株式会社ゼンドーアシストマネジメント取締役統括本部長 加藤亮
1977年生まれ。
2001年、親会社である全道警備センターに入社、
今年で23年目。
現在は、株式会社ゼンドーアシストマネジメント取締役統括本部長を務めている。
竹内:まず、事業内容を教えていただけますか?
加藤:はい。うちは本当に説明が必要な仕事をしてまして、そもそもそういう選択肢があるって知らない方が非常に多いので、簡単に説明をさせていただきます。弊社は、 階段昇降機という階段を登れる車いすをメインで取り扱っていまして、この機械を使って、移動介助に特化した仕事を全国で対応しています。「移動介助って何?」と言いますと、基本的には、エレベーターやエスカレーターがある場所がすべて活躍の場になっていまして。主に活動しているのが、団地さんですとか、マンションですね。ここの部分で、エレベーターが止まった時に、高齢者の方とか障害をお持ちの方が、階段を上らざるを得ないというところをケアしている会社になります。
竹内:そんなに頻繁にはないですけど、エレベーターが止まったら、例えばマンションの管理会社さんからゼンドーさんに連絡があって、止まっている間ずっとそこにいて、来る人来る人介助してくれるっていうことなんですか?
加藤:実は、全然違うんですよね。
竹内:あ、全然違うんですか(笑)
加藤:はい(笑)。いま社会問題で、エレベーターの寿命ってあるんですよ。20年から30年前。ちょうどバブルの時に建てられた建物がほとんど対象となっていまして、ものすごい数のエレベーターが現在止まってしまっているんです。それで、油圧式というもののエレベーターからロープ式のものに交換する作業で、長ければおおむね1か月から2か月エレベーターが止まってしまう、ということが非常に多くてですね。
竹内:非常に多いんですか?
加藤:ええ、とても多いです。なので、そういった方々へのケアが中心になるので。「台風で浸水してしまって動かない」というお問い合わせもいただくんですけども。そういうものよりも、基本的には計画的にエレベーターを止める中での生活介助がメインになっていきます。
竹内:なるほど。では、その期間はスタッフの方がずっとそこに常駐して、入居している方が来たら介助してっていう。
加藤:そうですね、そうなります。
竹内:へー!そういうビジネスがあったんですね。
加藤:例えば、10階に住んでいらっしゃる方とかが、朝ゴミを捨てるっていうだけでも、やはり高齢だと非常に大変なんですよね。そこをケアしたり。買い物の荷物を持って上がったり。あと、お子様とか、ベビーカーを使っていらっしゃるところは、ほんとにお母さんが上げるのが大変なので。そこをすべて介助で解決しています。
竹内:こういうビジネスをされているところって他にあるんですか?
加藤:これだけパッケージになっているところは存在しませんね。うちだけです。
竹内:たしかにね、エレベーターが止まっちゃったら。しかも1か月も止まって。何かしらの介助が必要ですよね。
加藤:そうですね。なので、もう引きこもってしまったりですとか。障害者雇用がいま進んでいますので、そんな中で勤務先に行けないよってなってしまうんですね。車いすのユーザーの方とかは。
竹内:生活に支障が出るからっていうことですね。どうしてここに目をつけられたんだろう?
加藤:私がもともと札幌に住んでいた時に、けっこう営業を頑張って、飛び込み営業とかをしている中で、大手のエレベーターメーカー様から、困っているっていうことを聞いたんですね。団地のエレベーター工事で1か月止めている中で、車いすのおばあちゃんがいて、作業員さんが手を止めてそれをサポートしていた、と。ただ、どうしてもそういう部分でおろそかになることがあるので、しっかりと棲み分けをして、介助に特化した会社を探しているけど、いない。だからやってほしい、というオファーを受けてできた会社です。
竹内:もともと加藤さんご自身は、全道警備センターに入社されていたということは、警備員として働いていらっしゃって。
加藤:そうですね。全道警備自体が、ALSOKという警備会社にお仕事をよくいただいてる会社でして。そこで私も警備員として、最初はお仕事をしていましたね。
竹内:そこから、こちらの合同会社全道ホールディングスへ。立ち上げ当初からいる、という感じなんですか?
