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2021.07.23

地政学・戦略学者の、奥山真司さんに聞く「地政学」という学問

地政学・戦略学者の、奥山真司さん登場。

地政学とはどのような学問なのか、

地政学から見た世界情勢、

そして今とこれからの日本について解説いただきました。

 

Twitter コチラ

著書「サクッとわかるビジネス教養 地政学」(新星出版社) コチラ

 

地理と国際政治

地政学とは、今や国際政治の見方の1つになっていて、
国の地理的な条件をもとに、他国との関係性や

国際社会での動きを予測したり、分析する事が出来る。

カナダに留学していた際、地政学と出会い

もともと地理学が好きだった事もあって興味を持つようになった。

国際政治では、海の国と陸の国の争い続いきているが、

そもそもの歴史を紐解くと、アテネとスパルタ、ソ連とアメリカ、

イギリスとフランスなど、幾度となく衝突を繰り返してきている。

陸続きの国は国境に接している為、

隣の国の影響を受けやすく恐怖政治になりやすいなど

島国などの場合は、商売貿易に注力するなど、

地政学をもとに様々な国の特徴を読み解くことが出来る。

 

アメリカは実は島国。

一般的なイメージとしてアメリカは大陸の

イメージを持つ人が多いが、地政学的な目線で見ると、

アメリカは日本と同じように自国を島国だと考えられる。

実はアメリカが世界で確固たる地位を

築いている理由の大きな要因はその海軍力にある。

外交をする際、アメリカはどうして海を越える必要がある。

アメリカに住んでいる人のルーツを考えると海を渡る事は、

とても自然な事で、その為に外の国と上手く、

そして優位に国交する為には海軍力を強化する

必要があった。ここ500年の歴史を見ると、

シーパワー(国境の多くを海に囲まれた海洋国家)の方が

金銭的にも強い傾向があり。長い歴史の中で世界の

覇権の流れを見ても、スペイン、オランダ、

イギリス、そしてアメリカなど、シーパワーの国が名を連ねている。

 

 

「バランス・オブ・パワー」と「チョーク・ポイント」

地政学における大きな2つのキーワードに、

「バランス・オブ・パワー」と「チョーク・ポイント」というものがある。

バランス・オブ・パワーとは、日本語で「勢力均衡」、

突出した強国をつくらず、勢力を同等にして秩序を保つという意味。

現在の世界のトップはアメリカ、次点で中国と言われている。

トップはその地位を維持する為にやる事は、2位に迫ってきている国を

淘汰する為に、それ以下の国と協力をするという図式が

自然に出来ている。そしてチョーク・ポイントとは、

いわゆる「海の関所」のようなもので、

例えば、近年でも発展が著しいシンガポールには、

マラッカ海峡というチョーク・ポイントがあり

物流における海路の中継地点としてとても重要なエリアになっている。

中東からの石油は、海の上のパイプラインを

通って輸入されている。そのパイプラインは

シンガポールのチョーク・ポイントを通って日本に届いている。

 

「ランドパワー」と「シーパワー」

国際政治を見る際に重要視されるのが、

「ランドパワー」と「シーパワー」。

「ランドパワー」とはロシアやフランス、中国など、

ユーラシア大陸にある陸上をベースとした大陸国家、

「シーパワー」とは日本、アメリカ、イギリスなどの

海に囲まれた海洋国家の事を指している。

この2つはどうしても衝突してしまう傾向にある。

歴史的に見ても、海の自由を求める「シーパワー」と

自国の海をどうしても閉鎖的に使用する「ランドパワー」は、

ぶつかってしまう傾向にある。ドーバー海峡なども

その1つの例といえる。しかしその「ランドパワー」と

「シーパワー」を両立させようとすると、国力が低下していき

崩壊してしまう傾向にある。ドイツは実際に両立を目指したが、

国力が持たず、失敗に終わってしまった。

 

地政学から見える世界

特に今の日本は地政学的な目線で、世界を見る必要がある。

コロナ後の中国は、まさに「ランドパワー」と「シーパワー」を

両立しようとしているが、これまでの長い歴史を見ても

2つを追いかけた国は、急激に国力を落としてしまっている。

中国は典型的なランドパワーの国で、強力な陸軍をもち、

農業や鉱工業を基幹産業としていて、現在海洋戦略にも

とても力を入れている。海にはライバル国でもある

アメリカがいる為、大きな衝突は避けて通れない。

日本でも、ロシアが北方領土を返還しないことには

大きな地政学的背景がある。温暖化の影響で北極の氷が

溶けてしまっている。日本の横浜からオランダの

ロッテルダムという港にいく場合、北の海路を通ると

大幅に時間を短縮して到達できるが、北極付近の

海を通る為には、どうしても北方領土付近を通る為、

ロシアはそこで日本から通行料を取ることが出来る、という策略がある。

このように地政学だからこそわかる、様々な国際政治の背景がある。

 

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