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2023.08.11

ボクシング・元WBAミドル級王者の村田諒太さんに聞く『折れない自分をつくる 闘う心』

ボクシング・元WBAミドル級王者の村田諒太さんが登場。

オリンピックとプロの両方で世界の頂点に立った村田さんにとって、

ボクシングとは何か、現役生活を支えた物事の考え方、そして、

日本ボクシング界最大のビッグマッチといわれるゴロフキン戦の舞台裏を書いた

著書『折れない自分をつくる 闘う心』についてなど

村田ワールド全開でお届けする1週間。

 

著書『折れない自分をつくる 闘う心』(KADOKAWA)

 

『折れない自分をつくる 闘う心』

2022年4月の日本ボクシング界最大のビックマッチと言われる

ゴロフキン戦のことを書いた著書『折れない自分をつくる 闘う心』(KADOKAWA)。

ビッグマッチに向かう心は机上のデータはあっても実践はない。

では実践を次の世代のレガシーとして残そうというところから

この本はスタートした。

「これで伝説をつくる」や「人に感動を与える」という人がいるが、

自分ができることではなく、受け取る側の問題だと思う。

読んでくれた人のきっかけになればいいが、

答えが書いてあるわけではなく、

読んだくれた人が得る化学反応がないと生まれない。

オリンピックで金メダルをとったときはそこまで満足できる内容ではなく、

結果として金メダルがとれた。

試合に向かっていくまでの過程の評価と結果の評価がある。

ボクシングは成績を残すことだけが目的になってしまうと、

残すことができなかった人間には何が残るかということになる。

結果だけない何かの軸はもっておいたほうがいい。

ただ、「結果ではない」といってしまうのはおかしいことであり、

振り返ったときに二つの軸の評価をしてあげられればいいと思う。

ゴロフキン戦は、お客さんが喜んでくれた、

試合が終わった瞬間誰も帰らなかった光景をみて

自分のプロとしての仕事はできたと少しの満足感はあった。

 

 

自分にとってボクシングとは

ボクシングは自己肯定感をつくるための一つのツールだった。

ボクシングは人生の中のツールのひとつであり、

ボクシング自体は目的ではない。

若い時は目標目的のすべてがボクシングであってもいい。

ただ、振り返った時に思うのは、

ボクシングは自分の得たいものを得るためのツールであるということ。

その得たいものは変わっていく。

最終的には、自己肯定できる自分でいるということを

得たかったのだと思う。

最初は一番自分が強いとみてほしい、自分を認めてほしいという

気持ちから始まり、

応援してくれる人がみつかり、応援してくれる人に何ができると思い、

最終的にボクシングは何だったのだろうと考えると、

自己肯定感をもてるような人生を過ごすための

ツールだったのではないかと思う。

自分は、もともと自分に対して否定的な人間、コンプレックスの塊。

自己肯定はできるときもあればできないときもある。

 

 

引退後イタリアで得たこと

現役引退後、イタリア・フィレツェに行き、多くの影響を受けた。

イタリアの人たちは過去を生きない。今を生きるという感じだった。

格闘技の取材で行ったが、

その格闘技は、昔からあったが競技として復活したのが1930年。

7年後の「復活してから100年」に向けて残したいレガシーは?」

という問いに、

「来年のこともわからないのになんで7年後のことがわかるのか、

だから今がんばるんだ。」という答えをきき、すごくいいなあと思った。

成熟した社会での、ある意味でのあきらめ。

自分が思ったほどそんなに悪くも良くもならない。

人生は思った通りにならないのだから、

今、この瞬間をしっかり味わっていこうという考え方だった。

またイタリア人は、無駄に不安に陥らない。

未来のことについてきくと、

「この道をまっすぐいって右にまがったら何があるかわかるのか?

人生そんなもんだ。」という答え、納得した。

いろいろなところに行き、いろいろなことを吸収したい。

2月にはセネガルに行き、セネガル相撲を経験してきた。

セネガルは発展途上の国で、日本やイタリアにはない

未来に向ける力を感じた。

 

 

リアルシンキングポジティブシンキングは好きではない。リアルシンキングが好き。

実際に自分が役に立ったのはポジティブシンキングではない。

リアリティを受け止めてどのように対処するかということのほうが

重要だと自分のキャリアで感じた。

自分の一番好きな本、ビクトール・フランクルの『夜と霧』でも

同じようなことが書かれている。

ナチスの収容所にいれられ、労働力以外実用性が感じられない中で、

ポジティブな人間とネガティブな人間に分かれていく。

どうせ死んでしまうのだからというネガティブな人間は死んでいってしまう。

ポジティブさもあやうい。○月○日に解放されるという噂を信じて

がんばった人間は、解放されなかったときに自ら命を絶つことが多かった。

ポジティブは上がると落ちるということになる。

フランクル氏は「人生に意味を問いかけるのではない。

人生からの問いかけに対してどうこたえていくかだ」と述べている。

これは大事なことだと思う。

何でも求める方向に今は走っている。

「ポジティブ」、「求める」ではなく、「応える」への転換が

今の社会だからこそ実用的だと思う。

今自分に何ができるかが大事。

ただこれは今、苦しんでいる人たちに対するもので、

今幸せな人は変わる必要はないと思う。

 

 

『折れない自分をつくる 闘う心』から伝えたいこと

著書『折れない自分をつくる 闘う心』(KADOKAWA)は

ゴロフキン戦に向けての嘘偽りのないリアルな内容を書いている。

史上最大の試合、世界戦に向かう人間も悩みの根源は一緒。

常に自分の心と戦いながら生きている。苦しむことも生きていくこと。

そういうことを共有できれば嬉しい。

アスリートに特化せず、一般の方々が読んで頂けると

何かの役にたつのではないかと思う。

2年4か月コロナ禍で試合ができなかった。

なかなかできない経験で、逆に自分に自信をくれたと思っている。

その後大きな試合をしたという経験も

今後に生かされるように祈っている。

いい経験をしたといえる未来をつくりたい。

夢へのかなえ方ということをよく聴かれるが、それはない。

自分にとってはゴロフキン戦もインターハイ1回戦に臨む時も同じ。

自分にとってはそれがすべて。それは主観でしかない。

見ている世界は同じ。

自分の主観の小さな1歩を積み重ねていって、

振り返った時に結果として夢といわれるものが叶っていた。

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