加藤:2018年だから、いまから5年前に子会社の「全道アシストマネジメント」というのができまして。その支店たちがいまどんどん増えていっているという状態ですね。
竹内:それで、いまおっしゃっていた「エレベーター特化型非常時介助サービス」というのをやっている。その他にも色々やっていらっしゃるんですね?
加藤:そうですね。いま進めているのが、「でじるみ」と呼ばれる特化事業で、B型の就労施設なんですね。ただ、サブカルチャーにかなり特化しています。通常、就労施設と言いますと、軽作業ですとか、パンを焼いたりとか、そういうところが多いんですが、こちらの「でじるみ」に関しては、アニメーション作成、デザインですね。あと、WebメディアのSNSの運営やeスポーツ、データ入力やグラフィックデザインなど、これから先に必要となる分野に特化した部分を教えていく学校になりますね。テーマとしては「好きを仕事に!」というところが非常に大きいテーマで。この中で、本物の技術に触れられる、自分の“好き”に向き合える居場所ということで、プロの漫画家の先生なんかも講師として大勢参加していただいています。
竹内:アニメーションを作成する仕事って、芸術大学とか、そういう学校に行って勉強される方が多いのかなと思うんですけれども。
加藤:たとえば子どもの頃、絵を描くのが好きで、漫画が好きで、でもそういった美術系には行かなかったよっていう方々が。あと、趣味でイラストを書くのが好きだよと。もう少しほんとに勉強したいよと。
竹内:それは、社会人になってから違う仕事をいろいろ体験して、やっぱり違うなっていう方がけっこう多いんですか?
加藤:B型の就労施設なものですから、心身に障害のある方を対象としております。なので、車いすユーザーですとか、そういった方が学んで技術を身につけていく。そして、再度就職していく「出口対策」というんですけれども、そういったことをしっかり考えている事業所になっています。
竹内:特化型の事業が多いですね。
加藤:ええ。まあ、それしかやってない会社なものですから。
竹内:ほんとにそういうニッチなところを攻めているっていう。それによってどんどん広がっているんですね。
ですね。やっぱり「困っている人をゼロに」というのが会社のパーパスでもあるので、そこに通じる活動。先ほどの階段昇降機の介助もそうですし、「誰もやってないなら、 やっていこうよ」と。
加藤:すごい。そういうことを色々とやっていらっしゃるんですね。ちなみに、なんでこのB型就労施設を始めようと思われたんですか?
加藤:やっぱり私どもが、「困っている方を助けたい」という介助の部分から始まっているので。まだまだ様々なすき間で、問題はあるけど放置されていることってたくさん世の中にあると思って。問題が問題と認識できるというのもやっぱりひとつのスキルで。だいたい、見逃されてしまうんですけど。そのひとつですね、気付いたのは。
竹内:どうやって見逃されてるものに気づくんだろう?何がきっかけなんですかね?ほんとに、日々のちょっとしたことですか?お仕事している中で、こういうことやってくれませんか、という問い合わせがあったりすると。
加藤:そうですね。問題があって、解決できる方法があって、しっかりとビジネスとして歯車が回るというのを感覚として掴んだのがこれらのお仕事たちで、まだまだあると思うんですよ。
竹内:そうですね、まだありそうですね。
加藤:ただ、見逃されていて、ということはまだまだ世の中にあると思うんで。
竹内:さらにいろいろ展開していきたいな、という思いが会社としてあるんですね。改めてこれからの目標、夢、教えていただけますか?
加藤:まだまだ支店が少なくて、昨日も山形からお問い合わせいただいたりしたので、やっぱり支店をどんどん全国に増やしていきたいというのと。海外事業部というのも弊社の中にはあるので、日本でできたこのサービスが、どこまで外で通用するのかなっていうのもちょっと思っておりますね。
竹内:ありがとうございます。こういうお仕事をしている会社があるんだなっていうのを。
加藤:そうですね、まず知っていただいて。
竹内:興味深かったです。
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