株式会社ヒロイチ・カンパニー 代表取締役 佐藤弘江
神奈川県横浜市生まれ。
東京女子医科大学看護短期大学を卒業後、
看護師、訪問看護師、看護教員を経て、
2014年4月、障害者グループホーム「ヒロイチホーム」を
千葉県鎌ヶ谷市にオープン。
障害者、障害児の支援に携わっている。
竹内:改めて、事業内容を教えていただけますか?
佐藤:多分、この分野に関わってない方、全然同じ業種じゃない方はイメージがつきにくいかなとは思うんですが、正式には福祉サービスになるんです。
竹内:はい。
佐藤:実際、福祉サービスでも色々な事業所がありまして、私のところがやっているのは「共同生活援助」というサービスになるんです。実際は、障害者の方、障害者の方といっても色々、身体と、知的と、精神障害とかがあるんですが、うちは知的障害者のグループホームと言って、グループホームって多分、高齢者のグループホームの印象が強いと思うんですが、普通の住宅街にあるような一軒家で、4~5人の利用者が共同で生活して、そこに支援員という形の職員が1人ついてずっと泊まって、生活の支援をして、一緒に障害者の方が生活していくという形なんですね。
竹内:なるほど。この事業を立ち上げたきっかけには、何があったんですか?
佐藤:実はうちの息子が重度の知的障害者だったんですね。学校は特別支援学校といって、先生たちが見てくれるんですが、高校を卒業したら、普通のお子さんと一緒に社会に出るという選択なんです。
竹内:はい。
佐藤:普通だと、自分の家から、日中は作業所などに通うっていうところだと思うんですが、子どもが小さい時に、私の夫が亡くなって、母親1人だったので、先々のことを考えて。生活する場、という形で探さなければいけない、というところがあったんです。他の方と一緒くらいでやっぱり高校2年の夏ぐらいから、なんとなくそういうことを探し始めて、実習とか色々あるので。じゃあどうするのかなっていうことで、考え始めました。
竹内:そうですね。親の方が早く亡くなると考えると、そのあとどうやって生活していくのかを考えておきたいですよね。
佐藤:そうなんです、そこなんですよね。じゃあ、うちの子が入れるところは?って、具体的に探すじゃないですか。就職先を探すように。そう思った時に、入所施設っていうのはあるんですが、現状はなかなか…ほとんど入れないんですね。
竹内:いっぱいで、ということですか?
佐藤:いっぱいだし、今ってどちらかというと、障害者も大きな入所施設よりも、地域でっていう方向になっているので。自分もグループホームみたいなところからがいいな、という風には思っていたんですね。それで、グループホームを2つくらい見たけど、「これはダメだ、違う違う。うちの子が入れる感じじゃない」って感じちゃって。
竹内:それは、息子さんの障害が重たいから、受け入れてもらえない、ということですか?
佐藤:はい、はっきり言ってそうなんですが、障害と言っても1番大変なのが、これがまたイメージつかないと思うんですけど、知的で自閉症という障害なんで。
竹内:ええ。
佐藤:特にうちの子は多動なので、目を離したら色々悪さするわ、何十回も迷子になってるんですね。だから1歩出ちゃうと、もう本当にに大変なことだし、家の中でも危険なものを口に入れたりとか、そういう障害で。グループホームに入っていたのは、もう少し落ち着いている方だったんですね。だから、「この中にはちょっと違うかな」って感じがして。
竹内:はい。
佐藤:さてどうしよう、と思ったら、この子に合ったところを1から作るしか方法がないな、というのを、割と早く決めちゃったという感じですね。だから、何十個も見て「あ~困った!」というよりは、「もういいや、これダメだ」って感じでした。
竹内:預ける側の家族としても、実際に自分と同じような経験をされている方が運営しているっていうのは、すごく安心感があって、自分の子供と同じような感じで見守ってくれるだろうな、っていう期待はしやすいですよね。
佐藤:それはありがとうございます。皆さん言われるんですが、やはり私も最初の頃は、ご本人さんたちをどううまくっていうところで、てんてこまいなところもあったんですが、本来は親御さん支援が1番大切だし、やらなきゃいけないところなのかなと思っています。
竹内:ええ。
佐藤:最近、たまたまどこかの話を聞いた時に、やっぱり、特に障害が重い子は、親は施設が見つかって預けてはいるんだけど、常に「大丈夫かしら。迷惑かけてないかしら」という思いを持っているんですね。それは最近すごく感じていて。だから、ご家族にどう安心してもらえるかというところが、今後の私の課題かなとは思っています。
竹内:そうですよね。やっぱり親御さんとしては、片時も頭から離れない。それがなるべく安心して預けられる環境だといいですよね。
佐藤:はい。
竹内:これからの夢、目標を教えていただけますか?
佐藤:スタッフさんがみんな見てくれているので、利用者さんはみんな割と大丈夫なんですよ。楽しくやっているんですよ。なので、スタッフさんがどれだけ頑張れるかっていうよりは、ヒロイチでスタッフさんが楽しくいてくれればな、というところを努力していきたいと思っています。
竹内:ありがとうございます。貴重なお話を伺いました。
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