ロインマンガ家の里中満智子さんが登場。
現在までに500タイトル以上の作品を発表されてきた
日本を代表するマンガ家の里中満智子さんが描くヒロイン像についてや
作品に込められた思い。さらに初期作品を描かれたいた当時のエピソード、
さらに、『アリエスの乙女たち』、『スポットライト』、
『天上の虹』など、代表作についても伺いました。
※ 下にスクロールしていただくと放送内容をご覧いただけます。
里中満智子さん 公式ブログ コチラ
里中満智子先生が描くヒロイン像
少女マンガを描こうと思った時、それまでにないヒロインを書きたかった。
昔は状況が描かれていて、それに対して悲しいとか、嬉しいとか、
感情的に反応するヒロインがとても多く、よく泣いていた。
それが少し嫌だった。
女の子は本当は強く、きちんと自分で考える、
そういう部分を描きたいと思った。
なので、自分の意思表示をするシーンが多い。
主人公が、どんな道を歩むかというのは、物語によって違うが、
どんな時でも作者である自分が考えている、 こうあってほしいとか、
こういう時はこんなふうに切り替えて強く生きてってほしいとか、
そういう願いみたいなものを込めて描いている。
女優を目指す女の子を描いた『スポットライト』という作品を描く時、
女優の道で成功して、スポットライトを浴びてよかったね、ではなく、
また、ありきたりのライバルを出したくなかった。
『スポットライト』が連載されていた『なかよし』は、
基本、小学生が読んでくれていて、
ちょうど母親との関係に、目覚め、悩み始める時期。
お母さんという存在が 絶対的なものではないけれども、
自分にとって最初の壁みたいな、そういうのを感じる時期だと思うので、
あまり優しくて物分かりのいいお母さんって描きたくなかった。
読者も、しっかりお母さんと見つめ合って生きてほしい という思いもあり、
結構きつくて強いお母さんを描いた。
『アリエスの乙女たち』
『アリエスの乙女たち』は毎週出たとこ勝負で、
人物設定だけしておいて、あとどう動いていくか、
自分でも少し自由にやってみようと思っていた。
ただ、毎週何か決めセリフは絶対入れようと思っていた。
また、高校生が主人公だが、高校生であっても、
恋愛というのは決して子供の遊びではなくて、
人生をかけたものであるという覚悟を持ってほしいという思いで描いた。
少女漫画の中では、女の子が男の子を好きになった時に、
この作品の中で、 男の子がヒロインに
「男にとって言葉なんて大した意味はない。第3の価値しかない。」
と言いうシーンがある。
第3って言い切ってしまったからには、第1がなくてはいけない。
「言葉」に対して「行動」ということで、第2は行動。
では第1はなんだろう。何かかっこいい決めゼリフはないかと思ったが、
後で考えようと思い、とにかく描いてしまった。
そうしたら、男の子の高校生たちから、
「第1は何か?」とすごく問い合わせが来た、
そろそろ男の子たちにも、本気の恋愛ものを読んでほしいと思っていたので
本当に高校生の男の子たちから問い合わせがたくさん来て、嬉しかった
初めて男の子たちもこんなに読んでくれていたんだとびっくりした。
里中満智子先生とマンガ
小学生の頃に、マンガを子供から取り上げようという
大人たちの運動があった。
ロボット同士が戦って壊れたりするのは残酷であると、
『鉄腕アトム』が、その中に入っていた。
自分は小さい時からマンガも活字も大好きで、手当たり次第に色々読んでいた。
その中で『鉄腕アトム』は少女時代の自分にとっての行動規範になった。
面倒なことも、アトムだったら ちゃんとやるだろうと。
アトムに恥ずかしくないようにしたいと思い、随分自分を律することができた。
当時は子供だったがとにかく大切だった。
それが子供に読ませてはいけないと捨てられたりするというのは
悲しくて悔しくて、どうしたらいいかわからなかった。
私は将来、自分の子供にも読ませたいと思い、
そのためにマンガ本を取っておきたいと思った。
そして何かもっとできることはないかって思ってるうちに、
どんどんマンガにのめり込んでいった。
高校生の時、講談社の新人募集に応募した。
その頃自分は、こっそりマンガを描いているのが見つかり、
親からはやめなさいっといわれ、どうしようかと切羽詰まっていて
なんとか突破するしかないと思っていた。
そこで応募し、1等賞をもらい、そのままデビューになった、
それが高校在学中の16歳だった。
でも、デビューしてみて、 印刷されて本になると、
なんて自分が下手だったんだと分かり、いたたまれなかった。
それからは、どうしたら早くうまくなれるだろうと、
どんどん描くしかない。描いても採用されるとは限らない。
だから、必死だった。
里中満智子先生が作品にこめた思い
自分の作品が 偏らないために、客観性を持つ、視野を広げるということを
絶えず考えていた。
自分は早くデビューして、世の中のことよく知らなくて。
世の中で起きてることを、つい人が言ってることで 左右されてしまい
これは良くないとか、思いがちだった。
どうしたら視野を広げられるだろうかと考えたのが、
世の中で起きてることを、当事者の立場になって、
とことん考えてみるということ。
朝、新聞が来たら、無作為にぱっと広げ、新聞を見ないで、
後ろ向いて手を伸ばして、 どこかにポンと指を置く。
そしてそこに書いてあることの当事者に5分だけでもいいからなりきり、
自分がこの人ならどうするか ということを一生懸命考える
そうすると、世の中はそんなに単純ではないってことがまず分かる。
そこからの出発。
未だに私自身が、ちゃんとした公正な目を持ってるかどうかは
わからないが、ただ、自分の実感としては、訓練になったと思っている。
だから、これを何年間かずっとやっていた。。
マンガを描くときはどうしても、誰かに見てもらうつもりで描いている。
どこかの誰かがこれを読んで、1人でもいいから、
生きてて良かったと思ってくれたらいいなあと思う。
人生のいろんな醍醐味を味わってもらいたいので、
いろんな人生があるんだよ、ということをわかってもらえたら嬉しい。
マンガ家を目指す方々へ
マンガ家を目指す方々へのアドバイスとしては。
好きだというだけで、それが才能。
ところがちょっと始めると 思うようにいかない。
そうすると、自分には才能がなかったんだと思って諦めてしまう。
しかし早々に諦めるとしたら、
そんな好きじゃなかったんだと思ってほしい。
才能がなかったんだとは思わないでいい、
才能があるかないかなんて、誰もわからない。。
好きだと思ったら、もうここで80パーセントも才能があるんだと思っていい。
好きなことでないと頑張れない。一心不乱にやってみたらと思う。
またマンガを描くというのは、決して若い時だけのことではない。
40歳を過ぎ、50歳を過ぎ、時には60歳を過ぎても、
その人なりのものしか描けない世界が絶対にある。
マンガ家に デビューは何歳までという決まりはない、
作者が若くても年取っていても、読者には全く関係ない。
自由に描いていいので、もし人生の途中であきらめた人がいたら、
ぜひチャレンジしてほしいし、
若い方は好きだという気持ちを大事にしてほしい。
好きってとっても素敵なこと。
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