あさナビ

2021.11.12

絵本作家の田島征三さん 自分が驚く作品作り

「第56回ENEOS児童文化賞」を受賞された

絵本作家の田島征三さんが登場。

常に斬新な作品を発表し続ける田島さんの作品に対する思い、

そして、50年以上にわたる創作活動を支えるものなど、

受賞の喜びと共に伺いました。

 

第51回ENEOS児童文化賞について 詳しくは、コチラ

 

 

「第56回ENEOS児童文化賞」受賞  

今年、「第56回ENEOS児童文化賞」受賞。

この賞は、初山滋氏や、長新太氏、瀬川康男氏など

自分が尊敬し、友人のように慕っている方が受賞されている賞なので、

受賞に関して、とても大変なものもいただいた、自分でよかったのかという

謙虚な気持ちである。

初めての絵本『ふるやのもり』を出版するも全然売れなかった。

さらに、“芸術家が芸術家ぶって、子ども好みでない色を使い、

とんでもないことをした。

子供の本の花園を芸術家のエゴという泥物で踏みにじるようなものだ“

と新聞評を書かれ、食べていけなくなった。

そんな時、今江さんがポプラ社に『ちからたろう』の文章をもっていき、

強引に自分に絵を書かせるようにし、助けてくれた。

しかしながら、制作の時には、お互い文句を言い合ったりと、

けんかをしながらできた絵本である。

 

「絵本作家になるまで」

大学は、図案科(今のデザイン科)に在籍。成績がよかったため、

3年生のとき、実習生として引き抜かれ、広告代理店へいった。

そこで最初に描いたポスターのイラストレーションが、クライアントから

これはうちの会社の宣伝ではない、あなた自身の宣伝だと怒られ、

なぜ自分の宣伝をしてはいけないのか。

人の宣伝するためにデザイナーになったのではない。と

広告代理店を3日で辞め、学校に戻った。

教授は「君はデザイナーに向かない、出版関係に進んだらどうか」と言い、

たくさんの推薦状を書いてくれた。

これが今の自分の仕事につながっている。

お金儲けをしようとか、売れる本を描こうとは一度も考えたことはない。

この絵が好きな子供がどこかにいるはず。

その子が本当に大好きだと言ってくれれば嬉しい。

 

 

絵本と木の実の美術館 

絵本作家としてだけでなく、アート作品の創作もしている。

そのひとつが『絵本と木の実の美術館』。

新潟県の十日町市の3人しか生徒がいなくなり、廃校になった小学校を

美術館にするということをおこなった。

当初、自分の絵を飾る美術館にするという話だったが、

自分の絵を飾るのではなく、この小学校全体を作品にしたいと考えた。

出来上がったのは、

この小学校の最後の3人の生徒が主人公になった物語が

校舎の中全体に繰り広げられる空間絵本で、

これを流木や木の実で作っているという美術館。

この美術館は、もとの校長室がおしゃれなカフェになっていたりと、

親子連れだけでなく、若いカップルが多く訪れている。

とても楽しい空間である。

 

木の実で描いた絵本『ガオ』       

『ガオ』は、絵と木の実がコラボレーションした

これまでみたことがないような絵本。

シロダモという木の赤い実を拾ってきて、その実を並べて描いた絵本

制作に3年かかった。

この絵本は、都会に住むお母さんたちからは

気持ち悪いといわれたが、子供はこういうものが大好き。

出版して20年近くなるが、

今でもすごいと言ってくれる子供や大人がいる。

そして、今、さらにすごい作品を木の実で作っている。

来年の11月の「こどものとも」800号の作品で

『木の実の冒険』という絵本。

これは描くのではなく、作ったものや立体のものを

カメラマンが撮ってそれをトリミングして本にしていくというものだが、

なかなか思ったとおりの写真がとれず、時間がかかりそうである。

木の実もたくさん集まると迫力がある。

木の実の持っている力はすごく、絵の具とは違う迫力がある。

 

「今後の目標」   

子供のころは、いなかで育ち、山や川で遊んでいた。

29歳の時、絵本『ちからたろう』で得たお金で、東京の日の出町に引っ越した。

田畑をたがやし、そこに自分の肉体を置いて

土や水や森や木や草と向かい合う。そしてそこには生き物たちがいる。

ここでの体に入りこんでいる感覚が

自分の作品づくりに大きな影響を与えていると思う。

自分は、自分が驚くような作品を作りたい。

今、鉄を使った作品を初めて作っている。

結構巨大な作品で、鉄は通常、重量感を感じさせるものだが、

これは風の中を泳いでるような軽々しい作品。

鉄を使う作家から見ると、くだらないと思われるような作品だが、

心情的には、人の気持ちを裏切るような表現ができたらいいなあと思う。

 

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