。

今回の夏隊は全体が100人ぐらい。

越冬隊は、観測をする人数が 10名ちょっとで、

生活を支える設営系の隊員20名、合計30名ぐらいで構成。

南極へはまずオーストラリアに飛行機で行き、

フリーマントルというパースの近くの港町から出発。

昭和基地までは、途中、観測しながら3週間ぐらいかけて到着する。

自分の主な研究は古海洋学

海底に溜まっている堆積物は深く掘り進めていくと古くまで遡ることができ、

それ自体がタイムレコーダーのようなサンプルになっている。

海底からその堆積物を採取し、解析して、過去の海洋環境を解析する。

人起源の温暖化というのがなかった時代、

自然変動でも温暖になったり寒冷になったりというのを実は繰り返していて、

研究により、自然のレベルでどれぐらい地球は変動してるものなのかを

理解することができる。

 

 

原田さんの研究・調査

南極は北極と違い、温暖化に対して全然応答しないエリアだった。

しかし衛星で海の氷の分布を調べてみると、

10年ぐらい前から急激に海の氷の量が減り始めていた、

とうとうその南極も温暖化に応答するようになってしまった

のではないかという、衝撃的な観測結果だった。

とても鈍い応答をしてた昭和基地が面している東南極でも

何か変化があるかもしれないということで、

徹底的に海洋も含めた南極周辺の環境変動を理解する観測を

やろうということになっている。

南極がこれ以上温暖化してしまうと、大陸に乗っている氷が

溶け出してくるかもしれない。

南極の場合、氷の量が膨大なので、地球全体の海面の水位を

1メートルも、2メートルも上昇させてしまうぐらいのインパクトがある。

そのため、今、起きていることを、データをしっかり取りながら

どういう速度で起きようとしているか将来予測をする数値シミュレーションを

スーパーコンピュータや、そういった計算機系の分野の方々と連携しながら、

おこなう一連の研究を南極からやっていこうというもの。

それにより、私たちが今から何をしたらいいのかがわかる

温暖化のほか、そこに生息している生物の行動、生態の研究、

また、南極は地球上で非常に隕石を見つけやすいエリアの1つで、

隕石の研究者たちや、天体観測する分野の研究者もいる。

 

 

南極での生活

1957年に第1次隊が昭和基地を建設。毎年人を送っている。

第一次隊が行った当時は、国際的にも地球規模の環境変化を

世界中のみんなで連携しながら、研究していこうというプロジェクトが

動き始めた時で、日本は敗戦間もない頃だったが、

いろいろなところで日本も立ち上がっていかなくちゃいけないという中で、

その立ち上がる分野の1つが科学技術だったのだと思う。

そして当時、日本からも南極の観測に研究者を送り込みたいと、

いうところで、57年の開始だったと思う。

昭和基地は沿岸地域にあるので、札幌の冬ぐらいで案外寒くない。

夏だとプラスの気温になったりすることもある。

冬でも下がってもマイナス30度ぐらい。

南極の中でも気温がマイルドなので暮らしやすい

個人的に好きな景色は、太陽が沈まない時期が終わって、

この日から沈み始めるという数日間の夕焼け、朝焼けの

空と地平線との色のグラデーション。

ピンク色から紫色になっていくその景色にすごく感動した。

 

 

南極地域観測隊参加のきっかけ

24歳で最初に南極に行った。大学院の博士課程の1年生だった。

当時の隊長から、私の指導教官に、海洋研究の分野で、

学生を1人出してくれないかという依頼があり、

指導教官は当時まだほとんど女性が観測隊に参加していなかったので、

当然男性の学生にと考えていたが、男子学生がみんな断ってくれたので、

それを小耳に挟んだ自分が、ぜひ行かせてほしいと先生に直談判した。

大学院の博士課程のテーマは、実は赤道の海底堆積物を使った

赤道の環境復元だったので、

先生からは全然、博士論文のテーマと違うと大反対されたが

両方やりますと説得し、行くことになった。

小学校、中学校はそんなに科学が好きな 子供ではなかった

高校になってたまたま授業で科学が面白くなり始めて、

教育実習に来てくれた先生から

「地球科学:アースサイエンス」という分野の魅力を教えてもらい、

地球の研究って面白そうって思ったのがきっかけで

科学に興味を持ち、大学を選んだ。

例えばサンプルを取って目にした時に、

これを今見ている、触っているのは自分が初めてなんだ

というワクワク感というか、そこが刺激的。

 

 

これからの夢・目標

今年12月からの南極観測隊の調査から、南極の環境の現状を届けたい。

今、地球温暖化のような形でどんどん環境が激変しているが

日本から非常に遠い南極ではあるけれども、

大陸の氷が溶けてしまうと、それは海水準の上昇として、

実は日本の自分たちの暮らしにも直結するような異変を起こしてしまう。

都市の計画や、居住計画ということにも影響を及ぼしかねない。

ということを知ってもらえるとうれしい。

新しいものを知りたいという欲求、

そして、今手にしてるのは私しかいないというフロンティア感が

自分の研究や仕事を前に進める原動力になっている。

研究者としての目標は、まずは、今回の66次の観測を成功させたい。

実は24歳で行った時に、海洋観測のメインで持っていた仕事を失敗している。

ある観測機器を海の中に設置したが、 回収しようと思って行ってみたら、

なくなっていてサンプル手にできなかった。

それを、今回新しく計画を立て直して、おこなうという

33年前のリベンジのようなところもあるので、

その観測研究をまずは成功させたい。

 

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