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2021.12.17

東京五輪で銅メダル獲得 プロフリークライマーの野口啓代さんに聞くスポーツクライミングの世界

スポーツクライミング界をけん引してきた「クライミング界の女王」

東京2020オリンピックで銅メダルを獲得した

プロフリークライマーの野口啓代さんが登場。

これまでの競技人生やスポーツクライミングへの思いについて語る1週間

 

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クライミングの魅力

ワールドカップ通算21勝。

自分がクライミングを始めた2000年当時は、日本にクライミング施設がなく、

クライミングがスポーツだと思わないくらいマイナーだった。

それが、スポーツなり、オリンピック競技になっていった。

自分はクライミングと共に成長してこれた気がする。

現役時代は、四六時中クライミングのことを考え、

毎日クライミングしかしていなかった。

クライミングの壁、課題は、終わりがない。

難易度、パターンなど大会で出される課題が毎回違う。

二度と出会えない課題が毎回でてきて、

登れても登れなくても5分で終了。

いくら強くなっても、いくら苦手を克服しても登れない課題があり、

終わりがないものを追いかけている感覚で、

やりがいがあり、今でもまだまだ強くなれる。そこに魅力を感じた。

 

クライミングとの出会い

木登りをするなど高い所が好きなやんちゃな子供だった。

クライミングとの出会いは小学校5年生のとき、グアムのゲームセンター。

木の形をしたクライミングのゲーム。1mの高さをハーネスを履き、

ロープやヘルメットをつけて、ゴールまで登れるかという遊びで

これがすごく楽しかった。

帰国後、住んでいた茨城にはクライミング施設がなく、

最初は都内のクライミングジムに通った。

牧場を経営していた父が古い牛舎の一角に練習用の壁を作ってくれた。

子供のころは壁は小さかったが、ユースの大会や、シニア、ワールドカップに

出るようになり、自分の成長とともに父の壁も進化していった。

ボルダリングは最近では“体を使ったチェス”と言われるが

まず課題をみて、イメージができ、どのように登るか考えられないとできない。

それは経験値。練習でたくさんクライミングをしてきたからこそ

読み解けるようになる。練習量は大切。

クライミングの重力に逆らう、登るという行為は他のスポーツにあてはまらない。

日常生活にもなく、重力を感じたり、自分の体重を感じるのは

登りの中でしかきたえられない。

クライミングは心技体。体の強さも、技術も必要。

ルートを読み解いたり、集中したりというメンタルも必要である。

 

 

クライミングの種目とトレーニング            

クライミングには、「スピード」「ボルダリング」「リード」の3種目がある。

スピードだけが唯一、全世界共通の課題が存在し、

高さ約15mの同じ課題をいかに早く登るかを競う。

世界記録は男性は約5秒、女性は7秒弱。

「ボルダリング」は3~4M。「リード」15M~20Mの高さあり、

この2種目は毎回課題が変わる。

与えられた時間でひとつの課題を登れるのか、登れないか、

どこまでいけたのかという高度を競う。

自分は3種目やっていたが、「ボルダリング」が一番得意。

ワールドカップでの21勝はすべて「ボルダリング」。

リードは最高位が2位。

「スピード」は東京オリンピックが決まってからトレーニングを始めた。

オリンピックでの引退をきめていた中、最後の1年、

コロナ禍ではあったが、充実したクライミングに向き合う時間がとれた。

モチベーションがなくなることはなく、練習が好きで登っているだけで楽しいので、

きついという気持ちより、強くなりたい、登りたいという気持ちが上回っていた。

 

 

 日本のクライミング事情       

ネイルが好き。爪切りとやすりを必ず持ち歩いている。

勝負色の赤のネイルを塗って大会に挑むというルーティンがあった。

引退をして現役時代にできなかったジェルネイルなども楽しんでいる。

クライミングシューズは、後ろがゴムになっていて、

石、ホールドを踏んでも滑らない材質。底は固く、小さいところに力が集中しても

足が痛くないようになっている。

クライミングにも級や段がある。課題の難易度が一番簡単なのが8級。

1級まであり、そこからは段になる。

これは日本だけで使われていて、海外では違ったグレードの呼び方がある。

大会の課題は、級や段に関係なく、男子の課題、女子の課題、決勝の課題などが

でてくる。

日本は、一般の愛好家のレベルが高い。

クライミングは日本人の気質に合っていて、愛好家がたくさんいる。

その中には日本のトップレベルぐらい強い人もいる。

 

クライミングの普及活動 これからの目標     

普及については、オリンピックが終わり、メディアの活動などをしている段階で

まだ具体的な指導はできていないが、来年から具体的に

後進の育成や、アカデミーのようなものをやっていければと思っている。

自分が小学生の頃はクライミングジムも少なく、コーチや指導者もいない時代で

手探りの状況でやってきた。

今は、クライミングが、これまでのマイナースポーツ、アウトドアから

スポーツとして成り立ってきている。

クライミングはハードルが高いと思っている人が多いが

実は、梯子を登る、急な階段を上るという簡単なものからあり、

幼稚園児でもできる。その延長で、まずは、クライミングをやってみてほしい。

クライミング人口は少しずつ増えているが、まだ観る側が確立していない。

憧れの選手の応援など、観戦の楽しみも増やしていきたい、

クライミングの魅力を伝え、

クライミングのプロの選手になりたいと子供たちが思うような種目にしたい。

自分自身のクライミングを楽しみながら普及をしていきたい。

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