先週末の三連休、首都圏は非常にいい陽気でお出かけ日和でした。一連のコロナウイルスの自粛ムードの中でホッと一息という感じで、久しぶりに外に出てみよう、遠くへ出かけてみようという気持ちにさせる天気。その上、東京では桜が満開になったと聞いた日にゃ、家に閉じこもっている方が無粋てな感じで、お花見の名所は人でごった返しました。
大規模スポーツイベントも行われ、世間に普段通りの雰囲気が戻ったようでした。
そのきっかけの一つが、19日に行われた新型コロナウイルス感染症対策専門家会議。2~3日前から専門家会議がまとめる提言の一部(とされるもの)が報道され、イベントの自粛が一部解除されるのではないか?全国一斉休校は解除となるのではないかという相場観が出来ていました。3月19日、深夜に及ぶ議論の末に出された専門家会議の提言は自粛というブレーキを弱めるのか、それとも引き続き強くかけ続けるのかの判断に迷うもの。これを伝える見出しも両論併記となりました。
とはいえ、世の中の雰囲気は「そろそろ自粛も一段落だろう」というものでしたから、「現在は一定程度抑制」「一斉休校は4月解除」といったポジティブな部分が目立ち、依然残る大きなリスクの部分があまり報じられませんでした。専門家会議を受けて翌日開かれた新型コロナウイルス感染症対策会議では、イベントに関して決して開催を容認したわけではありませんでしたが、縛りが少し緩くなったかのような報道が相次ぎました。
一連の自粛要請を受け経済が徐々に回らなくなってきているという分析が出てきていて、自粛一辺倒では国民が持たないという意見も専門家会議の中で出てきていたようです。そうしたことが、ニュアンスとして伝わったのかもしれませんが、専門家会議の提言を見ると報道とは違った厳しい雰囲気に驚かされます。
特にこのイベントの部分を見ると、大規模イベントの取扱いについて書いているように見えます。大人数が集まり、換気が十分でなく、お互いが話すなどの接触が予期されるイベントは感染のリスクが高いと以前から言われていました。ということは、たとえば屋外で行うイベントであるとか少人数のイベント、お互い話をしないようなクラシックコンサートや映画であれば大丈夫なのではないか?という風に解釈してしまいがちですが、この提言の後段にはこんな記述もあります。
<上記のリスクは屋内・屋外の別、あるいは、人数の規模には必ずしもよらないことなどの観点から、大規模イベント等を通して集団感染が起こると全国的な感染拡大に繋がると懸念されます。>
こうなると、実はイベント全般に対してできれば中止・延期をしてほしいが、専門家会議の段階ではそこまで強制力のある言い方はできない。そこで、開催可能な条件を示している体をとりつつ、実はどんなイベントも開催できない厳しい条件を示すことでイベントは止めろ!という意思を示した形でしょう。
しかし、実際には真逆のイメージで国民に伝わり、結果かなり緩んだ雰囲気で三連休を迎えてしまいました。
私自身もそんな雰囲気に呑まれたのは否定できません。周りとある程度の距離をとって、腰を落ち着けずに歩きながらの花見なら大丈夫だろうと、近所の公園に出かけていきましたから。
そして昨日、東京都では一日としては最多となる41人の感染が確認されました。三連休で感染した方々が今後次々と顕在化してくる時期となり、折からの病床数のひっ迫と相まって都知事が外出自粛を要請するに至っています。
「感染爆発の重大局面」は、専門家の危機感と経済への影響を少しでも軽減したい政府の思惑、自粛に疲れ少しでも明るい話題を欲したメディアや国民の三者のボタンの掛け違いがミスリードを生んだ面が否めません。改めて、どういった注意喚起をすればよかったのか考えています。
最後に、番組で紹介した、全国の感染症病床の埋まり具合を一目で示すサイトをご紹介しておきます。
24日現在、東京はすでに結核病床をコロナに回すなどして対応せざるを得なくなっているようです。こういう時こそ、凡事徹底。手洗いと、密を避けた外出を。